いしかわミュージックアカデミー2023ミニコンサート(2023年8月18日)
毎年8月中旬から下旬にかけて金沢市で行っている,いしかわミュージックアカデミー(IMA)も今年で25回目となります。他の色々な夏のイベント同様,コロナ禍の影響でここ数年は縮小された形で実施していましたが,今年は,コロナ禍前と同様の形で実施するようです。
その広報も兼ねる形で,IMA受講生による弦楽四重奏の無料の演奏会が石川県立図書館で行われたので聞いてきました。演奏時間は30分程度で,実は,「クールシェア」「避暑」が目的だったのですが,若い(十代の方ばかりだと思います)アーティストたちのシャキッとした演奏を聴いて,身が引き締まる感じがしました。
演奏されたのは,上記の5曲。弦楽四重奏のためのオリジナル曲はハイドンのみでしたが,こうやって並べて聴くと,とてもまとまりの良い選曲だと思いました。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が文字通り第1楽章,「眠れる森の美女のワルツ」が第2楽章ワルツ,「魔女の宅急便」は軽いスケルツォ的な第3楽章…という感じで新たな弦楽四重奏曲が再構成されていた感じにも思えました(やはりこのまとまりの良さが弦楽四重奏という編成の良さですね)。
県立図書館のだんだん広場は,残響がほとんどないので,音程のズレとかが結構分かってしまう怖さがあるのですが(特にモーツァルトやハイドン),その分,各楽器の音がくっきりと聞こえてきて,臨場感たっぷりでした。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」最初から,テンションの高い切れ味の良い演奏を聴かせてくれました。何と軽やかなのだろうと思いました。
「眠れる森の美女」のワルツも,前へ前へと進んでいく推進力が素晴らしく,凛々しさを感じました。「魔女の宅急便」の「海の見える街」も,こうやって同じ編成で聴くと,すっかりスタンダードナンバーだなと感じます。臨場感たっぷりのピチカートのデリケートな味わいがとても良かったですね。
ハイドンの「皇帝」の第2楽章は,ドイツ国歌としてお馴染みの曲。じっくりとしたテンポで堂々とこのテーマが演奏された後,色々な楽器の組み合わせによる変奏が続きますが,音のハモリが特に美しいなと感じました。
最後は,エルガーの行進曲「威風堂々」第1番。この曲は「中間部に英国の第2の国歌と呼ばれる名旋律が出てくる」という説明でしたが,今回は最初の部分が再現せず,この「中間部」が大きく盛り上がって終了するという編曲。ものすごく情感たっぷりに演奏していたので,この形で「納得のエンディング」という感じでした。ただし,この曲の場合,本来は打楽器が色々と入るので,脳内でティンパニの音などを補いながら聴いていました。
最後,ディズニー映画から離れてスタンダードナンバー化している「星に願いを」がアンコールで演奏されてお開きとなりました。
今回登場した4人の奏者は,現在はIMAで勉強中ですが,今後,色々な形で活躍の場を広げていくと思います。そのことを楽しみにしています。
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