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タグを増やせる人

※この文章は宇和島市が主催する市民ライターの投稿用として書いたものです。参加エントリーを忘れてました。トホホ。ありがたいことに担当部署とは違う課の方が売り込んでくれようとしてましたが、指定されてる内容しか載せられないので、改めてnoteように再構築しました。前置きが長くてごめんなさい。

 はじめまして、僕は宇和島市に移住してきてもうすぐ3年が過ぎようとしています。宇和島市では、市役所の商工観光課で会計年度職員として2年間働いていました。
 いやあ、地元の企業の方と顔を合わせてお話が出来たり、地域の観光について学ぶことも出来て大変有意義な体験ができました。
 今は、一人出版社として独立するために別の場所で働いています。
 
 さてさて、移住者の目から見た宇和島市の魅力とかを書けば、担当者の方は喜ぶのかも知れませんが、今回は少し違った視点から書いてみたいと思います。
 それは、タグです。
 ほら、検索とかする時に引っかかってくるあれです。
 インスタグラムにも沢山タグをつけるでしょ、あのタグです。
 宇和島市にも魅力的なタグが付きそうなものが沢山ありますよね。
 詳しくは、こちらの総合観光パンフレットの宇和島本をご覧ください。
 オンライン上で無料で閲覧できますよ。


 宇和島市って、仙台の伊達藩と深いつながりがあって、宇和島城を始めとする歴史的な建造物や真珠やミカンといった名産品が沢山あるんですねえ。夏には牛鬼まつりもあって(しみじみ)。
 でも、ある時、僕は宇和島市のアピールをするシティセールス推進係の方と話をしている時に、ポツリと言ったことがあります。
「多分、10年後も20年後も『宇和島本』ってこの内容かも知れませんね」
 何を当たり前のことを言うんだ、と思われる方もいらっしゃるかも知れません。確かに、突如として、宇和島城とか伊達家が宇和島本から消えてしまうことは無いでしょう。僕も無くなって欲しいとは思いません。しかし、新しいタグになるようなものがこの先、果たして生まれるだろうか、と僕は考えたわけです。
 突如として石油が湧き出たり、バッファローが大量発生したり、第2宇和島城、第3宇和島城、第4宇和島城が出現、それぞれの宇和島城が謎のビームで繋がれ、突如宇和島市が巨大なリングに!とかなったら、きっと新しいタグになるでしょう。僕も多分、興奮します。でも、なかなかそんなことは起こりません。じゃあ、タグを増やせるのは何か?
 人間だと僕は思います。
 うんうん、宇和島藩には沢山の偉人がいますよね、幕末にも大活躍しました。いや、確かにその方々も凄いと思うんですよ。でも、現在を生きる人たちにも宇和島のタグを増やしてくれる方々がいると僕はいるんです。
 それは、アイドルです。
 アイドル?
 はい、解散解散、と思ったあなた。
 本当に失礼ですが、あなたのSNSのフォロワー数は何人でしょう?
 挑発的なことを書いて申し訳ありません。
 でも、今、書いたことが大いにここから関係してきます。
 宇和島市のXのアカウントのフォロワー数は約2,200人。
 Instagramのアカウント数が5,139人
 広報を発信した時に届けられる範囲がこれぐらいです(ミュートしていないという希望的観測のもとで)。
 それに対して、宇和島市出身のアイドルはどうでしょう?
 ある3人の方に焦点をあててみたいと思います。

※こちらは2023年9月中旬での数字です。
Xのフォロワー数
 長月翠        フォロワー数 27,390人
 兵頭葵(STU48) フォロワー数 16,487人
 来栖うさこ    アカウントなし

Instagramのフォロワー数
 来栖うさこ     フォロワー数  41,4万人
 長月翠       フォロワー数  12,5万人
 兵頭葵(STU48)  フォロワー数  7,890人
 
 主戦場にしているSNSこそ違えど、市の広報アカウントよりも沢山のフォロワーを持っています。まずはこの現実を受け止めていただきたいです。そして、その上で、実はこれだけのファンの方々に宇和島を届けるチャンスでもあるということを意識していただきたいです。
 宇和島市の公式アカウントのフォロワーの中で宇和島市内のアカウントがどれだけあって、宇和島市の外のアカウントの割合はどれぐらいでしょう。それに対して、上のお三方のフォロワーは宇和島市内の人間と外の人間の割合はどうでしょう?
 かなり外の方の方が多いのでは、と僕は推測しています。
 来栖さんと長月さんにいたっては、インスタグラムのフォロワー数が宇和島市の人口を超えてますしね。
 どうでしょう?
 ちょっと話を聞いてもいいかなって、思っていただけましたか?


 「聖地巡礼」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
 様々な作品や有名人にとって、縁のある場所へ行くことですね。
 ドラマや映画のロケ地に行ってみることですね。更に、推しが食べに行ったお店に行って自分も食べることもこれに含まれるのではないか、と僕は思っています。
 「気持ち悪い」と思ったあなた、大河ドラマでも毎週ラストに縁のある地の紹介をしていませんか? それに聖地巡礼は、立派な観光ビジネスの1ジャンルになっています。少し古いデータですが、2019年の観光省の「訪日外国人の消費動向」でも「観光誘致の立派な切り口」として紹介されています。
 なんで本人が居ないのに、わざわざロケ地や紹介した場所に行くのか、この辺りは書き出すと長くなるので、認知科学でいう「プロジェクション」という言葉を借ります。
 「プロジェクション」とは、推しから場所の情報を受容し、そこに居ない推しの表象を自分の頭の中で投影し、世界に意味を持たせることだと考えていただければと思います。 
 何気ない海が、自分の推しが写真を撮った場所になり、毎日食べているうどんが、推しが食べた味を追体験する特別な時間になります。
 もう1回書きますが、「やっぱり気持ち悪い!」と思ったあなた、悪いことはいいません。もう、ここで閉じてください。ここから、あなたが生理的に受け付けない世界が繰り広げられます。ただ、もし、あなたに「推し」が出来たら、是非、このページに戻ってきてください。きっと、楽しく読めるはずです。

