遊戯王OCG【コアジェネクス ‐STEAM P.U.N.K. EDITION‐】デッキ解説
どうも。決闘の虫こと、「いなご」と申します。
普段はYouTubeにて、動画投稿者として活動しております。
◆チャンネルはこちら
https://www.youtube.com/channel/UCgQEbryHKtP7QHlovwLAUpg
上記動画チャンネルにおいては、遊戯王OCGの対戦動画及びその際使用したデッキ解説を中心に投稿しておりますが、今回は記事媒体でも加筆修正版としてデッキ解説を投稿いたします。
こちらでは、動画とはまた違う切り口で"プロトタイプからの変遷"と題し、当時の構築も交えてお伝えします。
8年半ぶりの再構築
まだニコニコ動画でデュエル動画の投稿をしていた2013年に、原型となる【コアジェネクス】は既に使っていました。
そのコンセプトは、『「ジェネクス」モンスターの召喚時サーチを、「サモンチェーン」で爆発させてフルパワーの展開力でビートダウンする【コアガジェット】的な形はアリなのでは?』というアイデアから至ったものです。
Q.【コアガジェット】って何?
上記の通り、「グリーン・ガジェット」⇒「レッド・ガジェット」⇒「イエロー・ガジェット」の召喚ループを「サモンチェーン」で丸ごと展開力に変換し、「緊急テレポート」でサイキック族チューナーを用意することでシンクロ召喚をも可能にしたデッキのことです。
レベル7の「ブラック・ローズ・ドラゴン」をシンクロ召喚し、その効果で「歯車街」を巻き込んで破壊、「アンティーク・ギア」モンスターを特殊召喚してビートダウンするというのが基本的な動きです。
このデッキはシンクロ召喚が実装されたばかりの2008年に登場し、多くのカードが比較的安価に手に入ることもあって初心者でも扱いやすく、『除去して殴る』の手本の一つとしてにわかに話題を呼んでいました(多分)。
そして何よりもの特徴なのが、一般的に呼称されるデッキ名に、考案者本人のハンドルネームが含まれるデッキであるということです。これは、現在までに【三原式】等わずかしか存在しない、とても珍しい事例です。
【コアジェネクス】は、この構築思想を「ジェネクス」モンスターによって実現しようと試みたデッキです。
「レアル・ジェネクス・ターボ」⇒「ジェネクス・パワー・プランナー」⇒「レアル・ジェネクス・マグナ」⇒「レアル・ジェネクス・クラッシャー」⇒「レアル・ジェネクス・ターボ」…
といった具合に、「ジェネクス」モンスターにも召喚ループの組み合わせが存在し、「サモンチェーン」とのコンボを流用しやすい構造を持っているのですが、
「ガジェット」ループの特徴
・召喚ループに必要なカードが3種類
・サーチ先が固定されている
・星4・機械族・地属性で統一されており、エクシーズ召喚向き
「ジェネクス」ループの特徴
・召喚ループに必要なカードが4種類
・サーチ先に選択肢がある
・星・種族・属性がバラバラであり、シンクロ召喚向き
似た機構を備えた両者でも、このように比較すると全くの別物であることがお分かりかと思います。
長所と短所を理解し、リスペクトしながらも差別化することが、このデッキを組む上での課題となります。
Q.【コア〇〇】名乗れなくない?
デッキの定義にまつわるお話を一読した皆様からは、このような疑問が浮かんでくることでしょう。
答えは、100% YES です。
定義としては、特定のカードが含まれた【ガジェット】であることなので、これらのどれが欠けても基本的にそう呼称することはありません。
ではなぜ【コアジェネクス】としたのか?
