華丼

昔、小松駅前に「越前屋」という蕎麦屋があり、そこに「華丼」というどんぶりのメニューがあった。「花丼」だったかもしれない。

構造は極めて単純なのだが、カツ丼と豚カツの関係よろしく、天かすを卵とじして載せたどんぶりである。

何故だかこれがうまい。

本当にうまいのだ。

このお店のメニューは高校生には若干割高の価格帯なのだが、何せ載せているのが天かすだから、華丼は安い。

私の高校生の頃はまだ学校が完全週休5日制には至っておらず、土曜日はいわゆる半ドン、午前中が授業、午後からお休みという形だった。

ただ、部活に所属している生徒にとっては実際は午後からは部活だったため、昼食を食べる必要がある。

基本的にお弁当を与えられていたのだが、たまには、ということでお金をもらって外に繰り出すのが楽しみだった。大人の気分。

華丼は後にも先にもこの店以外では見たことがないメニューだと思っていたが、大阪には「ハイカラ丼」という名前で存在する、結構メジャーなどんぶりだそうで。

ちなみにこのお店は高校の同級生の親戚のお店だった。

店主らしき方に「僕ら○○高校なんですよ」と告げると、「あー、そうなの、うちの親戚の○○ちゃんは…」という立て板に水の会話が展開され、そういう意味でもほっとして食べられるお店だった。

あなたの御寄附は直接的に生活の足しになります。