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#622 “持ち運べる“スキルや経験を、自分の中に見つける方法

おはようございます。
仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び、小田木朝子です。
このチャンネルは、出産を仕事のやり方を変革するチャンスにするオンラインスクール育休スクラより、仕事、キャリア、両立にちょっと役立つヒントを配信します。

今日は、いただいたご質問を取り上げてみたいと思います。
キャリアに関する話ですね。
質問者は、えつさんです。
えつさん、ありがとう。

【現在、市役所で仕事をしています。公務員です。
今の部署の仕事は楽しいが、定期的に異動があるのが特徴です。
悩みは、市役所での仕事経験が、次のキャリアに役立つのだろうかと感じることです。
管理職になるという道もありますが、なにか役に立つ専門性を身につけないといけないのではないかとも感じています。
客観的なアドバイスをいただけると嬉しいです。】

えつさん、一緒に考えてみましょう。
私は、公務員として行政機関で仕事をしたことはないのですが、行政で仕事をする方と一緒に仕事をしたり、知人の行政職員の方もいらっしゃるので、そんな様子を拝見すると、えつさんも書いてくれてますけれども、”定期的に異動がある”公務員の方の異動は、私からしてみると、ほぼ転職じゃんというぐらい、結構大きく仕事内容が動いていくんですよね。
これは誰が想像してもなかなかだなと思うと思いますし、自分が動かなくても、上司や一緒に仕事をする仲間も同じスパンで動いているので、ガンガン変わっていくとなると、こういう職場で鍛えられながら仕事をしてるんだなと想像させていただいております。


今の職場での経験が他でも役に立つだろうか

えつさんのお悩みは、「ここでの経験が他でも役に立つのだろうか?」という悩みですけれども、これはどんな仕事をしていても、結構抱えがちなテーマじゃないかなと思います。
例えば、自分にとって武器になるような経験が積めているだろうか?
どこでも使えるスキルは身についているんだろうか?
それが自分にあるかな?とか、ここにいることで身につくのかな?
こういう関心は、どんな職場で、どんな仕事をしていても、結構多くの人が抱えるテーマではないかなと思います。
そんな観点も含めながら、えつさんの公務員として市役所での仕事経験が、次のキャリアに役立つのだろうかというクエスチョンを、一緒に考えようと思っています。

どこから考えるかですが、「どんな仕事をしていますか?」というと、例えば、「公務員です」とか、「事務職です」とか、「営業です」とか、「技術職です」と、大きなくくりで自分の仕事を説明する呼び名があると思うのですが、これはあまりにも大きいので、キャリアという観点で考える上では、どこまで分解できるか?分解がかなり必要になってくるのが、このテーマじゃないかなと思います。

持ち運べるスキルと、持ち運べないスキルに分ける

どうやって分解していくと考えやすいか?
「自分は何を持っていて、何ができるだろうか?」ということがつかみやすいか?これを順番に考えていければと思うのですが、まず一つ目の分解は、持ち運べるスキルと、持ち運べないスキルに分けてみる
これはすごく分けやすいんじゃないかなと思います。
自分が持っている物の中で、例えば、異動になっても転職になっても、持っていけるものは何で、持っていけないものは何なのか?ですね。
例えば、「今の職場で課長の癖を知っています」とか、「職場の人間関係を熟知しています」とか、「社内のワークフローのプロセスや承認者について、卓越した経験値を持っています」この辺は、持ち運びにくいですよね。
その職場、その場所特有のスキルと言えるんじゃないかなと思います。
では、どんなスキルが持ち運べるかというと、持ち運べないスキル以外の全てですよね。
ただ、この全てが何かというのを、言語化して自覚するのが、すごく大事な部分になるかなと思います。
例えば、「法律の文章や契約の文言を読むのが得意だな。この職場で培われた大事なスキルの一つだし、これって他でも通用するよな。」「町内町外も含めて、多様な関係者を集めて、会議準備をしたり、適切な進行をするスキルは、本当に鍛えられたわ。」というと、それも間違いなく持ち運べるスキルですよね。
「ここ数年、後輩の育成の役割を担って、新人がチームの中で仕事を覚えて定着していく中で、1on1を通じてコミュニケーションをとりながらサポートする経験は十分に積めたな。」これも持ち運べると思います。
こんな感じで、分解のその一は、持ち運べるスキルと持ち運べないスキルに分けていく。
これが一つありかなと思います。

持ち運べるスキルを、さらに分解

もう一つの分解の切り口が、持ち運べるスキルに対して、職種に付随するスキルと、ベーススキルに分けていく
この分け方で、さらにシャープになっていくかなと思います。

職種に付随するスキル

”職種に付随するスキル”と、”ベーススキル”は何かというと、職種に付随するスキルは、例えば、「福祉関連の部署にいた時に、福祉に関わる法律に詳しくなりました。」とか、「そこに付随する行政手続きや制度について、人に教えるのが可能なぐらい熟知しています。」これは職種や所属する事業や業界に関するスキルですね。

ベーススキル

もう一つは、ベーススキルですが、これは職種や業界にかかわらず使えるスキル
これは、”ベーススキル”、”汎用スキル”、”基礎スキル”と呼んでいいんじゃないかなと思います。
例えば、「この仕事を続ける中で、関係者間の調整をしたり、合意形成をするスキルが培われたな」とか、「仕様や要件をもとに、企画を立てることを経験したな」とか、「目的に対して、仕様や要件を固めることが得意になったな」とか、「会議のファシリができる」とか、「仕事を進める上で論理的思考力がとても鍛えられて、根拠を示しながら相手に説明できる」あと、周りを動かしながら、チーム全体の成果を引き出すマネジメントの経験なんかは、ベーススキルの最たるものですよね。
こんな感じで分けていく。

なぜ行政機関での仕事が他では役に立たないと感じるのか?

