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【続・続】〇△◇パズルでSTから教わったこと

「さて…」
ST先生は、自分のデスクの引き出しから、〇△◇の木製パズルを取り出した。
「このパズルの、一番簡単なやり方と、一番難しいやり方を教えて。」
いきなり僕に振ってくるST先生。
僕は戸惑いながら、パズルを受け取った。
「じゃあ、最初は、一番簡単な方法。どうする?」
ST先生は、勝ち誇ったように満面の笑みだ。僕は緊張した。でも、嫌な緊張感ではない。ST先生は、決して怖い先生ではないことは分かっていたし、チャレンジャーとして僕を認めてくれたことに対しての、嬉しさもあったから。
僕は、パズルを穴のあくほど凝視しながら、僕の回答というよりは、ST先生の意図する所を全力で探した。その様子を見ていたST先生は、先生の右隣に座って固唾を飲んでいたST実習生に向かって言った。「おつさんの、考えようとしているオーラ分かる?」
それから、5分くらい経っただろうか?(分からない…そもそも〇△◇っていう時点で、超簡単なパズルじゃないか。これをどうやって簡単にしたり、難しくしたりするんだ。)
僕は一旦、3つのピースをすべて外し、「こうやってやるんですよ。」と言いながら、ST先生にパズルを渡した。このモデリング以外、僕に一番簡単な方法など思い浮かばなかった。
ST先生は、言った。「…それまだ難しいやり方だな。」僕は、詰んだ。全然分からない。
「じゃあ、僕が一番簡単だと思う方法を言うね。」ST先生は、パズルを静かにデスクに置いた。(続く)

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