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【企画レポート】キラーロボットって何?

こんにちは!福岡ピースボートセンターボランティアスタッフをしているサニーです!

今回は、キラーロボットという殺人兵器について「キラーロボット反対キャンペーン」の運営委員であるAAR Japan(難民を助ける会)の櫻井さんのお話を参考にして内容をまとめながら、私が感じた課題や感想を書いていきます。

1.はじめに

みなさんは、「キラーロボット」を知っていますか?
私は今回初めてキラーロボットという言葉を聞きました!
キラー(=殺人者)ロボットは、国際会議では「自律型致死兵器システム」と呼ばれています。確定した定義は今のところないのですが、「兵器に組み込まれたプログラムに従い、作戦行動の開始から攻撃目標の探索・実際の攻撃まで兵器に組み込まれた人工知能の判断で実行される兵器」とされているそうです。

2.軍事費に対する世界の動き

世界の軍事費は2020年時点で1兆9,800億ドルもあります。その中でもアメリカは7,780億ドルと世界全体の39%を占めており、日本の防衛費も年々増加しています。しかし、この世界全体の軍事費を削減し、軍の安全保障ではなく、人間の安全保障に充てれば以下のようなことができます。

0.03%・・・WHOが必要とする6億7,500万ドル
      →コロナ感染症連帯対応基金
 7%・・・1,412億ドル
      →新型コロナウイルスのユニバーサルワクチン接種
 9%・・・10年間で1兆8,000億ドル
      →気候変動への適応策
10%・・・年間平均2220億ドル
     →SDGs4「すべての人に教育を」

GDAMS(Global Day of Action on Military Spending)キャンペーンでは、このような莫大な資金を軍事費として使用するよりも、人と地球を守るために使用した方がよいのではないかということを、具体的な数値で示しています。韓国では既に2020年4月に防衛費約850億円を削減し、新型コロナウイルス対策の支援金として国民に支給する予算案を可決しています。

3.自立型致死兵器システムがもたらしうる課題

次に、キラーロボットがもたらしうる課題について以下の5つの側面から見ていきます。

① 法律の側面(Legal Argument)
② 安全保障の側面(Global Security)
③ 兵器システムの人間の制御(Human Control of Weapons System)
④ ジェンダーとバイアスからの視点(Gender and Bias)
⑤ 交差性と人種差別(Intersectionality and Racism)

① 法律の側面(Legal Argument)
法律の側面では、区別原則として、文民と軍人、民用物と軍事目標の区別をつけることができるのかという問題や、比例原則として、軍事的利益と巻き添えによる文民の死傷などがあります。他にも、人権を侵害された被害者の救済措置や国際人権法の根幹である人間の尊厳などが挙げられます。

② 安全保障の側面(Global Security)
まず、キラーロボットの実験と製造を規制しなければ兵器が拡散されてしまう可能性があります。戦場に人の配置をしなくて良くなるので戦争を開始しやすくなってしまうことが予想されます。また、ソーラーパネルなどを装備すれば既存の兵器・軍用車両などに容易に転用でき、紛争後も地雷のように紛争地に放置される結果、一般市民への被害が生じてしまうのではないかという懸念もあります。加えて、やはりキラーロボットは機械なので、システムの相互干渉やシステムがハッキングされることで自国の兵器が自分たちを襲うことも考えられます。それ以外にも、戦闘の加速、偶発的な紛争、社会の軍事化、不当な抑圧、非国家主体、サイバー上の脆弱性など、多くの課題があります。

③ 兵器システムの人間の制御(Human Control of Weapons System)
兵器システムの制御をどこまで人間が行うかということで以下の5段階にレベル分けがされています。世界的にはレベル3以降は禁止する(しなければならない)という方向で話し合いが進んでいるそうです。

レベル1:どんな攻撃を始める前に人が攻撃目標について熟慮。
レベル2:プログラムが攻撃目標のリストを提供し、人が攻撃目標を選定。
レベル3:プログラムが攻撃目標を選定し、人が攻撃前に許可。
レベル4:プログラムが攻撃目標を選定し、人が拒否するための時間が制限。
レベル5:人の介入なしに、プログラムが攻撃目標の選定と攻撃の実行。

④ ジェンダーとバイアスからの視点(Gender and Bias)
紛争下の子どもの6人に1人が武装勢力による性暴力のリスクを負っています。性暴力は、子どもや女性に屈辱を与えるだけでなく、被害者一人ひとりの人生と未来を引き裂きます。紛争下での性暴力は社会に根深く残っている問題であり、キラーロボットが人間の代わりに戦争を行ったところで、これらの問題は解消されません。

⑤ 交差性と人種差別(Intersectionality and Racism)
ひとつに、事前に機械学習で与えられた内容により結果が変化する人工知能のバイアス問題があります。実際にアメリカで行われた採用試験で事前の機械学習の偏りにより有色人種や女性が排除されるという事例がありました。また、キラーロボットがなにかミスをしたときに自滅し、証拠隠滅をするのではないかという声もあります。それだけでなく、兵器使用に伴う責任問題も考える必要があります。

4.世界の世論

2020年に行われた28カ国を対象とした調査では、全体の62%が自律型致死兵器システムに反対という結果が出ています。日本では、59%が反対、12%が賛成、29%がわからないという結果になっています。反対派の理由の65%が「道徳的な一線を越えてしまう。機械が人を殺すべきではない」と答えており、半数以上が「アカウンタビリティ(責任追及)がない」と回答しています。また、反対意見は女性と男性の両方で多く見られましたが、男性の方がキラーロボット使用を支持する傾向が強いという結果も出ています。

5.キラーロボット反対キャンペーン

現在65カ国159団体が加入し、キラーロボットの予防措置や実用化前の禁止運動を行っています。このキャンペーンでは、法的拘束力のある条約の策定を目標としています。内容としては、武力行為において武器の有意な人間の制御を確保し、自律型致死兵器システムの開発・製造・移転の禁止を求めています。そのほかにも、規範的な枠組み(Normative Framework)の必要性、武力行使における人間による制御(Human Control)の保持などを求めています。

6.最後に

人工知能(AI)は天使か悪魔か、それは私たち人間がどのような開発をしていくかで大きく変わっていくと思いました。ロボットが戦争を代替することで、実際に銃を持ち殺しあう兵士や強制的に兵士として戦わされる子ども兵がいなくなるなら、それは良いことかもしれません。しかし、戦争への参入の容易化や戦争を深く考えない人の増加などを考えると、やはりキラーロボットは開発すべきではないと思います。

そもそも、第2次世界大戦後に国際の平和と安全を維持するために設立された国連の常任理事国がキラーロボットを作っているということもおかしいと思います。二度と戦争を起こさないために、なぜキラーロボットを作る必要があるのでしょうか。現在の核兵器のように、キラーロボットが戦争の抑止力になるとも考えることができますが、万が一の事態を想定したら、やはり開発を禁止すべきではないかと思います。存在していない兵器に法的拘束力のある条約を策定することや規制をかけることは難しいですが、今後も人間みんなでこの問題について考えていく必要があると感じました。

ボランティアスタッフ サニー

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サニーさん、感想を寄せてくださりありがとうございました!
企画では、スライドを使いながら詳しく説明をしています。また、最後には参加者からの質問にもお答えいただいているので気になる方はぜひ30日間無料期間を使ってのぞいてみてください!

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