語呂が良く言葉の響きが好きだったんですね。
【コアガジェット】原理主義者の皆様には大変申し訳ございませんが、ただ、それだけなのです。その名の由来は当然存じておりますが、命名に際してあまり意識はしていません。俗称ですからね。しかし、そのリスペクト精神はデッキに落とし込んだつもりです。
そして、その2013年当時の構築がこちら。
【コアジェネクス】
『これが【コアガジェット】ならぬ【コアジェネクス】?』
エクシーズ召喚登場から約2年ほどが経過した頃の高度エクシーズ成長期の只中にあって、シンクロ召喚に対する逆風が吹き荒れ、エクシーズの潮流へとすぐさま順応していった「ガジェット」に大きく水をあけられていた「ジェネクス」。
このデッキは、そんな彼らの召喚ループを敢えて一部切り取ることで簡潔にし、残ったメンバーの特徴を活かすことで実戦に耐えうる構造にしたものです。
「サモンチェーン」の発動のために、チェーン2で自発的に発動できるカードとして「緊急テレポート」、「ヴェルズ・サンダーバード」を採用しています。コンボの始動となる「レアル・ジェネクス・ターボ」を素体として、レベル7のシンクロ召喚や、「未来への思い」を阻害しない「ヴェルズ・サンダーバード」とランク4のエクシーズ召喚を可能にしています。
このデッキのポイントは次の通りです。
①は「ガジェット」の召喚ループの動きにはない数少ない利点であり、シンクロ召喚を得意とする「ジェネクス」ならではの動きが味わえます。
エクシーズ召喚の選択肢については、主役とするモンスターのステータスに着目し、「ガジェット」モンスターとの差別化を模索する中で私が導き出した回答の一つです。ビートダウンに加えて、このような "使い分け" を武器に戦うデッキでした。いやぁ、懐かしい。
当時は、「ジェネクス」にとってとにかく厳しい時代でした。「レアル・ジェネクス・ターボ」+「レアル・ジェネクス・オラクル」という便利な展開パターンを有しているにもかかわらず、この2枚だけで出せるシンクロモンスターは存在せず、レベルはバラバラでエクシーズ召喚さえできず、種族・属性のサポートカードたちの共存も考えにくいカードプールだったのですから。
召喚回数が稼げた分だけエクシーズ召喚が連発できる「ガジェット」に対して、得意分野であるはずのシンクロ召喚ですら下手をすれば押し負ける始末で、「ジェネクス」には課題が多すぎました。
このデッキも、この構築の発表後程なくして解散しましたが…
2021年、まさかの8年半ぶりの復活!
この長い期間に膨大な数の新たなカードが世に解き放たれ、ルールはもちろんデュエルフィールドも変化し、その契機となった2017年の新マスタールール施行時は、多くのデッキにとってリスタートと取れるタイミングでもありました。
受け止めるにはあまりある高さの波ではあるものの、果たしてこのデッキは、どのように進化できるのか?乗るしかない、このビッグウェーブに…。そんなふとしたきっかけで再びこのデッキに手を伸ばしたというわけです。
そんな2021年のこのデッキは、このようになりました。
【コアジェネクス ‐STEAM P.U.N.K. EDITION‐】
ド派手に攻めるぜ、ジェネクス魂!
