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第一章 ”二人は出会う” 第三節
母が戻って来ると私達が荷物を運んでいる姿に驚愕し、父を無慈悲に叩き起こした。
衣装ケースは父へと預けられた。
一人で飄々と担ぐ姿に頼もしさを感じながらも、自分たちの非力さを実感させられた。
「じゃあまた後でね、草壁さん」
そう元気に謂い放つと、口笛でも聞こえそうな軽い足取りで一人寮の方へと戻っていく。
この地に慣れ親しんでいる様子から見るに、やはり私より先輩なのだろう。
この寮では同学
第一章 ”二人は出会う” 第二節
声の方へ振り返ってみると、初夏の風の正体は声の印象通りの、暖かな笑顔で立っていた。
綺麗なロングヘアの女性だった。
それに白いけれど白すぎない、健康的な肌の色。
背丈は私の方が少しだけ上だけど、彼女の雰囲気は決してそれを感じさせない。
木漏れ日に照らされて、うっすら栗色がかって見える髪。
小さい顔に、ぱっちりしながらもキリっとした、少し鋭い眼つき。
二重で茶色の瞳、長い睫毛、ほん
少女と罪 栞編 ~jalouse~ の小説まとめページ
本ページに、本小説についての簡単な説明と、各小説ページへのリンクをまとめます。
1. 本小説について
本小説は、現在制作中のビジュアルノベルゲーム(タイトル同じ)のシナリオと同じです。
他の小説サイトにも同じ内容を投稿しておりますが、小説として最後まで投稿するのは本サイトのみになります。
2. 本小説のゲームについて
サークル「PurePurple」が制作中のビジュアルノベルゲームです。
C9
少女と罪 栞編 ~jalouse~ 第一章 ”二人は出会う” 第一節
何かの始まりというのは、期待に隠れるようにして、言葉に出来ない恐怖が背後に確かに存在しており、いつも私の心を蝕もうとする。
特にそれが初めて親元を離れることになる”新生活”なら尚更。
これから先に起こることを全て私独りで受け入れなければならないという、
漠然とした、だけど巨大な壁のように確かに存在する不安感に襲われそうになりながら、
自動車の後部座席で独り震えていた――――
私の名前
少女と罪 栞編 ~jalouse~ プロローグ ”マリア様の噂”
――ねぇ、マリア様のステンドグラスの噂って、知ってる?――
――うん。 マリア様にお願い事をすると、何でも願いが叶うってやつでしょ?――
――でも願いが一つ叶う代わりに――
――何か一つ、大切なものを失うらしいよ――
少女は夢(よくぼう)を抱く。
心に一度芽吹いてしまった小さな蕾を一生懸命咲かそうと、足掻き、もがく。
そしてついに少女は聖母様にこう謂う。
――お願いですマリア様。
私の願