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踊るさぶすくマガジン「くまのつべこべ」

ダンス劇作家「熊谷拓明」が、踊り続ける中で身に着けた【生きる】を楽しむ術を、■エッセイ■ダンス朗読劇■オリジナルダンス劇映画■ラジオ■対談■料理レシピ など様々なコンテンツでお届…
ダンス劇とは、日常に溢れるダンスのような瞬間や、演劇のような時間を切り取り、身の回りの【生きる】を…
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#朗読ラジオ

月刊読み聞かせ熊谷「やっぱり夏が嫌い」#14

■朗読ラジオ劇脚本無料公開 「やっぱり夏が嫌い」作/熊谷拓明 マスクの隙間から溢れる息が眼鏡を曇らせる事へのストレスにもすっかりなれてしまった7月の今日。 トドマリタケシは電車に揺られ優先席の窓越しに夕陽にそまる多摩川を眺め、ドアに背中を頼らせ足の疲労を和らげながら立っていた。 多摩川を眺めながらのはずが、実はさっきから目の前で繰り広げられている、50半ばに差し掛かっているであろう二人の男女の深い言い争いに耳を傾ける事に集中を持っていかれているのだ。 女「ちょっと

月刊読み聞かせくまがい『なんと、私が長嶺です。』2021/5/25配信

■朗読ラジオ劇脚本無料公開 「なんと、私が長嶺です。」作・熊谷拓明 「ふぅ。ふぅ。ふぇーー。暑いー、 ズボンなんて履いてられないな…ちょっと脱いどこ。」 夏の予行演習かのような5月のある日、長嶺いさおは、今日も出勤前の2時間を家で寛ぐ事に人生の7割以上の情熱をかたむけていた。 この日は部屋の窓を開け放ち、風が揺らしているカーテンのゆるゆるとしたダンスを眺めながら、ソファーでお気に入りの豆乳ラテを飲む事を目論んでいた長嶺であるが、その前に床の拭き掃除がしたくなり、昨日ま