えつさんのご質問に書いてありましたけれども、どうして行政機関での仕事が他では役に立たないと感じるのか?
ここもぜひあわせて、この分解の段階で掘ってみるといいんじゃないかなと思います。
本当にそうだろうか?この観点で見ていく感じですね。
確かに、行政機関と民間企業は違うと思いますが、民間企業と一口に言っても、あまたいろんな会社がありますので、例えば、えつさんが行政機関の特徴を、「決済システムがきちんと確立されていて、市民がどう思うか、市民がどんなニーズを持っているか、これを抑えていろんな物事を決定することがすごく重要で、働き方とか役割が、多様な職員で構成されている」と感じていたとして、こんな感じで行政機関の特徴をあげていくと、同じような特徴や傾向のある民間企業だって、世の中にたくさんあると思うんですよね。
そうであれば、同じような組織特徴の中で経験を積んだことが、ベーススキルにも反映されるし、翻って、ご自身の強みだとか磨いてきた経験とも合致して語れるようになるんじゃないかなと思います。

大事なのは良い土であること

なぜ職種に付随するスキルとベーススキルの分け方の話をするかというと、私たちはついつい職種の方に付随するスキルにばかり目がいっちゃうんですよね。
どっちのスキルがより重要かという話ではなくて、森の中の土と木の関係性だと思っています。土の上に生える木が職種に付随するスキルですよね。
今はりんごの木が生えてるけれども、次は杉の木を植えたい。キャリアチェンジをするというのは、新しい木を植えることに該当するかなと思います。一方で、同じ職種や業界で転職や異動をしていくことは、同じ木をより大きく太く育てていく。これと同じですよね。
新しい木を植えるにしても、今、生えている木を太く育てていくにしても、大事なのは良い土であることだと思いますので、職種に付随するスキルばかり見ちゃうと、自分がどんなタイプの土壌で、新しい木を植えることができるのか、それとも、今、生えている木を大きく育てた方がいいのか?こういうことがジャッジできなくなっちゃうんじゃないかなと思います。
なので、土にもちゃんと目を向けて、自分がどんな土壌なのかとらえられるようしていくことが、分解の上では一つの大事な観点になるかなと思います。

すぐに他で通用するスキルはない

最後に一つだけ、えつさんのご質問の中の「他で通用するか?」ここに視点を向ける考え方はとても大事だと思います。
ただ一方で、すぐに他で通用するものは、どんな業種・スキル・職種においてもない。もっと言うと、同じ職種、同じ業界だってないと思った方が、実態には即していると思います。
だって組織が変われば、仕事のやり方もルールも文化も違うし、状況も違うし、一緒にいる仲間も違うので。
なので、たとえ同じ業界・職種の転職であっても、すぐに通用するものはなくて、新しい環境に慣れて力を発揮していくには、一定の時間をどんな人でも要するものなんだと考えた方が、私は健全だと思います。

ということは、今回のえつさんのご質問のテーマが、「自分のスキルや経験は他でも役に立つのだろうか?」というメッセージを投げかけてくださいましたが、大事なことは、自分がやってきたことややれることを丁寧に分解して自覚をしていくことと、異動にしてもキャリアチェンジにしても同じだと思うのですが、新しい環境の仲間や上司と期待値をすり合わせることがどのぐらい丁寧にできるかどうか。
”期待値”というのは、相手が自分にかける期待と、自分が職場や仕事にかける期待。
その期待を満たすまでに必要な時間だとか踏むべきステップといったことも含めて、丁寧にすり合わせ・景色合わせができるかどうか、そのための準備に時間を割いたり、そういうスキルをどこにいても磨くことがすごく大事なことになると思います。

えつさん、大丈夫、大丈夫。
自信を持ってください。
そして、心から応援していますというメッセージを伝えて終えたいと思います。
今日は、10分放送のはずが、はみ出てしまいました。
最後までお聴きいただき、ありがとうございます。

それでは、今日も一日良い日にしましょう。

小田木朝子プロフィール

「仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び」小田木朝子(おだぎともこ)です。
このチャンネルは両立女性のためのオンラインスクール育休スクラから出産後の変化を柔軟に乗り越え、仕事がもっと楽しくなる“知恵とヒント”を平日の毎朝配信しています。2回の育休を経て、現在人材育成・組織開発を行う株式会社NOKIOOの役員をしています。
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