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始まったら終わりも来る。

僕はラジオをすごく愛している。
聴き始めたのは中学生のころ。当時YouTubeに無断転載されていた西川貴教のオールナイトニッポン(ANN)。今のようにラジコはないし、おすすめ動画で上がってきたものが自動再生されたのを聴いて、勉強が手につかなくなるほど腹を抱えて笑った覚えがある。
こんな体験をリアルにしたくて、親に「英語のリスニングのCDを聴くためのプレーヤーが欲しい」と言って、3000円のCDを聴く機能がついているラジオを買ってもらった。
その日の夜、どうにかこそこそ夜更かしをして、今やっているANNを聞きたくてアンテナを伸ばし聞いてみたが、ノイズだらけで何を話しているのかわからなかった。
その後もいろいろ試したが、よくわからないコミュニティラジオしか明瞭に聞くことはできなかった。

時は流れ、高校3年生、冬。
ラジコというアプリにタイムフリー機能というものがついた。
ここから、僕の生活が大きく変わった。
タイムフリー機能のおかげで、夜遅く起きている必要がなくなり、これまで諦めていたラジオ視聴が可能になった。
ちょうど受験生ということもあり、勉強をしながらその合間に、細切れに1つの番組を聴いていた。
当時、一番好きだった星野源ANNやTBSラジオの山里亮太の不毛な議論などを少しずつ聴いていた。
1月くらいになると多くのパーソナリティが受験生を面白おかしく茶化しつつ、応援してくれて視聴者との距離が近いラジオならではの温かさを感じながら試験を受け、一喜一憂しつつどうにか大学入学が決まった。

大学に入って、想像以上に暇な時間が多く、通学中、空きコマ、突然の休講、あらゆるタイミングで多くの番組を聴くようになり、週に24時間以上聴いている時期があった。
そんななか、2018年にCreepy Nuts ANN0が始まった。
HipHopが好きだったのもあり、彼らの音楽は聴いていて、ワクワクして初回をどうにか起きて聴いたのを覚えている。
初回こそ、爆発的に面白かったわけではない。
でも面白くなりそうなコーナーの予感にソワソワして毎週聴くようになった。

それからというもの、佐久間宣行のANNが始まったりして、聞く番組は増えたり、忙しさから心境の変化から減ったりしたが、大学生の間はCreepy NutsのANNは聴き続けた。
番組が改編突破していく中でどんどん番組に深みが増していき、大学で同じくリスナーの友達ができ、すごくアホらしい番組イベントのパブリックビューイングにも行った。
CreepyNutsの2人の人間性からくる面白さやたまに見える未熟な部分を聴いて勝手に親近感を覚えていた。

社会人になった1年目、コロナ流行により、家で過ごす時間が大学生のころよりも増え、ラジオを永遠と聴いていた。
どのパーソナリティもこの状況にうろたえながらも工夫し頑張っている姿を聞いてただ単純に元気が出た。
そして、Creepy NutsのANN0からANNになり、30分放送時間が増えた。
世の中は徐々に普通の生活に戻っていき、自分自身も忙しくなっていた。そんな中で、30分の時間はおろか、永遠と聞いていたラジオとも離れていった。
新しい音楽も聴きたい、仕事もしなきゃならない。ラジオも聞きたい、仕事中には憚られる、というより仕事柄物理的に厳しい。
いろんな理由の中で、自分の生活の中でラジオの影が薄まっていた。

1か月ほどラジオと離れ、なかなか途中から入りづらい文化でもあることを理解していた自分はラジオを聴く習慣がなくなっていた。
ある日、仕事が終わり疲れて家に帰り、シャワーを浴びているとき、鏡に映る不愛想な顔を見て「最近笑ってないかも」と思った。マスクをしているおかげで、表情が見えない。良くも悪くも無表情な生活の結果がだらけきった顔に表れていた。

シャワーを出て、なにか面白いものを、絶対に笑っちゃうものを求めて、スマホを開きYouTubeで「ラジオ 神回」と調べ出てきたいろんな番組の懐かしい数々のエピソードから#91 2020年1月のCreepy Nuts の痛いファンという回を聞いた。(無断転載を聞くのはだめだけど聞いてしまった。すみません。)

泣くほど笑った。
リスナーとパーソナリティの爆発的な盛り上がりが頂点にまで達した神回の一つだと思う。

そこからすぐにラジコを開き、聞いていた番組の最新話を聞いた。それらがどんな回だったかは覚えていないが、その後ラジオリスナーに戻っていくのに時間はかからなかった。

そして今に至る。
CreepyNutsは次の3月でANNを卒業する。
永遠に続くものはないし、そんなことはわかっている。
でもどこか勝手に「この二人はラジオだけは辞めないだろう」と思っていた。
なんとも身勝手な痛いリスナーだったと今となっては気づく。
悲しさこそあるけど残り少ない放送を楽しんで、最後まで聞いていきたいと思う。


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