あたおか散文2020/12月分まとめ

Twitterでつぶやいたものをまとめたものです


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うちわで扇げば土が舞う

やられっぱなしの泣き寝入り

そんな今日さえ、どこぞの彼方

約束交わして手紙を書いて、うるわしかぐわし小踊り鼻唄

かまぼこの板に色味をおとして、ゆりかごの廃墟で指揮をとる

起立で礼から着席までを、そうだな、人生と名付けよう

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無料配布の愛にできた長蛇の列

鼻で笑って素通りする装飾まみれのセレブ、足早に睨み通り過ぎるくたびれたサラリーマン、達観かぶれで列を撮る自意識と無自覚

最後にはこぞってそれを求めるのに

自分の手の中にあるものより、他人の手の中にあるそれを欲しがって

空はいつまでも空

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第三軌道エレベーターから、月街の露店広場を抜けて、星間艇乗り場から冥王星行きのバスに乗る

この時期はケテラッツァ星群でトイレ休憩があると思うよ、あそこの群像焼きは名物だから食べてみるといい

地球の空、、あ!海か、海を小瓶に入れて持ってきて欲しいな、お願いしていい?

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人に優しくあることに疲れた人に優しくない社会で、人の優しさを独り占めして、独り肥えて人の境界線を越えてしまった人の理を嘆く

未練などなく無言で立ち去る者に唾を土産に渡す不届き者が目に映る夜は、生きづらさとは何なのかを問われているようで、布団も冷たいままで眠られない

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過去がすべて幻想であっても、ここに握りしめている痛みは感じていて

手をいくら振り解いても、まとわりつく悲しみは感じていて

兎にも角にも思考止まりの理解では到底到達できないような古地図が目の前にひろげられていて

切り離せないものならば、一緒に連れて行くしかあるまいな

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パフェは時間を視覚化したもので、未来も過去も、今この瞬間同時に存在していて、どれにフォーカスするかだけのこと

スプーンですくって、ただ味わえばいいだけのこと

過去をほじくり返せば返すほどに、今も未来もまきこんで、くったくたに混ざり合って、ただただ甘酸っぱくなるね

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裏返ったこうもり傘が空を吐き出して、剥き出しの願いをそそくさと覆い隠す

いっきに飲み干した渋い酒が内臓に染み出してきたあたりで、見返りを求めた馬車が右足を進めた

視線を釘付けにし、外野の熱意をさらって、さげすむように鼻で笑う

どこかの風は、まだ国境を越えていない

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落ち着いて指おり数えた瞼の空の星

押し寄せてきた鋭い手に、海が溢れて、息が吸えない

乾燥した部屋で、影に隠れて蜘蛛の糸を引く

丸みを帯びた花の根が、一方向から多方向に意識を向けたとき

やりきれなかった証明書が、細かく散り散りに、空へと還っていく

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インパクトの瞬間で静止する視線、沈黙する鼓動、流れ込んでくる未来の情報

音が聞こえて、状況を把握した時には、もうそれは終わった後で、気持ちを感じる間も無く、込み上げて、溢れ出すのは、いつだって、いつかの後悔

世界は、どんな時でも、私の背を、心臓を、容赦なく、叩く

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誰かが口にする噂話も

誰かが思い描く想像も

あなたが、あなたの耳で、あなたの目で、確かめるまでは現実ではない

あなたが口にする希望も

あなたが思い描く予想も

あなたが、あなたの意思で、あなたの手で、創り上げるまでは現実ではない

現実が何なのかは、あなたしか知らない

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心臓がヘッドホンを外して、自らのリズムを探し始めた朝

高低差に耐えきれず、焼き切れた動脈を蝶々で結ぶ

スライドする呼吸音を、生きた証と錯覚し、迷いの火蓋が切り落とされる

手を伸ばした先、目線を送った闇、弾ける泡が静かに微笑む

汚したヒール、かすれた紅を塗りなおす

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凍りついた朝の匂い

足の指をがっちり掴まれて、空気を割いた光にうたれる

機械音、ごろつき、乱雑な目次

積荷の確認をせずに、挨拶だけがこだまする

ゆっくりと今を思い出しながら、焦げめのトーストを少しだけ冷ます

おおきなくしゃみ、意地の悪いシャツ

踵をとんとん、夢の中

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音を吸って、音を吐く

一定の、波間にたたずむ枯葉のわだち

素早かず、のろりと掲ぐ、色彩の黄泉

遠くて届かぬ囲炉裏の梯子、迷って惑った思春期の叫び

いい思い出にするには、どれほどの歳を重ねればいいのか

過去への古地図、止み終わらない傘と、眠れない空白

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よかった、わたし、変わることはこわいけど、変わることが苦じゃない

鼻をつくいちょうの並木路を、生まれたてのステップで、黄金色の笑顔が言った

そう思えるまで、どれほど向き合ったのかなんて、僕にはわからないけど

あの子には、今、素敵な未来が見えているんだと、わかった

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癒えないかさぶた、きっといつかに甘え続けて、何本の電車を見送っただろう

からく冷たい風だけが話し相手、砂まじりのおむすび、涙が溜まったペットボトル

予測と遊んだ放課後、終わりのチャイム

長い前髪が指し示したのは、枯木にひっかかった、答案用紙の紙ひこうき

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明日になれば夜はあけるって

いつもどこかで思ってる

宇宙をただよう小さな粒は

永遠を超えた少し先で

踊り子の衣装に身をつつむ

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加熱処理した愛情は

綺麗な音を揺らしながら

苦しみを見つけては包み込み

消していってくれる

弧を描きながら消していってくれる

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砂塵の果てに横たわる

獅子の肉塊にたかる虫

過ぎ去ったことから得られるものを

正解の枠から外したとき

粗末な未来は色味をおびる

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立ち登る落とし子の群れ

地上の楽園が閉園する時間に

月の奏でる盃の波紋

手を取り合った白と黒が

常しえを連ねる花弁を灯す

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那由他の意識からすくいあげた

滲んでくすんだひかりの綿

塗りつぶして開ききった心音が

根の端々まで届けられる

喉が震えつづける限り

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果てしないほどの道のりを

必要なものだけ抱え込んで

不必要なものを置き去りにして

部屋の窓は開けたままに

放物線を描くように歩いていく

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魔法で満たされた身体

未開の地を血眼で探した夏休み

難しい問題は落書きで答える

恵の雨が頬をつたい

求めた朝陽を手の中におさめた

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矢面に立たされて期待を背負わされる

歪んだ口でいななく子羊の群れは

汚れた前脚を前には出さない

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羅針盤の影が伸びていく先

凛とした信念が揺らぎを払いおわる

流浪の魂が永住の都を決めた時

黎明を越えて全の一つに混ざり合う

朗々と響く睦まじく氣高い人らの声よ

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和を描いて循環する完全命数の元素

乎の字が示した錬成用魔法陣が塵を産む

无現に夢見た心世界に降り立った正逆三角形の偶像阿吽

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ほころびから生まれたまこと

よろこびから飛び立った羽衣

穴の空いた手袋から温もりが溢れ出し、灰の亡き骸はこまやかに笑う

真実を知っても尚、眼差しはまっすぐに伸び、鶴亀と戯れ踊る

此処から先は天邪鬼

安い毛布を肩からかけて、降りゆく加護を享受し眠る

桜の花の咲く季節

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