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障害や国籍を超えるコミュニケーション方法

はじめまして!タップダンサー・振付家のおどるなつこと申します。私はライブや演劇の振付などをするかたわら、タップダンスによるインクルージョン体験プログラムを町に広げる活動をしてきました。
このnoteには、2010年より継続してきた非営利活動「あしおとでつながろう!プロジェクト」が行ってきた"アート×福祉"の事例紹介とデータなどを公開していく所存です。

初投稿では、いちダンサーである私がこのような活動に至った経緯をまとめます。

私は、娘を単身子育てする中で鎌倉の青空自主保育に参加し、小学校入学までを仲間に助けられながら里山で過ごしました。
この育てあいの中で、人はみな生まれつき強い個性を持っていて、その意思を尊重していくと、ユニークなシーンが引き出されて笑顔が溢れるという体験を重ねました。
ダンサー業の傍ら、ママ友たちと公園の少ない鎌倉にプレーパークをつくろうと奔走するなど、社会に向き合い、関わるようになって感じたのは「社会はすぐには変わらない。優しく豊かな未来をつくるためにできることは、今の人の意識を育てること。」でした。

すべての人が尊重されている未来をつくる!


私が表現の核とするタップは、奴隷として異国へ連れられ大切な楽器をも奪われたアフリカンアメリカンが、肌の色の違いから差別を受ける厳しい状況の中で「明日はきっと良くなるさ」と日々つむがれた文化。当時は当たり前とされていた差別が、100年後には変わることを伝えるアートです。

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Knockin' on Wood ~starring Peg Leg Bates~

私は、タップの歴史を今の日本社会に置き換えたらどういう表現になるのだろう、と考えました。
・例えば、国籍・性別・収入・障害の有無などの違いにより、日々の小さな選択が限られてしまっていることは、私の生活とは関係のないこととしていて良いのか?
・違いへの不寛容さが、子育ての緊張や、生きづらさを生んでいるのではないか?

時々不登校を選ぶ娘が10歳になった2010年に、ダンスで身近な社会を変える試み「あしおとでつながろう!プロジェクト」を立ち上げ、活動を始めました。ドイツ国際平和村で、戦争によって傷ついた子どもたちと踊ったことをきっかけとして、帰国後に障害者支援施設でタップセッションを開始。その経緯は横浜創造界隈のインタビュー記事に詳しく載せていただきましたので、ご覧ください。
http://yokohama-sozokaiwai.jp/person/16904.html

人はひとりひとり違う。違いを尊重し、それぞれの表現を育むことから、だれもが暮らしやすい社会がつくられるのではないか。

あしおとのやりとりでは人と違うことが宝!自分だけのリズムを刻みながら、相手とのコミュニケーションを深め、違いを楽しむことができます。

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活動を始めた当初、私たちの活動は障害者支援として認識されていました。しかし、「理解を深める必要があるのは今障害を負っていない人ではないか」という問いが私の中では常にありました。
ACY助成採択をきっかけに、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017に参画。赤ちゃんから年配の方も憩う港の広場で「あしおとの輪」を開くことができ、この時、障害のある人が社会に果たす役割を目の当たりにしました。
特性により周囲に合わせることが苦手な反面、独自の鋭敏さをもつ障害のあるタップメンバーの存在が、緊張気味に輪になった人々の心を開くのを早めていたのです。

小学生のユニークな動きを全員が復唱し、歩き始めの赤ちゃんと人生の先輩がやりとりする輪からは笑い声が絶えません。あしおとという表現方法で対話すると、母国語が違ったり、発語されない方とも繊細なやり取りが可能です。

障害の有無でも国籍や世代でもない、ひとりひとりの表現の違いを感じる体験が、無意識に生まれてしまう差別感を拭い、だれもが暮らしやすい社会につながる。

そのような経緯から、障害のあるタップメンバーが案内人となり、参加者がまた次の案内人となっていく「メッセンジャー事業」を進めるに至りました。運営資金が足りず、クラウドファンディングfaavoでも応援を募り、輪を広げてきました。

このように試行錯誤を重ね行ってきた、"アート×福祉"の事例を報告して参ります。先例のない実施報告のため、データの一部は有料とさせていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします!

いつも応援いただきありがとうございます。サポートは活動維持費に使わせていただきます。どうぞよろしくお願いします!