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秋彩

金木犀が復活した。
台風でほとんど落ちちゃって、朝夕もぐっと涼しくなったから今年は短かったな…と油断していたら日中の夏日のお陰、見事返り咲いていた。
世の中は金木犀で賑わっているけど、私の家の近くの香りは銀木犀から由来しているものだと最近気付いた。バス停まで歩けば、金木犀の木もあるんだけど、家の一番近くは銀木犀。

金木犀も銀木犀も、日本では自然発生しない植物だから、この花や香りを好きな人が植えたもの。そう考えると、愛しさが込み上げてくる。この話、好きすぎて、この時期になるといつも思い出してしまう。

そんな愛しい花ですが、なんと我が家の近くは銀木犀。愛しさひとしお。どうでも良いレベルで個人的なことだけど私は銀の方が金より好きなのだ。日本で暮らしていると、金>銀という社会価値に触れることが多く、その不遇具合により一層心を掴まれる部分もある(失礼な話だけど…)。レコードとか、紙の本がみちっと並んでいる書架とか、お手紙とか。私はそういう、「価値的に言うとちょっとそこまで」と分類される、だけど今もなお現存しているものに人間が今まで辿ってきた歴史や、本来の価値から離れた所に持っていく人間性に惹かれるのだと思う。

あんまり関係ないけど、この前、バスで小学生の男の子3人組が私が先に降りるよう促してくれた。地元の小学校と私の通学路が被るので、この1ヶ月余りだけで色々な小学生を目にしてきた。自然に、お互い楽しそうに、でも周りへの配慮を忘れない子達は今の所彼らだけなので、記憶に残っている。

良いな〜そういう事できるような人でありたいな〜と思った。あったら良いけど、別にそこまで必要ない、という類のもの、「取るに足らない」ものたちが日々の生活にきっと彩を与えてくれる。楽しみながら、周りにちょっとした幸せも振りまけるように。日々の良いことを見つめながら、ふわっと歩こう。

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