いやぁ、様変わりしましたね。【コアガジェット】要素はほぼ消えてしまいましたが、当時の「サモンチェーン」による連続召喚からのビートダウンというコンセプトはそのままに、要のコンボパーツへのアクセスを取り入れた形へとチューンアップしました。
そして、以前の構築では採用できなかった「レアル・ジェネクス・クラッシャー」、「レアル・ジェネクス・マグナ」を採用。ついに召喚ループメンバーが揃いました。
前者は「緊急ダイヤ」に対応し機動力がアップ、後者は「死魂融合」から「起爆獣ヴァルカノン」の融合素材となる重要な役目を担っています。
「アーミー・ジェネクス」と「レアル・ジェネクス・ヴィンディカイト」は見送りとなりました。「緊急ダイヤ」で上級側の選択肢となったり、「風霊術-「雅」」に対応する等で検討はできますが、2013年構築の「星に願いを」、「未来への思い」に関連するコンボがなくなり、以前のような活躍が見込めないためです。
救世主たち
「レアル・ジェネクス・ターボ」+「レアル・ジェネクス・オラクル」からシンクロ召喚できるカードが今なお存在せず、宝の持ち腐れとなっていた「ジェネクス」の展開力ですが、リンクモンスターの登場により革命が起きました。
そう、「水晶機巧-ハリファイバー」、「幻獣機アウローラドン」です。
この2枚が、これまでのあらゆるデッキの常識を覆したのは周知の通りです。
それは「ジェネクス」においても例外ではなく、「レアル・ジェネクス・ターボ」がこれらの展開手段となったわけで、いわゆる"1枚初動"へと評価が一変したのです。「ジェネクス」にそんなカードが生まれると誰が想像したでしょうか。
「幻獣機アウローラドン」については、自身が「幻獣機」モンスターであることがとても大事で、「幻獣機コルトウィング」の発動条件と召喚補助を1枚でこなせるというのですから驚きです。「ブンボーグ001」とのコンボでシンクロ召喚連打に切り替える攻め口も、シンクロ召喚を主体にしやすい「ジェネクス」の性格と合致しています。
さらには前述のカードたちで「ギアギガント X」をエクシーズ召喚する動きも可能になり、「レアル・ジェネクス・ターボ」をその場で用意できるようになったことで、コンボパーツの準備は格段に楽になったと言えます。
このデッキの代名詞ともいえる「サモンチェーン」ですが、カードプールの拡大に伴いチェーンを自発的に積むことが容易になりました。
機械族の動きを加速させる「緊急ダイヤ」、「機甲部隊の超臨界」の②の効果、「水晶機巧-ハリファイバー」から「幻獣機オライオン」を特殊召喚し、「幻獣機アウローラドン」のリンク召喚成功時に2つの効果でチェーンを稼いだりと、「緊急テレポート」を間に挟むことに躍起になっていた当時からすると選択肢は山のように増えています。
こちらの効果の発動に対し、相手がチェーンすること自体がこのカードにとってメリットとなるため、「マシンナーズ・カーネル」等の一撃が重い効果を使うことで、『どうせ破壊されるなら…』と、相手が何らかの効果をチェーンせざるを得ない状況をつくりだすことも有効です。
このカードへのアクセス方法については、ドロー次第という部分はまだまだ大きいものの、「幻獣機ヤクルスラーン」でのアクセスも可能になりました。
以前はシンクロ召喚自体の難易度が高く採用は難しかったのですが、「幻獣機アウローラドン」でしっかりアクセス可能になり、受動的であるにせよ「サモンチェーン」への足掛かりとすることができるようになりました。
「幻獣機アウローラドン」と並べば、あちらに破壊耐性が付与されるため、かなり厄介でしょう。とはいえ、破壊以外の除去手段も豊富ですので、過信は禁物です。
最近では「天獄の王」なるカードも登場し「サモンチェーン」へのアクセス手段は増えていますが、相手ターン中にセットカードを表にできるケースが少なめと判断し、今回は見送っています。間違いなく適任なカードではあるので、今後採用もあるかも?
