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48グループのオタクは全体主義的なのか?

 現在、30日更新チャレンジの為に10月限定で皆さんからの質問をいただいております。今回、いただいた質問はこちらです!

「2回目の投稿にしまうのですが、聞きたいことができたので質問します。

自分は元々SKEメインの48オタクでした。
しかしAKBのチーム8きっかけでアイドルフェスに行ったところ、地下アイドルオタクの自由な雰囲気がめちゃくちゃ楽しくてそこから地下落ちしました。

自分の偏見になってしまうのですが、SKEを筆頭に48グループには保守的、というか全体主義的なオタクが多いと思います。
(コールの統一、曲ごとのサイリウムも統一など)

なぜ48グループのオタクは全体主義的な人が多いのでしょうか。
これが質問です。

最初は全体主義派のオタクと自由派のオタクでうまく折衷案を探せないかという質問を考えたのですが、全体主義派オタクのTwitterでのお気持ち表明などを見てるとこれは分かり合えないなと思ってそれは諦めました。
自分の場合隣とか目の前で推しジャン等のいわゆる厄介行為されてもおもろいオタクおるな、ぐらいにしか思っておらず…。

長文になってしまいました。申し訳ないです。
栄、覚えていてくれさんのnoteの文章素敵でこっそり参考にさせてもらってます!」


 ご質問ありがとうございます。こんな弱小ブログの文章を参考にだなんて、光栄すぎます。

「自分の場合隣とか目の前で推しジャン等のいわゆる厄介行為されてもおもろいオタクおるな、ぐらいにしか思っておらず…。」
 このあたりの表現を読んでいると、枯れ葉さんの柔軟な視線を感じます。

 さてさて、面白い質問ですよね。
 問題設定によって色々なものが見えてくる気がします。

 まずは、少しだけ僕の昔話に付き合ってください。
 僕は10年ほど関西の中学受験市場においてはトップの会社にいました。
 僕が管理職になったのは、確か29歳から30歳になる頃でした。関西エリアを毎日ぐるぐる回っていた気がします。しかし、僕にマネージャー的な素質は皆無でした。圧倒的にプレイヤータイプです。もう、目を覆いたくなるダメっぷりでした(今も変わらないかもですが)。
 その頃、会社は中途採用に力を入れていました。ひょっとすると、頼りない管理職を支えられる人材を求めていたのかも知れません。様々な才能ある人材が集まり、僕は一人一人に頭を下げて、正直に「全然、仕事が上手くいかないです。面白くないです。面白くしたいです」と話を聞きにいきました。まだ入って1ヶ月も経っていないような人にも話を聞いてみました。専門分野の知識は僕の方があるかも知れませんが、一般的な仕事の仕方は、中途採用で入った方々の方が圧倒的に上でした。
 ある人は、自分の使っている効率化アプリを教えてくれたり、ある人は「孔子の兵法」をマスターするべしと進めてくれたり、何も持ってなかった僕は、この頃、様々なビジネスの先輩たちからスキルを学びました。
 その中に工業製品のある部品を世界的に輸出している会社から来た方がいました。その方に話を聞きに行ったときに、ふと、「聞いてますよ、栄さんはアイドルがお好きなんですよね?」
 なんと、その方はある関西の地下アイドルの運営に携わっていた方でした。しかも、立ち上げから関わっていたそうで、衣装事情やアイドルフェスに参加するまで、NMBのみるきーが偵察にきていた話など、今思い出してもなかなか貴重な話を聞かせてもらいました。ここに転職する前ぐらいに運営からは離れたそうです。
 「地下アイドルも楽しいですよ、一度来てみませんか?」そういって、彼が見せてくれたのは、iPadの画面に地下アイドルのライブの様子が映っていました。
 多分、ももクロの曲のカバーをしてたんだと思います。
 踊るアイドルたちそっちのけで、ぐるぐる回ったり、ジャンプして推しにペンライトを向ける方もいました。初めてみる光景に圧倒されました。
「こ、こんなの48でしたら、つまみ出されますよ」
「ふふふ、だからこっちでやるんじゃないですか!一緒に盛り上げんと!!」
 彼の楽しそうな顔を思い出して懐かしくなりました。

 実は、このエピソードが枯れ葉さんの質問を考えていくヒントになるのではないか、と思います。
 AKB48のドキュメンタリー映画5作目「存在する理由」の中でチーム8が取り上げられます。

