あなたのオリジナリティ
20年前ぐらい前
大きめのデジカメを買って
500mmの超望遠レンズを買って
あまつさえ焦点距離を1.4倍にするアダプターを手に入れ
どうしても撮りたかったものがありました
月です
頭上37万kmに見える魅惑の天体
毎日形を変え
表面には海とクレーター
昇りかけの満月は赤く
天頂にある半月はクレーターでギザギザに見え
スキニームーンとも称される三日月は
地球からの照り返しを受け暗部がぼんやりと見える
それらを半年ほど追いかけ
アルバムを充実させていきました
しかし段々熱が冷めてしまい
追いかけるのをやめました
なぜか?
月を画面いっぱいに収めようとしてたけど
それって誰が撮っても同じだよなー
なんならツヨツヨのカメラ・レンズには
絶対に敵わないなー
ましてや令和の世になっては
普及価格帯のカメラでさえ綺麗に撮れてしまう
そこにオリジナリティーはあるんだろうか
いや、オリジナリティーを消し去った先に
最高の天文写真があるんじゃないか
そう思い至ってしまったら
「わたし」が月を撮る意味を見出せなくなりました
まるでフィギュアスケートの規定演技ようで
性格的に合わなかったんです
(やったことないけど)
でも、その規定演技も
基本的な技術を磨くという意味で
大切なのは理解しています
わたしの半年間も無駄ではなかったよ
その上でわたしが月を撮るルール
引いては写真を撮る時のルールを決めました
「月とスッポン」です
誰もが知る月に
ごく私的なものごと(スッポン)を絡めて撮ろう
目の前の夕空を横切るカラスと
たまたま隣にあった電柱電線と
シルエットに見えるビル群と
食べかけのアイスクリームと
そんなどーでもいい個人的な事情を絡ませることで
「わたしの写真」ができるといいなー
そう願って、毎日シャッターを切ってます
この世に「オリジナル」なものはない
なんて言われてますが
写真を見せたときに
「ナツオらしいねー」
なんて言われたら
うれしくて泣いちゃいますよ