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「何者にもなれなかった自分」を共有できた夜

9月最後の日。
たくさんの文化が集まる大好きな渋谷で、ずっと楽しみにしていた予定があった。

カツセマサヒコ著『明け方の若者たち』の出版イベント。

思い切り誰かを好きになって、思い切り悩んで、思い切り絶望する「人生のマジックアワー」を描いた物語。

この小説のテーマは「何者にもなれなかった自分」。

大企業に就職したものの、思い描いていた社会人生活とのギャップに苦しみ続ける主人公。

まさに夜空ノムコウ。「あの頃の未来に僕らは立っているのかなぁ/すべてが思うほど上手くはいかないみたいだ」ってやつ過ぎる!!!

悩みもがくそのなんともリアルな描写に、私をはじめ多くの人が自分を重ね合わせたと思う。

作品についての裏話から、後半はなんと同時期に本を出版したバイク川崎バイクさんが登場。ヒィ〜〜ア!

「酒というガソリン入れていきましょー!バイクだけに、ブンブン!」

うぉぉぉぉぉおおお!!!!

(こないだ勇者ああああで見たばかりだったから余計に嬉しかった)

後半のお悩みコーナー。

「生きる糧が見い出せない」という真剣なお悩みに対して、「このイベントに来てる人は生きられる、大丈夫!」と明るく返すBKB。

この回答に会場では大拍手が起こっていたけど、
(おいおい、簡単かよ…)
って思ってしまっていたひねくれ者こと私がいました。。。


でもイベントが終わって渋谷の街を歩きながら真っ先に感じたのは、たしかに「生きてる」っていう実感だった。

それは会場のあたたかい空気だったり、
カツセさんやBKBさんや客席の笑い声がつくりだす音の振動を身体で感じられること、
同じ空間に、同じ目的で集まった人がいて、同じ時間を共有できたこと。

私はなにか大きな成功なんて収めたわけでも何でもないし「何者なのか」と言われたら答えに困るけれど、

でもあの瞬間はたしかに「カツセマサヒコを好き」であり「『明け方の若者たち』に心を動かされた人」になれた。

隣の人に話しかけることさえも出来なかったけれど、この同じ空間に集まっていた人達みんなで、「それ」になることができていた。


人生って、そういうことの繰り返しなんじゃないかなあって。

立場とか、好きなものとか、やっていることとか、そういうものを表明しながら、人は毎日「何者か」になっている。

帰り道、眩しい渋谷を眺めながら「渋谷の再開発サイコーって思ってる勢」として、秋の夜を感じていた。

大好きな渋谷。テーマソングはGhost Like Girlfriendの「Fallin'」で。


このnoteはカツセさんの言う通りに、帰りの電車で書きました。

私にとっても忘れられない夜になったので今日をスタートに。

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