 さて、兵頭葵さんという方をご存じでしょうか?
 さっきもチラッと名前が出ていましたが、STU48という瀬戸内を中心に活動しているアイドルグループに所属しています。
 愛媛県宇和島市出身で、以前、伊達な宇和島お城祭りでお姫様役も演じています。テレビのCMで海辺で「ポニーテールとシュシュ」を弾いてたあの子です。
 宇和島市に帰ってきたばかりの僕は、エンタメの選択肢の少なさに愕然としていました。勿論、ネットを駆使すればある程度補えるんですが、体験型のエンタメやカルチャーが少なかったんですね、都会と比べて。
 そんな時に、暇つぶしに兵頭葵さんの聖地巡礼でもしてみるか、と自転車に乗って宇和島の街を走って、それをnoteに書きました。

 兵頭さんがSNSで紹介した場所や食べたものを体感することで、自分の中で宇和島市のタグが増えていくという体験をしました。
 いや、ただのアクティブなストーカーだろ、と思われた方もいるかも知れませんが、自宅から42.195キロ以上離れたところまで自転車で行くストーカーいますか?しかも、相手は居ないんですよ。到着して、「おお、ここが推しが写真撮ったところだあ」となっても、そこにあるのは虚空だけです。それでも、満足できるものが、聖地巡礼にはあります。目的地に辿り着くまでの道で、様々な出会いがあります。
 おっ、このバス停素敵だなあ、とか、この坂道好きだなあ、とかガイドブックには載ってないけれど、自分にとって特別な場所が生まれます。


九島の海


遊子の段々畑に行く途中のバス停


 そこに行くまでは「誰かの物語」の中の場所が、足を運ぶことで「自分の物語」の場所にもなっていきます。その物語は推しがいるから生まれるわけです。宇和島市はそういう物語が生まれるタグが沢山あるのでは、と僕は考えています。
 今年の3月に南レクで行われたフェスにSTU48の「勝手に!四国観光大使」というユニットのメンバーが訪れました。コンサートでは遠方から多くのSTU48ファンの方々が起こしになりました。地元の兵頭葵さんを盛り上げるうちわの配布や盛り上がるコールをしてくださったのは、実は宇和島市の外からやってきてくださった方ばかりでした。一人の宇和島市民として、本当にありがたい!
 で、SNSでのイベント感想ツイートを追っていくと、多くのファンの方が宇和島市に泊まられて、翌日は宇和島市を観光してくださいました。宇和島市との一つの「関係人口」が生まれた瞬間だと思いますし、継続することでこれが「交流人口」に変わっていく可能性があると僕は考えています。推しの出身地だから、ということでふるさと納税を利用される方も実際に知っています。
 ここは、聖地巡礼を取り入れて、宇和島市のタグを増やしてみるのは、どうでしょう? それぞれの場所にQRコードの掲示板などを置いて、推しの声で思い出を語ってくれるとか、そういう試みも面白いかも知れません。なんなら、メタバース上にV宇和島を作った方が早い気もしてきましたが、みんなが来てくれる観光資源を増やせるのは、アイドルではないか、と僕は思います。
 
 ここからは、兵頭葵さん以外にも宇和島市出身で、タグを増やしてくれそうな方を紹介したいと思います。
 まずは、長月翠さんです。
 元、ラストアイドルのメンバーで、現在はグラビアでも活躍中です。
 今年の伊達な宇和島まつりでお姫様役をやってましたね。


 また写真集「翡翠」の撮影時には宇和島市も訪れています。
 こちらのインタビュー記事をご確認ください。

 確かに宇和島市の海は、「翠」に見えるところもありますね。
 長月さんのYoutubeチャンネルにも、写真集の撮影風景が出ているので、是非見てみてください。本当に海の色が綺麗なのと、海沿いの町独特のカーブの道が印象的です。


 もう一人、紹介したいのが、来栖うさこさんです。
 グラビアアイドルとして、活躍中で待望の1st写真集を出したばかりです。しかもあえて、水着のジャンルを絞るというこだわりの強さ。良いですね。ただ撮られるだけじゃなくて、自分の着たいものを着る。
 ただ、彼女の凄さグラビアだけではありません。
 ポーカーのプレイヤーとしての一面もあります。
 様々な国際大会に出場しています。


 個人的に来年の姫役に推したい方の1人です。
 あと、ちょっと古いけど、赤松遊園地ネタも動画にあったので、よろしければチェックしてみてください。

 さて、色々と書いてきましたが、僕が彼女たちを紹介したいもう1つの理由は、大げさな話になりますが、「ここで生まれても、頑張ればちゃんと自分の行きたいところまで行ける」というモデルをこの町の子供たちに提示できるということです。
 そりゃ、偉人の皆さんも凄いと思うんですよ、でも、生まれた時代も違えば環境も違うわけです。21世紀にもなって、いきなり、お前、豊臣と仲が良かったから仙台から宇和島に飛ばすわ、みたいなことはおきません。
 なので、より身近な存在として挙げさせていただきました。
 この町に生まれたことを呪うのではなく、この町からも可能性があると願えるモデルに3人とも充分なれると僕は思っています。
 つまり、町の外にいる人だけでなく内にいる人も幸せにできる存在だと僕は思っています。
 この週末、ちょっとだけ、推しの目から見た宇和島市を体験してみませんか?


こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。