「レアル・ジェネクス・ターボ」+「レアル・ジェネクス・オラクル」だけで繰り出せる、オンリーワンな技を習得。対象を取らず、破壊しない除去である点も強力です。
「サモンチェーン」からの連続召喚が決まった場合、「レアル・ジェネクス・ターボ」+「ジェネクス・パワー・プランナー」でもこのカードを特殊召喚でき、かつ道中で手に入れた「A・ジェネクス・バードマン」とともに「A・ジェネクス・アクセル」をシンクロ召喚できます。
③の効果で加える「風霊術-「雅」」も、風属性でまとまった「幻獣機」がいるので発動コストには困りません。
墓地では「死魂融合」で「ミュステリオンの竜冠」の素材としてみなすことができます。
総じて、「ガジェット」との差別化点として大きく貢献できるカードであると言えます。
イカしたヤツら
今回はさらに、「P.U.N.K.」カードたちを一部採用しました。
「水晶機巧-ハリファイバー」へのアクセスを嵩増しできるのはもちろん、「Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー」で「Jo-P.U.N.K.デンジャラス・ガブ」を構えて攻めを通すための準備ができるのもグッド。「天獄の王」を採用するなら、ここを起点にする構築だとうまくいきそうですね。
「Jo-P.U.N.K.Mme.スパイダー」以外のどれか1枚でも手札にあればいいので、これだけで実質3枚分の初動があることになります。
「No-P.U.N.K.セアミン」が「機巧狐-宇迦之御魂稲荷」に対応するので、運が良ければ「緊急ダイヤ」からの流れで呼び出すことも可能だったりします。
さらに今回の構築では、「混沌の創世神」のアシストが光ります。
よく見かける「混沌の創世神」2枚体制による半永久的な除外利用というよりは、瞬間的な高パフォーマンスが期待できるカードとして採用しています。
EXデッキのモンスターで召喚コストを捻出するほか、「P.U.N.K.」初動の中で「No-P.U.N.K.フォクシー・チューン」と「No-P.U.N.K.オーガ・ナンバー」を墓地へ用意しやすいため、デッキに占める光・闇属性の見た目の割合よりも出しやすさがあります。
「レアル・ジェネクス・オラクル」と「ジェネクス・パワー・プランナー」もこのカードを特殊召喚する際のコストにでき、その効果で「レアル・ジェネクス・オラクル」を特殊召喚すれば、このカードとともに「レアル・ジェネクス・クロキシアン」をシンクロ召喚できます。
これぞスチームパンク!
「A・ジェネクス・バードマン」を特殊召喚して「Uk-P.U.N.K.アメイジング・ドラゴン」をシンクロ召喚する選択肢もあり、一気に畳みかけることができます。「緊急ダイヤ」1枚で「ブンボーグ001」と「マシンナーズ・カーネル」を特殊召喚すれば、その場でとりあえずの返しとして使うこともできるので、結構気に入っています。
さらに、これらシンクロモンスターをバックアップできるカードをご紹介。
「パワー・ツール・ドラゴン」と相性のいい「フルール・ド・フルーレ」を採用。
「パワー・ツール・ドラゴン」でこのカードを手札に加え、「レアル・ジェネクス・オラクル」を特殊召喚すれば、「A・ジェネクス・アクセル」をシンクロ召喚可能です。
さらに墓地へ送られたこのカードがフィールドのシンクロモンスターに装備され、攻撃力が700アップします。このデッキに採用されているシンクロモンスターたちの少し物足りない攻撃力をしっかりフォローしてくれます。
そして、トドメにはこのカードも。
ビートダウンで削り切れなくても、バーンダメージ戦法があります。
「死魂融合」の融合先として、「起爆獣ヴァルカノン」を採用。「レアル・ジェネクス・マグナ」をサーチ後、「A・ジェネクス・アクセル」で捨てておけば、準備完了です。
対象にならないモンスターの増加や、フリーチェーンで逃げられたりと、必ずしも決まるわけではありませんが、相手の意表を突いてゲームエンドに持ち込める可能性を秘めています。
自身が機械族・地属性モンスターであることから、自爆後に「マシンナーズ・カーネル」が墓地から復活し、さらなる圧をかけることもできます。
おわりに
以上、【コアジェネクス】にまつわるデッキ構築の過去と今でした。
普段から長期戦を意識したデッキ構築をベースとしているので、初期から一貫してオフェンシブなデッキというのも私のデッキでは珍しいなと思います。それでも、このように裏では長いドラマがあるのです。
様々な活用法の提案ができるようになるために、今後も「ジェネクス」を研究していきたいですね。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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