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焦りと不安

1部昇格を決め
チームは高いモチベーションでプレシーズンを
迎えた。

外国人枠の選手を新たに獲得し
Jリーグ経験者や海外で長くプレーする選手が
入団し競争も激しくなった。
(フィリピン1部リーグは3国籍関係無+1アジア国籍)

フィリピン人選手も補強し、
今まで目指していたチームの形がより
高いレベルで表現できるようになっていた。

1年目はCBやボランチでのプレーが多かったが
2年目となるシーズンではトップ下で
起用されることが多かった。
CBとボランチに経験のある素晴らしい選手が入った
ことでポジションを変更する形になった。

シーズンが開幕すると格下、対等のチームには
安定して勝つことはできたが
上位チームにはなかなか勝てずにいた。

個人的にも同じで格下相手に得点やアシストを
残せる事がほとんどで
上位チームを相手にすると得点やアシストを愚か
パフォーマンスがイマイチな試合も目立った。

ポジションに慣れずパフォーマンスが
安定しなかった事や、90分通しての動きの
質と量が足りなかった。
CBに比べると運動量という部分で必然的に
上がってくるし、90分やり切れるか不安の中で
試合に臨むことでメンタル面も不安定になり
パフォーマンスが今ひとつ出せなかった。

シーズン中盤にはパフォーマンス不良から
3試合レギュラーを外れた。
悔しい気持ちとなんとか変わりたい。
そしてこのままでは来季の契約も
貰えないのではないかと不安と焦りの
感情も同時にあった。

確実に何かを変える必要があった。

大きく変える必要はない。
まずは少しで良いから出来ることをと思い、
チームメイトの方などに
アドバイスをもらい試合の中で90分走れるように
するためトレーニング後に少し自主練を加えた。

出番がまたもらえた時に必ず結果を残す。
その気持ちと焦りと不安を抑えながら
来たるチャンスに向けて取り組んだ。

幸いスタメンを外れた試合から3試合後に
再びスタメンに復帰した。
試合には勝利し自身も2得点することができた。
ただそんなことよりも
この試合をきっかけに自分は確実に変化していた。

「プロとして試合に臨む姿勢」

スタメンを外れた3試合の焦りと不安は
計り知れなかった。
この焦りと不安は
試合を臨む上で必要なメンタリティに
大きな影響を与えた。

プロになってから初めて味わった恐怖感。
試合に出れないことでクビになるかもしれない。
そう思えた事で1試合に賭ける気持ちが変化した。
そしてそれはそのままプレーにも現れた。

今まで外人枠として感じていた物足りなさ
これがこの時から少しずつ減った。
今までもプロ選手としての自覚はしっかりと
持っているつもりだった。
ただ試合に賭ける気持ちが変化した事で
プレーヤーとしての風格、振る舞い、圧の
ような目に見えない部分が変わった。

チームは中盤以降、
上位チームにも結果を出し始めた。
チームのスタイルがより確立し始め、
それがきちんと結果として現れた。

JP Voltes FCは優勝こそ逃したが
2位に勝ち点同率で3チームが並び得失点差で
4位となった。
昇格初年度として上出来だった。

そして3年目となる来季
チームから延長のオファーをもらい
再びフィリピンでシーズンを迎える事になった。

つづく


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