よく考えた方がいい

大学生の頃、髪を染めていた。言うまでもなくモテたかったからである。

それで、実際のところモテたのかというと、言うまでもなくモテなかった。

親しくなった女の子がいなかったわけではない。しかし、彼女たちはみなアーパーギャルのような人たちだった。死語だ。

思わず侮蔑的な言葉を使ってしまったが、彼女たちは一様にいい人だった。ただ、ちょっとだけぶっ飛んでいた。「昨日、一日中ダンスしてたの」みたいな。そして、時間が経つにつれ、誰もが疎遠になっていった。

3年の終わりだったか、4年の初めだったか、いずれにしても大学生活も終盤に近づいた頃、仲のいい女友達がこう言った。

「アンタ、なんで髪染めてるん?」

衝撃を受けた。あまりの衝撃に、なんと返答したか思い出せない。つまり彼女は、お前には似合わない、という旨のことを言っただけである。今頃かよ。

そう、なぜアーパーギャルたちが私から離れていったかと言えば、ディズニーランドかと思って行ってみたら、そこは禅寺だったからである。あら、ギャップがいいわ、ということはない。落ちてダメージを受けるだけだ。

大人になってからわかったのは、世の中の人は、自分が思うより外見にとらわれる、ということだ。不思議はない。人の心はわからないのであって、それが表現されている外面が、その人を判断する手がかりになる。どういう服を着ているか、どういう持ち物を選んでいるか、どういう音楽を聴いているか、どういう本を読んでいるか。

たぶん、モテたいのであれば、男性誌を読むのではなく女性誌を読んで、そこに出てくる男性モデルのような服装をすべきである。見よ、彼らは毒にも薬にもならないようなつまらぬ身なりをしておるであろう。

私はアーパーギャルではなく楚々とした知的な女性を選好していた。それなら、きっと禅僧のような身なりをすべきだったのである。いや、それもダメかもしれん。

よく考えた方がいい。

よく考えた方がいいが、アーパーギャルも優しかったとは思う。つまり、私自身がアーパーギャルたちを外面だけでしか判断できなかった、アーパー男だったのであろう。

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