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Chat GPT は BCP を作れるか

最近のAI技術の向上は目を見張るものがあります

ChatGPT(チャット・ジーピーティ)

最近になって、テレビやネットで多く取り上げれているものです
ChatGPTは高度なAI技術を活用したサービスの一環ですが、一体何をしてくれるのか?
会話形式で文章で問いかけをすると、AIが文章を作成・添削・要約・翻訳などをしてくれるのです

ChatGPTのサイトにアクセスし、作成してもらいたい話題・課題を入力すると、実に見事な回答を導き出してくれます
驚きなのは、非常に流ちょうな日本語で、実に完成度が高い文章を作り上げてくれるのです
その完成度とスピードが高く評価されて、一部の行政機関が事務処理に活用し始めるほどです

そんなサービスを使って、業務継続計画・事業継続計画(BCP)を作らせれば時間と労力が省略できそうですよね
でも、本当に高度なAI技術でBCPが作れるかどうか

今回は、これをテーマにお話しします


■ ChatGPTにやらせてみたら

早速、BCPの策定をChatGPTにやらせることにしました
では、どのような問いかけをすれば良いのか・・・

とりあえず「BCPの策定方法とは」で問いかけたところ・・・

BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や事故などの不測の事態が発生した場合でも企業の事業継続を確保するため計画です。
以下は、BCPの策定方法の一般的な手順です。
1.リスク評価の実施
  企業にとって重要な業務や資産を特定し、それらに対するリスクを評価します。
2.業務継続計画の作成
  リスク評価の結果をもとに、どの業務がどの程度影響を受けるか、どのような対策を講じるべきかを明確にし、具体的な業務継続計画を作成します。
3.テストと訓練の実施
  作成した業務継続計画を定期的にテストし、問題点を洗い出します。   同時に、関係者に対してBCPの内容を周知し、訓練を実施することで、実際に災害が発生した場合にもスムーズに対応できるようにします。
4.定期的な見直しと改善   災害リスクや業務環境が変化した場合には、BCPを定期的に見直し、改善することが重要です。
以上が、一般的なBCPの策定方法の手順です。BCPは、企業の事業継続にとって非常に重要なものですので、しっかりと策定し、定期的に見直すことが求められます。

・・・という回答でした

2.業務継続計画の作成? それをやってもらいたいのだが・・・

そこで、問いかけ内容を変えてみました
「BCPで定義する項目とは」の結果が以下のとおりです

BCP(Business Continuity Plan)は、災害や危機的状況が発生した際に企業が事業を継続できるようにするための計画です。
以下は、BCPで定義する項目の一例です。
1.インシデント管理体制
  BCPを実行するための組織や役割分担、プロセスを定義する。
2.ビジネス影響分析(BIA)
  主要な業務プロセスやシステム、情報資産の重要度を評価し、災害発生時の影響度を分析する。
3.リスクアセスメント
  BCPの実行に際して、予想されるリスクや災害の種類や範囲を評価する。
4.事業継続計画(BCP)
  災害発生時に事業を継続するための具体的な手順やアクションプランを作成する。
5.テストと訓練
  BCPの有効性を評価するために、定期的な演習や訓練を実施する。 6.リカバリー戦略
  災害発生時にシステムやデータを復旧するための戦略や手順を定義する。
7.コミュニケーション戦略
  BCPを実行するためのコミュニケーション手段やチャネルを定義し、関係者間の連絡体制を構築する。
8.バックアップ戦略
  重要なデータやシステムのバックアップを定期的に取得する手順を定義する。
9.緊急時対応マニュアル   災害発生時に必要な情報や手順をまとめた緊急時対応マニュアルを作成する。

先ほどよりは、より具体的な内容が現れてきました
ですが、以上の内容でご理解いただけますでしょうか?
使われている用語・言葉が、いまいちわかりづらい?
これらだけでBCPが完成するでしょうか?

更に細かく聞いてみます
上記の「インシデント管理体制」について問いかけた結果が次のとおりです

BCP(Business Continuity Plan)のインシデント管理体制とは、災害や危機的状況が発生した際に、BCPを実行するための組織や役割分担、プロセスを定義することを指します。
具体的には、以下のような項目が含まれます。
1.組織体制
  BCPを実行するための組織体制を定義し、災害発生時には各部署の役割分担や連絡先を明確にします。
2.役割分担
  BCPを実行するために必要な役割とその責任を明確にし、事前に各担当者に役割を割り当てます。
3.プロセス定義
  BCPを実行するためのプロセスを明確に定義し、必要に応じてドキュメント化します。
4.連絡体制   災害発生時に必要な関係者への迅速な連絡手段を確保し、BCPの実行に必要な情報共有を円滑に行うための体制を整備します。 5.インシデント報告・記録
  災害発生時の状況やBCPの実行状況を適切に報告・記録し、BCPの改善点を把握するためのプロセスを定義します。 BCPのインシデント管理体制は、BCPの実行に必要な組織的な基盤を構築することで、災害発生時に迅速に対応することができるようになります。

