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日記

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現在進行形で書き続けている日記をエッセイ風にのっけてます
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2020年1月の記事一覧

2018/10/29の日記~絨毯、ガイドライン、縦走~

すっかり乾燥してしまった唇の薄皮をそろそろと剥がしながら、秋の夕暮れを見つめている。そこにはある種の矛盾が生じているような気がする。イチョウ並木が黄金に染まり、紅葉は煌々と燃えている。灰色のコンクリートは暖色の落ち葉の絨毯の下敷きになり、そしてダメ押しとばかりに並木道は色鮮やかにライトアップされる。だけど、そんな色使いの温かさとは裏腹に、街はどんどん肌寒くなっていく。もうじき雪も降ってくるだろう。気づけばもうすぐ11月。 数日前、風が轟々と吹いた日、そこには眠れない夜があっ

冷え固まった決意にかいとうを与えるには、まだ幾ばくかの時間がかかりそうか?

怠惰な人間は、冷え固まった決意を持つ。 土曜日、目を覚まして起き上がることもせず、芝生に寝転ぶスナフキン的面持ちで天井の火災報知器を眺めていた。 はて、今何時だろう?たぶん午前10時よりは前の時間だったと思う。壁にかかるキャプテン・アメリカの盾のデザインの時計は、電力不足なのか正確な時間を刻んでくれてはいない。針は16時40分を刺している。随分と進んでいる。 だけど、隣の小学校のチャイムがさっき鳴ったこと、太陽の昇り具合、満たされた睡眠時間から推察するに午前10時頃であろう

2019/1/6の日記~サザンカ、卵の殻、自惚れオリオン~

サザンカが並ぶ坂道を登りながら、妙な気持ちでその日あった出来事を思い出していた。時刻は深夜。というよりもう1,2時間もすれば太陽が地平線から顔を出すであろう、そんな折。  たとえば、タイムカプセルを開くと、十余年もの間プラスチックケースに閉じ込められていた、思い出とも呼べるか分からない代物が出てくる、その時の複雑な気持ちだ。 学級通信、宅習ノート、固まって得体の知れないものへと変貌した何か。 家に持って帰るのをめんどくさがった誰かが入れた、役に立たない道徳の教科書。  

2018/1/1の日記~13年間、ストレート、ステーションワゴン~

太陽がその年最後の仕事を済ませ、西の地平線へと沈んでいる。年に数回しか会えない実家の愛犬の散歩を買って出た僕は、尻尾を振るそのダックスフントを連れて堤防を歩いた。相も変わらず短い脚で一生懸命に歩き、時に疲れたといってその場に突然座り込むその小さい毛むくじゃらに翻弄されながらも、ぎゅうっとリードを握り締めた。なんだか変わらないとは言っても確実に眉毛に白髪は混じったし、生命の躍動を具現化したようなあの軽快な走りもあまり見せてくれない。彼女は半年後には13歳を迎える老犬で、その逃れ