2024/05/08

犬が死んで一年経った。
お前のことを考えたらまだ涙がぽろぽろ流れた。

昨日は途端に食欲がなくなって、風呂に入る気力も雲散霧消して、着替えもできずに眠りに落ちた。

あたたかいお前を抱えてうとうとするのが好きだった。
突風みたいに走るお前に負けないように一緒に走るのが好きだった。
慌てなくても誰も取ったりしないのに急いでご飯を食べるお前を眺めるのが好きだった。
暑い日に湿ったお前の鼻先が触れると冷たくて好きだった。
陽に反射してきらきらひかるお前の毛並みを撫でるのが好きだった。

家族の中で僕だけが、お前のいない人生よりも、お前といた人生の方が長いと気がついた。お前のいた人生の方が短くなるまでは、きっとずっとこんな感じなのだろう。

あっという間に一年が過ぎた。
相変わらずパッとしないし、下を向いて歩いてしまうし、金太郎飴みたいな毎日に不安になる。
お前はいないが、でも、何とかやっている。
飯は食えているし、やりたいことは程々にできているし、友達もいる、好きな人もいる。
だからといって、お前を忘れた日は一日だってなかった。

母に伝えた、一年経ったと。
お友達できて、遊んでいるかな。だって。
そうだとよい。どうだい?犬よ。

今、僕に吹くこの風が、お前が走り回ったおかげだと思いたい。そんなふうな歌をこの前読んだ。もっともっと風を起こしておくれよ、何度もお前を思い出せるように。

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