ひそひそ昔話-その14 2004年のライトフライ-
恐れるべくは、ライトに届くフライボールだった。絶望するべくはグローブからこぼれ落ちるであろうソフトボールだった。冬至の近い日曜日の夕方、紅白試合は佳境を迎えていた。
傾いていく太陽が僕の影をどんどん引き伸ばしていくのが分かる。僕は自分が日時計の一部になったように感じる。僕はその針なる自分の影に向かって早く4時を刺せと念じる。その鋭利な針の先でそいつを刺し殺せと強く願う。それが即ち練習の終わりの合図だからだ。
右打ちバッターよ、ここまで打たないでくれ。
ピッチャーよ、どうにか抑