誰かが捨てたもの

息子とHobby Offにいた時のこと。
Book Offのおもちゃ版、中古ショップだ。

彼はあれやこれやと棚を漁り、自分の小遣いで買えるものを吟味していた。弟にも買っていくのだと足し算をしていた。

一時間近くかかって息子は偽フェラーリのような得体の知れない赤い車を選んだ。1,000円。

これは弟に、とスカイラインGT-Rとパトカーのセットを選んでいた。800円。

そこに一組の親子が通りすがった。

子供が商品を手に取った時、母親が言った。

「汚いからやめなさい。誰が触ったものかわからないよ。」

「中古なんて、要らないから誰かが捨てたものなのよ。」

「お金を貯めて新しいのを買いなさい。」

その子は聞き分けよくおもちゃから手を放した。

僕はひどく哀しい、虚しい気持ちになった。

誰かが要らないと思ったものでも、別の人が価値を見出だすことがある。

それに、要らないと思ったのは持ち主の都合で、おもちゃの都合ではないだろう。

そんなことを思いながら、息子をレジに行かせた。

彼は5円のレジ袋を辞退していた。

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