主体的に学ぶ子どもを育てる『自主学習システム』
今年度は、『自立した学び手』を育てるために、いくつかの実践を行っている。
その1つが「自主学習」だ。
休校明けから行っている「自主学習システム」を紹介する。
1、自主学習ノートコンテスト
①各自、自主学習ノートの自信のある1ページを開け、机に置く。
②10分ほど時間をとり、他の子のノートを見て回る。
③その際、「いいな」と思ったノートには、付箋にコメントを書いて、その子の机に貼る。
④「いいな」と思ったノート、ベスト3を選ぶ。集計用紙に理由と共に書き、提出する。
付箋を多く貼った子を、「友だちのいいところを見つけるのが上手いね」とたくさんほめる。
教師が「ベスト3」を集計し、票が多く集まったノートを、後日「自主学習ノートコンテスト優秀賞」として発表する。また、優秀賞には、ノートにシールとして貼れる小さな賞状をプレゼントしている。
このアイデアは、SNSの「いいね」からヒントを得た。tweetなどに、「いいね」をもらったら、嬉しいので。
2、学級通信での紹介
ほぼ日刊で学級通信を書いている。お手本になりそうな自主学習ノートを、学級通信で紹介している。
3、家庭学習カード
家庭学習カードに、自主学習で行ったことやできたことを記録させている。
記録と言っても簡単で、頑張ってほしい項目を作り、それができたらその項目に○をするだけだ。子どもは、カードに○を付けるために頑張るというシステムだ。
毎日、自主学習ノートと共に提出する。
また、音読の宿題も、このカードに含んでいる。
4、昇段システム
家庭学習カードに○が付いた数によって、「級」が上がっていき、「級」が上がるごとにシールを貼る。
実を言うと、モノ(シール)を動機にするのはあまり好きじゃないので、このシステムを取り入れるかどうか悩んだ。しかし、シールをもらえることを前面に出さずに、子どもの頑張りを可視化することを意識している。だから、市販のキラキラシールではなく、私手作りの「級シール」なのだ。
5、計画表
家庭学習カードの裏に、カレンダーを貼り付け、テストの予定などを記入させている。この1ヶ月で、この予定表を参考にして、テスト勉強を自主的に行える子がかなり増えた。
6、ノートの良いお手本を用意
言葉で説明することも大切だが、見本になるような自主学習ノートの実物を見せる方が手っ取り早い。
私の場合は運良く、友人が自主学習に力を入れており、そのクラスのノートを手に入れることができた。その中の何ページかをスキャンして印刷し、自分のクラスで提示した。
まずはお手本を配り、それらの「いいところ」を自主学習ノートの最後のページに箇条書きで書かせた。また、希望する子には、お手本を持ち帰らせ、家で学習するときの参考にさせた。
7、評定
子どもの自主学習ノートに、S・A・B・Cなどの評定を付けた。
【C】自主学習ノートを行っているが、1ページをうめきれていない。ナンバーや日付、タイトル、振り返りなど、当たり前に書くことがぬけている。
【B】1ページにわたって、自主学習を行っている。
【A】余白がほとんどなく、ぎっしり行えている。ていねいに書けている。
【S】工夫をしている。自分の興味の持ったことを調べている。漢字練習だけや計算練習だけでは、Sはつかない。
Sよりもいいノートには、SS、SSSなどを付ける。
8、教師のコメント
休校が明けてすぐはそんな余裕はなかったが、最近は子どものノートに毎日コメントを入れている。ほとんどがプラスのコメントだ。
コメントを入れるようになって、子どもノートがさらに良くなったような気がする。
9、ほめるほめるほめる
100点満点の5点ぐらいのノートが6点になっただけでも、大きくほめる。「めっちゃ上手くなったやん。自主学上手くなったやん。」と大袈裟にほめる。
正直、この取り組みを初めてすぐは、残念なノートもたくさんあった。いろいろ言いたくはなるが、そこはグッと我慢。ちょっとした変化を見つけてほめる。
10、時間を決める&学校で行ってもよい
「あまり時間をかけていないな」と思えるノートがたまにある。
だから、自主学習を行う意義をもう一度伝えて、自主学習を行う時間について、1時間ほどかけて、話し合った。
そして、「50分間」は必ず行うことに決まった。
その代わり、習い事などで時間を取れない子もいるので、学校で自主学習を行ってもよいことにした。
以前の私だったら、「50分以上はやろう」など、こちらから指示していたと思うが、子どもに課題を投げかけ、子どもたちと共に考えたのが良かった。
このルールを決めてから、時間をかけて学習するので、ノートのクオリティーがさらに上がった。
11、自主学習を学校でもさせる
自主学習を宿題に出しても、できる子とできない子に分かれるだろう。
だから、年度当初は、自主学習のやり方を教えて、教室で共に行う。そして、時間内に終えられなければ、宿題として行わせる。
こうすると、何をやっていいかわからない子が助かるのだ。また、教室で行うことによって、いろいろアドバイスもできる。
ちなみに、次のリストが教室で行った自主学習だ。
①漢字ドリル1ページを、「けテぶれ」で行う。
②算数の復習ページを、「けテぶれ」で行う。
③各教科のテスト前に、「けテぶれ」でプレテストを行う。
12、ライバルをつくる
自主学習コンテストの優秀者が固定されてきたので、複数の優秀者が選ばれる取組を行う。
①自主学習ノートで競い合いたい人のグループ(2〜5人)をつくる。(コンテストの前にグループをつくる)
②3人のグループだったら、3人のノートを並べる。
③クラス全体を見て回り、付箋にコメントを書いて、「いいな」と思ったノートに貼る。
④各グループの優秀賞を選び、優秀者の名前と選んだ理由を書いて、提出する。
教師は次の日に、学級通信などで、各グループの優秀賞を発表する。
グループになる時に、自分よりちょっと上だなと思う人と組むのがポイント。
13、ビフォー&アフター
・自分の成長を可視化するために行った取組。
①自主学習ノートの最初の5ページの評定を書き出す。
②C(1点)、B(2点)、(3点)、S(4点)、SS(5点)、SSS(6点)とし、5ページの評定の点数を足し算する。
③自主学習ノートの最近の5ページの評定を書き出す。
④5ページの評定の点数を足し算する。
⑤最初の5ページの点数と最近の5ページの点数を比べる。
⑥クラス全員分の点数も足し算し、クラス全員の成長を可視化する。
・「自主学上手くなったねぇ」とめちゃくちゃほめる!
14、自主学習ノートタワーを教室に作る(実施予定)
15、自主学習ノートで交換日記(実施予定)
16、授業参観でノートを展示する(実施予定)
17、自主学ビンゴ(実施予定)
【最後に】
このシステムは、「自立した学び手」を育てるために行っていると、前に述べた。
本当は、このようなシステムがなくても、「自ら学べる子」に育ってほしいと思う。しかし、いきなり「自分で学びなさいよ」と言っても、できるのは数パーセントの子だろう。
だから、このシステムは、「教師から与えられた課題をこなす子ども」と「自立した学び手」をつなぐ役割だと思っている。
「家庭学習カード」や「シール」などを少しずつなくしていき、このようなシステムがなくても学べる子どもになってほしいというのが願いである。
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