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ミタストAirエリアを富山市内1500箇所で実測検証した


前置き

ケーブルテレビ富山が展開するミタストAirというサービスをご存知だろうか。最初この名前を聞いた時SoftBank Airの再販みたいなやつかと思っていたが、実際のところは地域BWAを用いた、つまりケーブルテレビ富山が自力でアンテナを建てて運用・提供するサービスであるらしい。

ただ、富山市と舟橋村のごく一部でしか使えないとHPに記載されており契約者というか契約できる者はかなり少ないことが窺われる。契約者が少ないため実際に使用した報告もほとんど見当たらない。

ミタストAirのエリア(HPより)
住所リスト(HPより)

エリアは上記のようなマップで示されるほか、HPには住所リストでエリアと準エリアとしてリストアップされている。ただ、これ以上の粒度で使用したい場所で使えるかどうかを判断する手段はなく、契約してみて初めて使えるかどうかが判断されるというのが実際だ。なお、14日間のお試し期間が用意されているため、使えなくてもすぐ申し出れば実費負担は存在しない。

ここで、筆者はミタストAirを契約の上、車に搭載し富山市中を走り回り計測することで真のエリアマップを作成することを試みた。ミタストAirは契約するとHUAWEIのeA280とかいう据え置き型ルータが貸与される。ルーターがSIMフリーかどうかや、搭載されているSIMにIMEIロックがかかっているかどうかもわからないし、今やなかなかみないmicro SIMのため他のSIM/端末で検証することが難しかったため今回はしない。

なお、約款を確認したりケーブルテレビ富山の店員に確認し、「契約上の住所と違うところで使用してもかまわない」という確認はとっている。docomoのhome 5Gのように、事前に登録した利用場所以外では利用できないといったことはなかった。

方法

まず、貸与機材が常に電源が必要な据え置き型のルーターであったため、車載するにあたり電源の確保が問題となる。幸いにもルーターの電源はDC 12Vでありシガーソケットの電圧と同じであったため、形状を変換するアダプターだけで対応することができた。

測定はMacBook Pro 2023で行った。ルーターと主に有線LANで接続し(後述)、プログラム(Node.js)からChromiumブラウザを操作できるPuppeteerを利用し、1分ごとにfast.comの5秒値(5秒後に表示されている速度)と、10秒ごとにルーターのコントロールパネル(192.168.1.1)に表示されているアンテナの強度(0~5)を取得して時刻とともに記録した。位置情報に関してはPixel 8 ProにインストールしたGPS Loggerを使用して15秒ごとに現在地を取得した。速度/強度測定時の直前のGPS座標とドッキングし、1つのデータとした。

結果の可視化はLeafletを用いて、OpenStreetMapのデータに加工して行った。

測定条件と限界

今回の測定は五福〜田尻付近とそれ以外(市街地と婦中町)の2回に分けて調査している。五福付近の調査でさまざまな反省点が見られたため、2回目では以下の改善を行った。

  1. PCとルーターとの接続をWi-Fiから有線に変更した。

  2. ルーターの設置を見直し、電源の安定性を確保した。

「1.」に関して:特に市街地においてチャンネルの混雑があまりに激しく、ルーターの接続さえ厳しい状態であったため変更した。

「2.」に関して: 社外品のアダプターを使って電源供給していることから、たまに電源が落ちてしまうことがあった。ルーターは瞬停しても自動復帰しない仕様であるため、特に五福付近で一部インターネット接続不可と記録されていても電源が落ちていただけという可能性がある。なお、設置を見直した後でも南富山駅付近で電源が一度落ちてしまったため、接続不可と記録されている箇所がある。

ルーターのコントロールパネルから得られる電波強度は0~5であるが、0の時にインターネットと疎通できているかどうかはわからない。電波強度が0と表示されていても実際には10Mbps程度の速度が出ていることもあり、速度データと併せて考察する必要がある。(実際にはルーター本体にインターネットとの疎通を示すインジケータが存在しており、これを確認するべきであった)いずれにせよ、車内というほぼ屋外状態で電波強度0の場合、よっぽど窓際に置かないと疎通不可になるだろう。

圏外復帰に時間がかかるケースがあることも限界として述べる必要がある。一度圏外になってしまうと、明らかに圏内であってもすぐに電波を掴まず圏外扱いになってしまう場合がいくつか発生した。

結果

電波強度(1503箇所)

© OpenStreetMap contributors

拡大版: https://cutls.github.io/mitasuto-air/leaflet/signal.html

前述の限界の通り、電波強度0はすなわち通信不可能を示すわけではないが、車内というほぼ屋外の条件で計測しているため、屋内だと窓際に置かないとおそらく通信不能であろう。下記の速度データとともに確認してほしい。

速度(254箇所)

© OpenStreetMap contributors

拡大版: https://cutls.github.io/mitasuto-air/leaflet/speed.html

エリアマップは狭めに表示していると思うが、実用的に使える(20Mbps以上出る)範囲としてはさほどエリアマップと大差ないだろう。ただ、特に五福エリア付近はエリアマップ内であっても使用が厳しい場所があったのも事実である。

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