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君は星の王子さまみたいだな

大学4年生の時、新入生歓迎会でゼミの先生から言われた言葉である。

「髪形がね」と。なんだ見た目かいな。当時は若者らしく髪を染めていたのでそう見えたらしい。

それまで『星の王子さま』を読んだことがなかった僕は、翌日、近所の書店に走り、岩波ジュニア文庫を購入した。箱に入っている愛蔵版だ。

読後、人生観が60度くらい変わり、以来、座右の一冊としている。

「聖書の次に読者が多い本」と言われており世の中に情報がありふれているので、内容について僕が語ることは特にない。

作中の「かんじんなことは、目には見えない」というフレーズはあまりにも有名なので、聞いたことがある方もいるだろう。

だが、それは喩えるなら「俺、さだまさしが好きなんだよね」と言ったら「亭主関白?」と返ってきた時の虚しさのように、物語の内容を言い当てていない。『主人公』や『風に立つライオン』くらいの名フレーズの宝庫なのである。

おわかりいただけただろうか。

『星の王子さま』とBlankey Jet Cityが好きな人に悪い人はいない、というのが僕の持論だ。

表紙の写真は釜山の甘川文化村で見かけた絵。銭湯をリノベーションしたアートサイトがあって、確かそこの壁に書かれていたように思う。釜山港を眺める王子さまとキツネだ。きれいだよね。

「君は星の王子さまみたいだな」

先生は本当に髪形のことだけを言ったのだろうか。

そうだよな。たぶんそうだろうな。

いつか原書を自分で翻訳してみたい、というのが僕の夢の一つ。まあ老後かな。まずはフランス語の勉強からだけど。

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