闇に溶け込む
最近太陽を長らく見ていない。
曇りが多く、そして一年で一番暗い時期だから。
雨も相まって、眠気がすぐに襲ってくる。
そして、私はすぐに夜の闇が連れてくる哀しみに足をすくわれ、呑み込まれてしまう。
ときに、私は「見送る」という行為があまり得意ではない。
置いていくのと、置いていかれるのと、どっちが辛いのだろう、という問いをずっと持て余しているけど、未だ答えは出ていない。
人というのはどうして、ひだまりに包まれたあと、一番冷たさを感じやすくなってしまうのだろう。
だからやっぱり、冷たいところから暖かいところに入った時の包まれるような気持ちの方が安心できるのだろう。
そこで今日はずっと見ようと思っていた、一人の夜にぴったりな映画を観れた。夜から明け方の様々な街の中を走る、タクシーで送ってもらっている間に起こる、群像劇の詰め合わせ。
特に何も起こらず、ドライヒューマーが散りばめられた映画と共に夜が更けていく、という感覚は闇にゆっくりと溶け込む感覚に似ている。
日本のタクシーではあまりないけど、イギリスのタクシーに乗った時には運転手さんに結構話しかけられたな、確かにあれは短い物語だ、と物思いに耽っている内に、穏やかな時間が降り積もっていく。
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