まあ、やっぱり
「オレはそう思うんだよな、ウン。」
「それは違うと思うぞ、ウン。」
僕はちょっとイライラして友人に言う。
「お前さ、いちいち自分で言ったことに相槌打つ癖ヤメロよ。」
「わかったわかった、ウン。」
…。
まあいいや。
彼は本当に、全部の言葉に相槌を入れてるんじゃないかと思うくらい、「ウン」が口癖なのだ。
一度気になると、気になって気になって仕方ない。
また言った。ああ、また言った。
これ以上気にするのはやめよう。
友人にいちいち自分の言葉に相槌を打つ癖があるのは、たぶん彼があまり人から理解を得られない人生を送ってきたからだ。
自分の口癖はどうだろう。
気づこうと思えばすぐに気づける。
僕は、「まあ」と「やっぱり」である。
「まあ」を多用するのは、断言できない性格のためだし、次の言葉を考えるために時間を稼ぐためでもあるし、仲裁したりなだめたりすることが多かった人生だからだろう。
しかし、「やっぱり」って何だろう。
後悔なんだろうか。うーん。そんなに後悔しない人生を送ってきたと思うけど。
気づいた時から、僕は極力「まあ」と「やっぱり」を使わないように心がけた。
すると。
何も変わらないのである。
まあ、やっぱり。
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