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日記

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現在進行形で書き続けている日記をエッセイ風にのっけてます
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#都営三田線

12/2の日記~ワルサーPPK、ロケットえんぴつ、蜂球~

地上ではひどい雨が降り続いていた。都営三田線の暖房の効いた車内は人であふれかえっていて、誰もかれもが傘を自分の第三の足のようにピッタリつけていた。交戦の意思はございません、これは武器ではなく私を支える第三の足ですから、と。観光客らしい外国人が日本刀のようなデザインの傘を持っている。僕が中学生で、今が修学旅行中ならば、絶対買ってしまっていただろうな。火縄銃のようにくたびれた茶色い傘を持っている人もいれば、マシンガンみたいな精巧な黒い傘を持っている人もいる。でも、僕の持っている小

11/16の日記~北風と太陽、サルバドール・ダリ、書庫群~

 かび臭い冷風をいつまで経っても吐き出し続けてきた三田線でも、ようやく暖房が効くようになった。それは早朝の地下鉄のホームに蔓延る、人々の諦めにも似た生ぬるさだったが、ないよりはマシだ。列島から退去するよう秋に差し向けた最後通達のようなものかもしれない。冬将軍がシベリア寒気団を携えて訪日するので、社会はそれの準備に入らねばならないからだ。  このところ、時間を見つけては散歩をしている。今日の皇居東御苑も、高層ビル群の中で、ひときわ異彩を放っていた。皇居の上に広がる空は広い。皇