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開館2周年記念ライブラリー・ミニコンサート:夏・バロック(2024年7月14日)

2024年7月14日(日)16:00~ 石川県立図書館だんだん広場
ルクレール/ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ長調, op.9-3~第1楽章
クープラン/王宮のコンセール第2番~第5曲「エコー」
コレッリ/ヴァイオリン・ソナタ, op.5-12「フォリア」
ドリーブ/バレエ「シルヴィア」~シルヴィアのヴァリアシオン(ピツィカート)
バッハ,J.S./カンタータ「わが片足すでに墓穴に入りぬ」BWV.156~第1曲「シンフォニア(アリオーソ)」
ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」~ト短調, op.8-2「夏」
(アンコール)ルクレール/ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ長調, op.9-3~第4楽章
●演奏
トロイ・グーキンズ(ヴァイオリン,お話),加藤純子(チェンバロ)

金沢歌劇座で行われた石川県音楽文化協会の「カルミナ・ブラーナ」公演が90分内で終わったので,その後石川県立図書館に一気に移動し(雨が降っていたのですが,雨合羽の上下を着て自転車で移動),オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK) のヴァイオリン奏者,トロイ・グーキンズさんと金沢を中心に活躍している加藤純子さんのチェンバロによるバロック音楽のミニコンサートを聞いてきました。石川県立図書館が新装オープンして毎月のように行っている人気シリーズで,毎回大盛況のようです。今回は開館2周年ということでいつも以上に充実した内容だったのではと思います。特にトロイさんのトーク(舌好調でした)が大変楽しかったですね。

7月14日はパリ祭ということで(それとオリンピックやパラリンピックにもちなんでいたかもしれないですね),フランスのルクレールの曲から始まった後,クープラン,コレッリ,バッハ,ヴィヴァルディと同時代の曲がトロイさんを交えて演奏されました。会場のだんだん広場には,残響はほぼないのですが,とても集中して音を楽しむことができる場所。文字通り「まさに室内楽」といった演奏を楽しむことができました。

最初に演奏されたルクレールのソナタの第1楽章は,優雅で繊細な演奏。優しい気分が溢れていました。その後,チェンバロが登場する演奏会では定番の楽器の説明(鍵盤が2段になっていて音色・強弱の変化が付けられるといった話題)がありました。

クープランの曲には「エコー」というタイトルが付いていました。静かだけれども装飾的なエコーが良い雰囲気を出していました。コレッリ「フォリア」は,今回演奏された曲の中ではいちばん古い曲になります。お馴染みのフォリアのテーマが演奏された後,変奏が続く曲ですね。深刻になり過ぎないのですが,曲が進むにつれて自然と熱気が増し,最後の変奏でぐっと盛り上がる感じが良かったですね。間近で聞くと息づかいが分かるようでした。

続いては,お客さん参加コーナー。チェンバロの音の出し方を説明する際に「弦をはじく感じ」と言ったことを受け,トロイさんは「ヴァイオリンのピチカートのようなもの」と説明。「ピチカートが出てくる曲があるので,手拍子を入れてください」とお客さんに参加をお願いをして演奏開始。入れるタイミングはフレーズの終わりの休符で「パン,パン」と2回手拍子を入れる感じ。考えてみるとピチカートとは関係ない気もしましたが,フレーズが終わりそうで終わらない部分で間違って拍手を入れそうになる人がいて,会場は和やかな雰囲気になりました。この曲ですが,「聞いたことがあるけれどもタイトルが分からない」という感じの曲。家に帰った後に調べて見ると,ドリーブバレエ「シルヴィア」の中のヴァリアシオンでした。トロイさんの熟練のパフォーマンスを楽しめたコーナーでした。

その後はまたバロック音楽に戻り,バッハカンタータの中のアリオーソが演奏されました。「わが片足すでに墓穴に入りぬ」という凄いタイトルのカンタータの一部でしたが…聞いてみると,チェンバロ協奏曲の中でいちばん有名な第5番の第2楽章でした(数年前,アンジェラ・ヒューイットさんのピアノで聞いた曲ですね)。今回はチェンバロの方が伴奏に回っている感じでしたが,メロディの美しさに加えて,加藤さんのチェンバロの「つや消し」といった感じの控えめの音が美しいなと思いました。

ちなみにこの曲,私にとってはスイングル・シンガーズというコーラスグループが「ダバダー」と歌うアレンジの方でも馴染んでいます。大昔の「恋するガリア」という映画でも使っていたのですが…映画自体は見たことはありません。

プログラムの最後は季節に合せて,お馴染みのヴィヴァルディ「四季」の中から「夏」(3つの楽章全部)が演奏されました。スピード感たっぷりの演奏。ヴァイオリン・ソナタのスタイルでの演奏というのも新鮮味がありました。

実はトロイさんのトークが結構長かったこともあり,予定の時間をかなりオーバーしていた感じでしたが,「この曲で締めたい」というアンコールが1曲演奏されました。演奏会の最初に演奏されたルクレールの同じソナタ第4楽章が演奏されました。とても元気な曲で,現代のロックミュージックにも通じるような気分がありました。バロック時代の民族音楽っぽい舞曲には,意外性があって面白いなと思いました。

演奏会の後は,チェンバロが大人気。間近で見たいと言う人が大勢集まっていました。

音楽関係の本も展示されていました。

このシリーズ夏休み中はお休みになり,次回10月5日はOEKの木管アンサンブルが登場します。OEKメンバーの生の声も聞けるのも楽しみですね。



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