バヤリースと似た濃さで
カレンダーに書くほどの予定がなくて、白いカバーで覆われている手帳は中身も真っ白。
3月からは明るい色の手帳を買おうと決意しました。
ここでは、バヤリースという果汁20%オレンジジュースの、いや、それにも全然満たないくらいの濃度で、小さな日記がまとめてあります。
人と会話をしないことがこんなにも毒であることが伝わるような内容ばかりなので、ぜひ健康的な時に読んでもらえると少しは笑ってもらえるかも知れません。
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〇月〇日、〇曜日
ハンドクリームで保湿したばかりの手で今日が燃えるゴミの日だと気づく。
ゴミ袋を結ぶと得体の知れない油で手が汚れてしまった、最悪。
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◎月◎日、◎曜日
もう自撮りのストックがない。
知る人ぞ知る某SNSで毎日一枚ずつ写真をアップしていたが、そのネタすら切れてしまった。
もし、末次どりるをジャンル分けするとしたら、人によっては”ネットアイドル”にも捉えられそうだけど、実のところ、それは私の本意とは真逆である。
現場主義者の私が最も恐れていることは、写真を閲覧することで、いつでも会えると錯覚させてしまうこと。
もういっそ、今日の夜ご飯である「豆腐ハンバーグ・冷奴・豆腐のみそ汁」の豆腐三昧写真でもアップしようと思ったが、その写真にいいねをつける相手方の労力を想像するとあまりにも寂しいのでそれもやめた。
自分が可愛く居られる日の写真だけアップしていこう。
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▽月▽日、▽曜日
昼休みは昔放送されていたドラマを1話ずつ消費する。
私を分かっている人からのおすすめは大体好きになる自信はあるので、普通にハマってしまった。
20年前のドラマなので単純に今の年齢から20を引き算。私が6歳のときだ。
規則正しく生きていた6歳の私は、夜の8時にはきっと布団の中だろう。
その生活習慣は大人になってもしっかり守られていて、目覚ましが鳴る5分前には体が起きるというサラリーマン精神で今も養われている。
だけれど、今日はそれがめっきりダメだったことも事実。
いつもなら家を出る1時間前には起きているのだが、出発時刻の5分前に布団から脱出する始末。
それでも遅刻しないで会社に到着するのだから、私はまだまだ大丈夫。
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◇月◇日、◇曜日
はじめて自分専用の女子更衣室をきれいに片付けて帰った。
自宅の他にも、人が立ち入らない領域があるのはとても贅沢なことで、その贅沢さに怠けていたら、更衣室は足の踏み場がないくらいの事態に変わっていた。
更衣室をきれいに片付けようと思ったのは、年明けに届いた訃報の落ち込みを今日まで引きずっている証拠でもある。
「明日、ここに来なくても大丈夫なように」と、天邪鬼なおまじないをかける。
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△月△日、△曜日
オレンジ色の髪の毛が日に日に色落ちしていく。
色落ちの過程は髪を好きな色に染めた時の楽しみの一つだが、オレンジ色は茶色に近づきながら落ちていくから少し困っている。
ナチュラルじゃないからこそ至高なのに…
土曜日まで待ってほしい。
色落ちが怖くてお風呂にも入れない。
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□月□日、□曜日
仕事に疲れてご飯も食べずにコタツで寝ていたら、地元の友達からグループ通話が来ていた。
もう1時間以上も前から電話が鳴りっぱなしだったことに驚きつつ、急いで通話に参加する。
案の定、ビデオ通話に切り替えてと催促されるが、鏡を見ずとも分かる今週一やばい顔で、気の知れた友達でもそれを見せるのは勘弁だった。
バーチャル背景と誰でも少しはマシになれる加工でなんとか乗り越えたが、不細工すぎて話に集中できなかったのはここだけの秘密。
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以上が私のここ最近の話。
密度の薄い毎日をやっとの思いで過ごしています。
140字に収まるくらいの毎日なのに、ちょっとでもはみ出したいプライドの高さには心底呆れてしまうね。
楽しみなことといえば今週の土曜日だけ。
これが終わったらどうなっちゃうんだろう。
あー、しんどい。
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