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ダークサイドミステリー「「ナチスをだました男 20世紀最大の贋作(がんさく)事件」


初回放送日: 2022年3月10日/ナチス高官にニセ名画・幻のフェルメールを15億円でだまし売り、世界に衝撃を与えた天才贋(がん)作師メーヘレン。なぜサギ師が英雄になり破滅?世にも数奇な人生とは? (以上公式HPより)

数年前に見た「真珠の耳飾りの少女」という映画で、画家フェルメールの存在を知った。彼の描く独特の雰囲気とラピスブルーが印象的な絵画を真似る事などできるのか? そんな予想を遥かに裏切った上に、想定外の結末に及ぶ事の些細。とてもわかりやすく丁寧に見せてくれる、新しい形のドキュメンタリー番組である。

メーヘレンのした事は褒められるものではないが、その気持ちは解らなくもない。才能も技術もあるのに、タイミングの差で栄光を掴めないケースは古今東西どこにでも存在するだろう。しかし、己の自尊心を満たすためだけに持てる力を出し切る事は素晴らしいと思う。

「青は藍より出でて藍より青し」の言葉は、弟子が師匠を凌駕する例えである。師弟関係はないが、このメーヘレンのケースも同様だといっても良いのではないだろうか。

結果的に自分の魂込めた贋作が、ナチスに強奪されてオランダの数々の名画を取り返してきたのだ。まさに事実は小説より奇なり。裁判から6週間後に心臓発作で急逝した彼への、せめてもの餞となった。



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