逆上がりは初めての斬鉄剣

近所の小学校で行われた息子の体操教室的イベントの後、ぶらりと校庭に出る。

鉄棒が、見える。

ペンキでカラフルに塗って誤魔化そうとしても、隠し切れない金属の冷たさ。

あなたは難なく逆上がりができたタイプだろうか?

私は「否」である。

逆上がりは、胸を鉄棒に引き付ける腕力、地面を蹴る脚力、回り切る腹筋力、この3つの筋力と、それをタイミングよく発動させる運動センスを必要とする。

運動センスはその子の遊び方、つまりインドア派かアウトドア派かによって決まってくる。

私は自称「浜小のエースゲーマー」。

『ダウンタウン熱血行進曲それゆけ大運動会』なら1人で3人を倒すが、現実の運動会が楽しいと思ったことは人生で一度もない。

いいか、ただの一度もだ。

おわかりだろう。

逆上がりができるか否かが、物心も覚束ない子供の世界を、文字通り日向と日陰に分断する、初めての斬鉄剣となるのである。

小学2年生の頃、何度も何度も、あの簀の子の滑り台のような「逆上がり養成マシーン」で練習させられたが、結局できなかった。

あの機器は自転車の補助輪と同じで、たぶん「俺は逆上がりができるイケメンだ!」というイメージを掴むためのもので、運動センスの向上にはつながらない。

なんか、高学年になったら簡単にできたんだけどね。

武者震いがする。

もう25年くらいやっていないが…俺は逆上がりができるのか。

フラッシュバック、あの陰惨な日々。

いや、俺は成長した。

あのファミコン少年は、クラスチェンジを繰り返し、今やレベル40の文化系不良中年となった。

苦手属性も一撃で屠る!

1回目:腕に力が入らず失敗

2回目:成功成功成功成功成功!!

目にも見よ小学生!これが大人だ!!

以上。

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