ダブルシャンプー

以前、カットとシャンプーが別料金の美容室に行った時のこと。格安カットのお店だ。

僕は髪を切りに行ったら、やっぱり頭は洗ってほしい。いや、まあ誰でもいいから、いつでもいいから洗ってほしい。

こういうお店で頼むシャンプーには、つい多くを求めてしまう。これが資本主義の恐ろしいところだ。

その日頭を洗ってくれたおっさんはドン小西のようだった。洗い足りない。僕はドン小西は求めていない。

「かゆいところないですか?」

「あの、全体的に」

タオルが目に当てられていて見えないが、おっさんの不満そうな顔が目に浮かぶ。心眼だ。無駄な力を使わせないでほしい。俺はオフなんだ。

おっさんがまた言う。

「かゆいところないですか?」

アンタ、今、時間にして3秒くらいじゃなかったか。

「すいません、もうちょっとだけいいですか」

おっさんが言う。

「お客さん、そしたらダブルシャンプーっていうのがあります」

「どんなのですか?」

「料金が2倍かかります」

「じゃあいいです」

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