これらのことは、ネット上にあふれる ガイドライン や ひな形 などでも示されていることです

小難しい言葉が出てきて、何のことやら・・・
そもそも、なにかが違う、そんなことを聞きたいわけではない
問いかけ方法を変えてみようか・・・・


■ ChatGPTが得意なこととは

難しい機能解説は省いて、ChatGPTはネット上の膨大なデータを学習して滑らかな言葉に表現することが上手です
一方、ネット上の情報には正確性や信ぴょう性を欠く情報も多くありますので、必ずしも正確な文章・内容とは限りません
つまり、ChatGPTは、ごく一般的な情報をかき集め、自然な言語で表現するためのAIのようです

そうなると、一般的ではないことを分析・解析して、最も適切な答えを出すようなAIではなさそうです
単に、自分らの事業に沿ったBCPを策定する上で、考え出さなければならない項目が列挙されるだけのようです
ちなみに「障害福祉サービス事業におけるBCPの組織体制とは」と問いかけても

  • BCPチームの設置

  • 代替拠点の設置

  • スタッフの育成・教育

  • ユーザーや家族との情報共有体制の確立

  • 障害福祉サービス事業者との連携体制の確立

  • 緊急時の訓練の実施

・・・となり、主語を「介護施設」としても大きく変化はしません
何よりも、これらのことはBCP策定のガイドライン等で示されていることであって、策定したい細部ではありません

結局、BCPに示そうとする項目が確認できるだけで、それらの内容については自分らで考え・導き出すしかなさそうです
個別具体的に細かな「何を・誰 が、どのように・どうやって」を考える・創出することについては、ChatGPTが不得意とするところです


■ 結局、自分らの努力しかないのか

結局、「何を・誰 が、どのように・どうやって」を自分らで考え・導き出さなければならないというのが現状となります
自分らの事業の内部事情などを知っているのは、自分らだけですから、当然と言えば当然でしょう

結局、自分らの努力しかないのか・・・

そんなことは決してありません
”立っている者は親でも使え” ではありませんが、ChatGPTが得意とするところに任せることもできます

BCPの策定作業について、何から始めれば良いのか、どのような項目を導出すれば良いのか
ChatGPTにどんどん問いかけてみてください

同じような項目が多く示されるなら、それが策定作業上の重要項目と見なすことができます
”・・・をどのように考えればいいのか” という問いかけには、そのものズバリでなくてもヒントとなる回答が示されることでしょう
これだけでも、考え・導き出す作業の手助けとなります

自分らが知っていることであれば、考え・導くことが容易のはずです
ChatGPTのヒントを元に、項目ごとに考え・導き出す作業を繰り返すだけで、最終的にBCPができあがります

闇雲に考えたり、調べたりするよりは、ChatGPTを活用することで時間と労力を省くことができるはずです


■ 最後の校正などのお手伝い

何らかの項目について策定したとします
その結果を文章として表現できるようにしなければなりません
そうでなければBCPという計画書が完成しないからです

文書作成が苦手であっても、とりあえず文章化してみてください
その後で、ChatGPTに問いかけてみます

以下はBCPに示そうとする ”非常事態発生時の対策本部の開設” について文章化したものです
これをChatGPTにかけてみます


【問合せ文章】
事業運営を中断させる事態等の発生及びそのおそれがある場合は、事業施設内に対策本部を開設して、全ての業務及び事態等の対処活動を一元的に指揮・統制する。

【ChatGPTの回答】
この文章は、事業施設内で発生する可能性のある事態や問題に対処するために、対策本部を設置し、業務や対処活動を一元的に指揮・統制することを示しています。

対策本部は、通常は緊急事態に対応するために設置されます。
これには、自然災害、事故、感染症の発生などが含まれます。
対策本部は、必要に応じて、事態の深刻度に応じて、社員、専門家、関係者などのスタッフを含めたチームを組織することがあります。

対策本部の目的は、事態の深刻度に応じて、迅速かつ効果的な対応策を講じることです。
これには、事態の評価、情報の共有、必要な資源の調達、コミュニケーションの確立、現場の調整などが含まれます。
つまり、この文章は、事業施設内で発生する可能性のある問題に対処するために、対策本部を設置し、全ての業務や対処活動を一元的に指揮・統制することが必要であることを示しています。


・・・いかがでしょうか
作った文章が意味するところをChatGPTは正確に表現しているでしょうか
上記の問合せ文章では、これ以上ないほどに的を得た意味解析をしてくれています
ということは、作った文章には問題はないということが言えます

このように、文書作成・作文に自信がなくても、ChatGPTを活用することで誰もが理解できる文章に仕上がります
添削・校正作業を手伝ってくれるだけでも時間と労力を省くことができそうです


■ まとめ

ChatGPTはBCPを作れるか?

答えは「No」であって、「Yes」でもあります

肝心な内容は、自分らで考えなければなりません
特に、自分らしか知らない現場の実態や事業の運営の細部については、自分らでしか答えを出すことができません

他方、「何を考えなければならいか」や「どのように表現・表記したらいいのか」については、ChatGPTを活用できます
ごく一般的に策定すべき項目や考えるべき事項については、見事に整理・列挙してくれます
ただし、正確性・信ぴょう性に欠く面あったり、考える・導き出すことができないという特性があることに注意してください

自分らで行う策定作業の ”手助け” として活用することで、時間と労力を省きつつ、完成度の高いBCPを策定できることでしょう


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