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映画『ムード・インディゴ うたかたの日々』を観ての雑感創文

『ムード・インディゴ うたかたの日々』🇫🇷
監督:ミシェル・ゴンドリー

この夢の中のような映画の原作は
🇫🇷作家・詩人・ジャズトランペット奏者である
ボリス・ヴィアンによる、
邦題は『うたかたの日々』若しくは『日々の泡』。
僕はハヤカワepi文庫版を読みました。

いわゆるsurréalismeの派生系ことmagic realism的な作品ですから、想像しながらよんだ自分の読書体験よりもうまく映像化されると、筆舌に尽くしがたい喜びがありました。

それはロマン・ドュリスとオドレィ・トトゥという配役がステキだったからに他ならない、私としては。

カクテルピアノから弾き出される色彩の躍動に突き動かされて始まる物語、音色の乱舞と花々の芳醇との戯れとに紡がれて男と女は出逢う、すぐ様、ふたかたの情熱なまでの愛に釣られて踊る街街の人間の、汗という汗が蒸発し甘い甘い綿菓子のようなフランス的美徳に包まれた筋斗雲を作る。それに乗って一挙に幸福の天極へ登り着いた二人は、それを享受詩尽くす間も無く、色彩の躍動は瞬間に停止し、失われれてしまう。そこはもう肺に巣食う退廃が放つ、灰色の世界だ。
打ち捨てられたプラタナスの木に泡沫の唄が込められていた、彼ら以外の世界には確かに色彩に溢れているが…
男の執念と「希望」の後の空は、まだ「夜明け」からは進んでいない、痙攣的な美は、喧噪的な術で伽藍の様な調度を以て、愛を諳んじ羽撃く鳥に出くわしたのだが、それが泡沫として消える鳥ならば、世界はまた灰煙の薗に腐してゆくのが関の山だという…せめてエクリはとめどなく、其の竣敏なる幸福の頽廃を、一糸乱れず音速に其れ其の儘の絵姿で留め置いてくれまいか。

以上は、全ては比喩であり、夢幻的で、愛の一つの極地が故の、儚過ぎる瞬間的御伽話…

(2015/12/27)
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#magicrealism
#Filmarks
#movie

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