紀伊太郎

紀伊太郎です。よろしくお願いします。

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最近の記事

君と君の彼の将来

どこかへも向かっていない関係がもっと私の生活をハッピーにすると思うのです。 みんな、人生を考えるのに必死になっているようで、 本当に「片付いていく仲間たちに、ため息、、」 彼との未来があるのかもしれないけれど、 そのあとの未来がそのあともずっと続いたら君はきっとうんざりするんだろう? だから、今は私とどこへも続かないただ楽しいだけの生活を送ってみるのはどうだろう。 隣の部屋に、君の彼氏が来ていたって構わないし、 君が仕事が遅い時には、スープを作って待っていてあげ

    • あの子が結婚したらしい

      あの子が結婚したらしくて、わたしはたまげた。だけどそんな風にさらっと結婚してしまう彼女はやっぱりかっこいい。 大学の頃から、あの子は他の子とは違うと思ってた。彼女はほんとうにかっこよかったんだ。だから彼がいるってことを知って、なんだあの子も普通に恋をするのかって思ったんだ。 彼女があの人と結婚することは、きっととても自然なことだったんだろう。 彼女のなにを知っているわけでもないけれど、わたしはそんな風に思う。 わたしは、この頃考えすぎているなと思う。彼女の結婚を知ってからそう

      • 就職活動をしていた大学生の時の君に

        就職活動をしていた大学生の時の君に 働くのも悪くないし 仕事の仲間もいいもので こないだのスキーだっていけばよかったんじゃないかと思っているくらいだよ ひとまず今のところはなんとかいけるようだから伝えておくよ #春 #就活 #就活生

        君と君の彼の将来

          綺麗な水だった。緑の藻がゆらゆら揺れているのが水面越しにもよく見えて、空の色が反射していた。水の底まで光は行き渡っていて、神様の力を感じた。それで私は、ここにある全てはこの世のものではないんだなあと納得することになった。私もあなたも腰のあたりまで水に浸かっていて、それでいて濡れていないような顔をしていた。 二人とも同じ方向を向きながら、でも少しだけ、お互いに向かい合わせになるような形になっていた。 私たちは、向かい合わせになって寝るときと、それから同じ方向を向いてバナナの

          アベックのボーイフレンド

          アベックのボーイフレンド 君と私はアベックで、彼は私のボーイフレンドだったら理想的だ。私と君は、お互いのことをこれから一生一緒にいるかもしれない人だと思っていて君はそのことを私に伝えてくれるし、私も確かにそう思う。君は私の友達であり、兄であり、弟であり、恋人であり、私の鳥でもある。だから私たちは、単なるカップルではなく、二人だけの間の言語を持った特別な二人になりたい。私たちはそれがアベックなんじゃないかと思うことにした。だから君は私の彼氏ではなくてボーイフレンドなのだ。私は、

          アベックのボーイフレンド

          日曜の明日

          日曜に、明日は月曜かあと思うのは変わらない。社会人になって間もない頃は、5日働いて、2日休んで、というループに吸い込まれそうで、こわくてこわくて仕方がなかった。だけれどそれも、そんなに悪いものでもない。働いている間の時間を死んでいる時間だと思っていた学生時代の自分も少し大袈裟だったと今では思う。月曜の朝だって、起きてしまえばこっちのものだ。そうなのだけれど、日曜の明日はやはり苦しい。それでも仕方ないので、楽しかった昨日のことや、もっと遠い秋の紅葉や、見てみたい魚のことを考える

          日曜の明日

          かっこいいカップル

          駅でかっこいいカップルを見た。どことなく派手な若い2人なんだけれど、田舎の駅で別れていたのは9時ごろでなんだかほっこりする。男の子が、彼女を最寄駅まで送ってあげたみたいで、 彼女がありがとう、と言うと男の子はニイっと笑って、それからすれ違うみたいなタイミングでハイタッチをした。そのまま彼女は改札へ、彼は向かいのホームへ歩いていった。わたしはなんだかたまげてしまった。かっこいい。2人の息はぴったりで、いい温度で、とってもすてきな関係だよ。なかなか離れられないカップルも愛し合って

          かっこいいカップル

          夢に出てきたから、昔付き合っていた人に電話をしてみた。今まで一度も夢に出てきたことがなかったのに、鮮明な彼の姿をみてすこし動揺した。もしかしたら死んだのかもしれないと思って。 しかし、彼は生きていて、電話に出て、調子はどうだと私に言った。なんだか拍子抜けしてしまって私は泣いてしまった。彼はそのことに気がついて、泣く必要はないと言った。それでも私はときどき泣いた。彼は私が泣くのが嫌いで、きちんと理由を説明してほしいといつも言った。だけど私はそれが説明できなくて、ただ抱きしめてほ

          夏の東京スリランカの夜

          夏の東京スリランカの夜

          セミ側のおばさん

          信号を渡ろうとすると、おばさんがチラシの折りたたんだのをアスファルトにこすりつけていた。なんだろうと思ってのぞいてみると、キャラメル色のツヤツヤしたものを掬おうとしていた。わっ、なに?とわたしが声をあげると、おばさんは、セミをね戻したいのよ。更によく見てみるが、それはまだセミじゃない。羽は生えていないし、セミの抜け殻そのものだった。でもまだ、抜けた後の殻にはなっていなくて、やっぱりそれはセミらしかった。おばさんはセミを帰してあげたい、とは言っていなかった。セミを戻したいと言っ

          セミ側のおばさん

          2019/7/31

          氷みたいな花瓶に挿さった花が、タイルの床に置かれているのを見て、最近こういうのを見ていなかったなと思った。 クーラーが効いた私の部屋の隣で、先生がひとりで亡くなっていたということはとても悲しいことだ。ただの隣に暮らしているのに、生きているのと、それが止まったのとを感じることはできなかった。警察が何人も入ってきて、窓から先生の部屋へ入っていって、これから荷物をどうするとかそういうことを話していたみたいだ。最後に目を瞑るときには、このあと自分のからだがどうなるのだろうとか、だれが