スポーツスターのT/M事情

 ハーレーダビッドソンにはスポーツスターというモデルがある。その名の通りスポーツ走行に適したモデルだ。コンパクトで比較的軽量な車体が最大の売りのスポーツスターは排気量883ccと1200ccのラインナップがあり、ビッグツインとよばれる所謂一般的なハーレーに比べて排気量も小さく価格も低い。そんなライトなハーレーのスポーツスターは一昔前には”女の乗るバイクだ””金のない奴が無理してハーレーに乗っている”などと揶揄されていた。全くもってナンセンスである。私はそんな頃よりスポーツスターが好きで、修業時代に師匠や仲間から、お前にはスポーツスターが似合うと良い意味で言われたのも後押しして今でもスポーツスターを所有している。そんなスポーツスターLOVEな男が書くスポーツスター記事に今後も注目してもらいたい。

 只今作業中のスポーツスターは2003年、通称100周年モデルのXLH883。カテゴリーはソリッドマウントのEVOスポーツに入る。ソリッドマウントとはエンジン等がフレームに直接マウントされているモデルの通称で、EVOスポーツとはエンジン形式の通称だ。

 感覚的に1998~2003年あたりのスポーツスターに、1速にギアを入れてクラッチをミートさせた時に”ガチャン”とさらにギアが入る現象が起こることが多い気がする。今回の作業はその修理である。
 この”1速ガッチャン現象”はギアが入る場合はまだいいが、酷くなると逆にギアが抜けてしまう。ギアが入る時は、走行中クラッチを使わずシフトチェンジした時のようにギクシャクした感じになるし、ギアが抜ける時は回転数だけふけ上がる。これが信号待ちからのスタートダッシュ時に起こるとかなり焦るし、スタート時に毎回その感覚が頭をよぎり相当不快である。
 機械であるので不具合には必ず原因があり、修理できる物もあれば構造的に修理不可な物もあるがこれは修理可能だ。

 1957年~2003年までのスポーツスターをソリッドマウント、2004年以降をラバーマウントのスポーツスターと呼ぶ。ラバーマウントとはエンジン等がラバーを介してフレームにマウントされるモデルの通称。80年代ぐらいまでのスポーツスター(通称アイアンスポーツ)は違う選択基準なのでちょっと置いておいて、リジットかラバーか?スポーツスターの購入を検討するときには重要な選択肢だ。インジェクションモデルに乗りたい場合はラバーマウントモデル一択なのでそんな人には関係ないが、そんなことも、マウント方法の違いも全く知らない、ただスポーツスターが良さそうだから乗ってみたいと思っている人には是非リジットマウントのスポーツスターを選んでもらいたい。その理由は細部まで上げるときりがないぐらいだが大きな理由としては、整備性が悪く修理のコストが高くなるというもの。以下の画像を見てもらい

リジットマウントモデルのトランスミッションケース

 画像は、エンジンからの動力を伝達するプライマリードライブ(一時減速)を取り外しその奥にあるトランスミッションを取り外した状態。トランスミッションを取り出すのに手馴れていると1時間もかからないぐらいだ。これがリジットマウントモデルの一番の利点というか、何故かラバーマウントモデルではプライマリードライブの奥は蓋がされトランスミッションを取り出せなくなってしまった。これでは同じような故障修理でもコストに大きな差が生じてしまう。最悪、車両購入金額を上回るコストになる場合もある。なぜなら意味もなくエンジンを分解しクランクケースを真っ二つに分解しないとトランスミッションを取り出せないからだ。一応メーカーの言い分は、スポーツスターにおけるトランスミッションの修理の頻度が低いためとされているが体のいいコスト削減がいいところで、私の経験からスポーツスターはトランスミッションが弱い。そんな弱点にアクセスしがたいモデルは長く乗り続ける相棒にはちょっと不向きだと思う。これが私がリジットマウントモデルのスポーツスターを強く薦める理由の一番地だ。

リジットマウントスポーツスターの5速トランスミッション

 今後も私の愛するスポーツスターについて書いていこうと思うので乞うご期待‼では

ODA SYCLE
小田

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?