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卒業によせて

 3月も終わりに近づくというのに、外は年度末の予算を使い倒すような勢いで雪が降っている。春、本当に来るんだろうか。


 先週の土曜日、5年間通った学校を卒業した。卒論提出もあっけなかったけど、卒業も同じくらいあっけないものだ。言われがちな言葉でまとめると、長いようで短かった。苦しいけど楽しかった。

 女の子同士のコミュニティの中で傷付いたり大変な思いをした中学校時代から逃げるように進学した「高等専門学校(いわゆる高専)」と呼ばれる5年制の学校は、男子が全校生徒の10分の9を占めるような場所だった。性で分類されることは体育の授業くらいで、1人の人間としてフィルターを通さずに接する・接してくれることがこんなにも心地良いのかと思ったのを覚えている。各々が好きな髪型、髪色、服装で自由に生活しているその場所を一瞬で気に入った。

 全員が平等、というと一見良い事ばかりのように思えるけれど、歯を食いしばって勉強をして、背伸びして入学した私は学業で本当に苦戦した。部活動も趣味も学業も、全部に力を注ぐことは思っていたより難しくて、結局学業を疎かにしてしまった。今となってはそれで満足、と思っているけれど。
 加えて、埋められない差があった。波のように寄せては返す体調と気持ちの変化はこの5年間で更に勢いを増して、何度も自分の身体を呪った。ちょっとずつ向き合って、自分でなんとかしようとも試みてはいるが、周りは出来ているのに自分にはできないことにやるせない気持ちになる。

 それでも周りに支えられて、なんとか卒業までやってこれた。2年生で配属されて5年生までずっと一緒のクラスメイトも、大きな行事で一致団結!仲間!絆!というようなタイプではなかったけれど、苦手なこと、得意なこと、みんなで補い合っている良いクラスだった。
 部活のほうは精神的に助けられてばかりだった。全員がちょっとずつ努力して作り上げてきた学年関係なく仲良しすぎる雰囲気のおかげで、部活がある日は学校に行こうと思えたし、本当にしんどい時に帰れる居場所だった。愛くるしい仲間たちと最後まで歌えたことが嬉しい。この5年間の周囲の環境と周りの人たちに心底恵まれていたなとしみじみ思う。

 高校から大学へ、というルートが主流な中、それでも高専に入って良かった。大事な人がたくさん増えた。ありがとう、私の5年間。とても素敵なかけがえのない時間でした。

 4月から新社会人。ボロボロになっても大好きなものを全部抱きしめたまんまで何とかやっていきたい。

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