オリジナルな問いをたてるー情報生産者になるより

最新刊の発達にて、誰だったかな、忘れてしまったけど、著書から引用していた先生がいて。

その記事自体は、どうやって実践的記録を描くかというテーマの中で、東大の上野千鶴子さんの著書を引用していたのが目に留まる。

僕の誤解かもしれないが、発達などのわりとしっかりしたミニ論文みたいな記事で、例えば津守特集であるなど特定の誰かをフューチャーする以外に、著書を引用するって珍しいケース。

著書は、発刊までに時間が経過し、旬なデータではなくなっているケースと、著書自体がそもそも書き手の主観によるもので、客観的なデータに基づいていない可能性があるからだ。

何度も引用されていたので、索引で調べてみると、ああ、あの上野さんか。東大の入学式で物議を醸した演説の。情熱大陸でも見た。

すぐに、ぽちった。

届いたのは、文庫本の大きさに似つかわしくない分厚さの本(笑)。

凄い、こんな分厚い文庫本初めて見た。

内容は、研究について緻密に描かれているのだが、非常に分かりやすい。大学院を目指している後輩にも進めたが、研究をしなくても参考になる。

一説を紹介する。

『問いをたてるコツは、風呂敷の畳み方を知っていること』

これは、論文初学者である学生は、妄想的にテーマが広する故に、研究にならず、そこから具体化し、テーマを小さくナローダウンさせるという意味合いで、上野さんは用いている。



僕は、最近、研究会でモデレートをすることが多く、どうしたら「問い」をたてられるのかずっと考えていた。

ここでいう問いとは、研究のリサーチクエッションとは異なり、思考をかきたてるようなドライビングクエッション。

しかし、この問いが難しく、どうしたら参加者の思考をかきたてられるのか考えても考えても、なかなか思いつかない。

研究会というのは、色々な考え方があるが、僕は中原淳さんの研究会の考え方に深く共鳴し、それ以降、「問い」をたててプログラムを構築していく手法をとってきた。

でも、その問いをたてるのが難しい。

一言でいうと、根本的で、抽象的になってしまうのだ。


そこで、ふと思った。

もっと具体でもいいのではないか。

例えば、今度「環境」についての研究会があるのだけれど、そのままでは

テーマにも問いにもならない。



年少の室内環境


いや・・・まだ広い。


室内環境の遊具の量

うーん・・・まだ広いかな。


では、これは?

年長の2学期以降の室内環境で、ままごとコーナーはいらないか?

これならかなり具体的ではある。

たぶん、いろんな意見が出てくるだろう。

いるよ、とか

いらないよ、とか。

賛否両論あるだろう。

でも、一つひとつ絞っていくと、そもそもコーナーって何だろうとか

ままごとで何を育みたい?とかいろいろな意見や思いが出てくるかもしれない。


ドライビングクエッションも、リサーチクエッションも、親戚みたいなもので、問いはナローダウンした方がよいの、かもしれない。

ただ、研究ではないので、ままごと環境が必須かどうかは各々の、あるいは園の考え方にもよる。なので、結論は出ない。

ドライビングクエッションとは、賛否や考え方が分かれるほどのテーマを設置しつつ、それらの考え方を互いに聞き、異なる意見を聞いて自身の保育を考えていく、ということ?かもしれない。

かもしれない、というのはまだ実践してないから。

これからやってみよう。

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