海棠るり

変わっていってしまう、でもずっと寄り添っている

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最近の記事

いつだって簡単に迷子になれる

新しい年になってしまった。なんとなくいまの自分を定期的に記録したくて始めたnoteは、自分のルールで必ず月に一度は「〇月の記録」としての記事を書いていたけれど、この先も続けるならいつかタイトルが重なってしまうことに唐突に気が付いた。 タイトルをつけるのは本当に苦手なので、できることならば避けたい。頑張ろう。 勤務先が遠いため、私は昨年から初めて定期券を買って毎日のように電車に乗っている。幼稚園から大学までずっと自分で歩くか自転車を使っていた。習い事にも家の人が車を出してくれ

    • 12月の記録

      年の瀬が迫り、もうすっかり寒い。11月から12月にかけては一段と時の流れが速く感じる。けれど年度末よりはなんだか猶予がある。どうせあと少しで今年も終わるし、と思うといっそ力も抜けていく。 この寒い時期になると思い出して欲しくなってしまう香水がある。私は香水が好きだ。香水の瓶も、使う仕草も、それぞれの香りが持つコンセプトやイメージも美しくて好ましい。 その香水はある記憶を強く呼び起こす。ハートの小瓶に入っていて、その小瓶は青いすりガラスのような質感をしていて、中身の香水は柑橘

      • 祖母のターコイズブルーとわたしの水色

        今は手元にないけれど、人からもらったものでずっと記憶に残っているものがある。幼馴染からもらった赤い砂が入った小さな砂時計。スーパーについていく度に両親にねだったお菓子についているおまけのペンダント。祖母にお祭りに連れて行ってもらって、そこで買ってもらった小さな水色のキラキラが埋め込まれたハート型の指輪。 どれも、実家においてきてしまったのか、どこかにはあるのか、探しても見つからない。けれど、もらったとき、それを眺めているとき、わたしは確かに幸せで、思わず笑ってしまうくらい嬉

        • 改姓こもごも

          別に自分の苗字に愛着がある訳ではない。 ありふれた名前のわりに漢字が面倒なせいで、判子が簡単に手に入らない。習字やテストで名前を書くときに時間がかかる。間違えて登録されてしまったせいで本人確認が出来なかったこともある。 だから、苗字が変わったらそんなことがなくなるのだろうな、いいな、と、思う。 けれど、役所の手続き、会社への書類の準備、銀行やクレジットカードの登録変更方法、果てに各種サービスの登録変更となるとその数の多さに目眩がしてしまう。 やれば終わることだ。そうは思う。

        いつだって簡単に迷子になれる

          11月の記録

          彼が風邪をひいた。 病院では陰性だったそうだけれど、職場で隣の席の人が40度の高熱で休んでおり、頭痛、発熱、咳の症状が彼に出ていた。 インフルエンザかな、コロナかな。 そう思いながら看病したけれど、翌日には38度まで熱があがり、彼は布団から起き上がれなくなった。 わたしまで引いてしまったら困ると少し離れていたけれど、ティッシュのゴミくらい捨てようと思ったら彼が1枚を大切そうに抱え込んだ。 私が寝ている彼に外出の際残した置き手紙だった。 あまりに愛おしくて隣の布団に横たわっ

          10月の記録

          金木犀が咲いている。10月だ。 故郷は10月になると、町中の家にある金木犀が一斉に咲いて、どこでもいい香りがした。 私の家にも、隣の祖母の家にもあったけれど、1番印象深いのは斜め向かいの幼なじみの家のそれで、終わりかけに小さな花が何かの奇跡のように降って地面に絨毯を作っていた。 最近はいろんな商品を見るようになったけれど、あの子の家の木の下で嗅いだ匂いに勝るものはない。 10月は、三連休を利用して私の家族に彼を会わせた。 両親と妹のうち、母にしか合わせたことはなく、不安だっ

          10月の記録

          友人は「幸せになりたい、結婚したい」と言った

          幸せになりたい、は、まだ分かる。 その後ろに、結婚したい、が、続くことには、まだ違和感を持ってしまう。 私にはありがたいことに、一年に1度くらい大学の友人たちと話す機会がある。 別に決まっているわけでも、生きていたら自動的にそんな機会が訪れるわけでもなくて、互いに話そう会おうと言い合って会ったり、zoomで顔を合わせたりしているわけだけれど、そのことは置いておいて。 大学4年生から、社会人3年目になって、私は転職して同棲を始めて、きっと結婚に近づいているのに彼女のように思

          友人は「幸せになりたい、結婚したい」と言った

          再会と祝福

          11月、私はあの時頑張る理由にさせてもらっていた彼にもう一度会いに行く。 毎日ただ精一杯で挫けてしまいながら、それでも彼の声を聞いている時間は確かに幸福だった。 これは、私がきっと一生伝えることのない、あるバンドマンへの想いと、私の生活を振り返った拙い文章である。 多分、長い。めちゃくちゃな文章で長い。申し訳ない。 偶然ラジオから聞こえた声 彼とはThe Cheseraseraというスリーピースロックバンドでボーカルとギターを担当している宍戸翼さんという人だ。以下バンド

          再会と祝福

          9月の記録

          眠い目でぼんやりと見る空はまだ暗かった。季節は着実に進んで、時間が経っていた。 8月から始めた勉強は、ほどほどに進めている。やってよかった。 長い通勤時間も、たまにある平日休みの日も、何かしら有意義なことができていると思えた。 今月は前の職場の関係者2人から連絡を貰った。ひとりは部活で1年間活動を見守った生徒で、ひとりは私の教科の上司だった。 もう教室に行きたくない、保健室に登校したい、でも先生にも家の人にも言えない。 私はそんな連絡を貰いながら、ふたつのことを考えてい

          9月の記録

          8月の記録

          8月は何だか特別な季節のように感じる。 小、中、高と夏休みがあり、大学はさらに長い夏休みがあり、その後高校教師なんて職業に就いてしまったので、お盆休みすらない8月を過ごすのは初めてだった。 そう、お盆休みがなかった。 別に教員をやってる時も正直夏休みは講習やら面談やらでそこまで暇だった訳では無かったけれど、校舎が閉まる期間があって、それがこの職場ではないのだった。 せっかく彼と同棲したのに、彼の6日あるお盆休みの間、一緒にいられたのは2日だけだった。 前職が多忙すぎたから、

          8月の記録

          7月の記録

          毎日うだるように暑く、冷たいものと辛いものと薬味やスパイスの効いたものばかり食べるようになった。夏だ。 普段見慣れた広場に2週間ほど蓮が飾られていた。 泥より出ててなお、すっと伸びた茎の先に清廉な花がほころんでいた。 わたしは、どうしたらいいんだろうか。 5月から入った職場は、望んでいた職種ではなく、通勤時間も長く、事務の仕事というより接客が多いために対応はいつも臨機応変で覚えることは尽きない。 今後事務を続けるとしても、いまの経験がどれだけ役立つかは分からない。 土曜出勤

          7月の記録

          6月の記録

          引っ越してしばらくが経ち、冷房をつける日が多くなったことに季節の経過を感じた。 彼が紫陽花でも見に行こうと行ってくれて、1人眼科に行っていた私を迎えに来てくれて、丸亀製麺でうどんを持ち帰って食べたあと、紫陽花を見に行った。 仕事はまだ分からないことも多いし、人間関係は少し怖いし、この先の将来に不安なことは多いけれど、転職して引っ越しをして、引き剥がされるようにいままで溺れていた沼から離れて、青空を見る時間が増えた。いいことだ。 転職は思ったようには行かなかった。 彼と休みが

          6月の記録