 新しいムーブメントと熱さがあるという語り口だったと思います。
 チーム8の代表曲である「47の素敵な街へ」は、他の48グループにはない自由なコールが印象的です。

 多分、SKE48でやったら怒られちゃいますよね。いつかのユニットコンサートのゆうかたんみたいに「変なコールしないでください!」って( この時の全力でガチ恋口上をする谷とぴよすが狂おしいほど好きです )。
 なんで、チーム8にはこんなコールを受け止める土壌があったんでしょう?いわゆるエイターではない僕には、推理の域を出ませんが、「グループとしての良い意味での若さ」があったのかも知れません。まだ生まれたばかりだった当時のチーム8のオリジナル曲をファンも一緒になって盛り上げねばという使命感というか、それこそ、先ほどの昔話の彼の「一緒に盛り上げんと!!」ですよね。地下アイドルもひょっとすると、そういう要素があるのかも知れません。
 昔のチームSも公演をしながらコールが生まれて行ったという話を聞いたことがあります。チョコの行方でしたっけ?この頃は新しいものが生まれて行く土壌があったのだと思います。伝統芸能の「序破離」の「序」の部分だったのかも知れません。

 しかし、時間が経つに連れてそれは固まってきます。
 僕はお金を払ってメンバーのパフォーマンスを観に行きますが、珍しいオタクの方を観に行くわけではありません。主役が誰なのか、何をしに来ているのかという比重が関係している気がします。
 たとえば、僕は「前のめり」のサビで「ふっふー」というコールには、何か合ってないなあ、と思ってしまうことがあります。
 そこにあるヲタクのコールは、僕にとってはノイズになってしまいます。
 曲の世界観を壊すといいましょうか。
 いやいや、世界観の構築は人それぞれだ、と言われる方もいらっしゃるかも知れませんが、最低限の線引き( 時にはメンバーが苦言を呈すこともありますが )は守って欲しいと思うことがあります。 
 謎の奇声を上げる方なんかが居た日には、誰が主役なんだろう、と思ってしまいます。
 話を戻すと、おそらく世界観がまだ出来きってないチームや曲については、いくらでもチャンスはあると思います。勿論、周りのお客さんの鑑賞を妨げてしまう行為として48グループのコンサートのアナウンスなどで禁止されている行為はダメだと思いますが、新しいコールやアピールのスクラップ&ビルドは面白いのではないかと思います。
 特に、コロナ禍があってお客さんがいる意味が再認識された今、僕らは新しいコンサートの楽しみ方を見つけてみても良いかも知れません。たとえば、「愛を君に、愛を僕に」はまだ声ありではやってないですよね( 勉強不足だったらゴメンナサイ )。だとしたら、そこは「序」の段階かも知れません。また、今ある曲も古畑奈和ちゃんの鶴の一言で小さな「破」を生みだす時もあります。

 ファン発信だけでなくメンバー発信だと波風も立ちにくいので、SHOWROOMやトーク会で作戦会議してみるのも面白いかも知れませんね。気に入ったものがあれば、MCで提案してくれるかもですし。

 統一サイリウムに関しては、たとえば生誕祭や卒業コンサートで主役になるメンバーのことを考えたら、ここでは色を合わせても良いかな、というのが僕の考えです。もし、それが嫌で別の色をというなら、統一サイがこの場面には合うな、メンバーとも合うなと思う方々を説得できるだけの提案があれば、大丈夫ではないかと思います。
 うーん、そうですね。考えてみましょう。
 たとえば、大サビ以外は思い思いのサイリウムを振って大サビは揃えるとかですかね。これだと折衷案になってますかね?サプライズ的な要素は強くなった気はしますが。トヨタスタジアムの「仲間の歌」での松井玲奈さんの
「もう一度、オレンジ色の景色を見せてください」が僕のイメージに近いかもしれません。これもメンバーの提案だから、よっぽどのアンチじゃないとオレンジにしてくださっていたのでは、と思います( お金を払って卒業コンサートに来るアンチもいかがかと思いますが )。そういえば、「仲間の歌」ってメンバーの先導でファンも一緒に歌う曲で、この曲の持つ一体感はきっと「全体主義」とは違った要素を持っているんじゃないかなあ、と僕は思います( いや、歌うことを強制されている!という方がいらっしゃるかもしれませんが )。

 ううむ、これは皆さんも素敵な提案があれば教えて欲しいです。

 こう考えるとSKE48一つとっても14年も続いたグループですので、ある程度「型」が決まってきているのかも知れませんね。その「型」は過渡期の頃に様々な試行錯誤の末に到着したのでは、と僕は思います。 
 しかし、先ほど挙げたようにこれからの新公演で、まだまだ新しいものは生み出せると思います。それはファン、メンバー、そして運営さんと協力して。

 SKE48は「排他的」と某49のコミック版で描かれたことがありますが( 面倒くさい人は多いと思います。僕はその考えて考えて袋小路にりう面倒くさい人達が大好きです )、その中には大事にしていきたい何かがあるんだと思います。ここは栄の大事な部分というのが、そこを窮屈に思える時もあるかも知れませんが、是非是非、また遊びに来てくださいませ。
 シェイクスピアの多くの作品は「自分が不自由さの中にいる」ということに自覚的だとハーバード大学のスティーヴン・グリーンブラット教授は指摘しています。不自由の中に居るから束縛の意味を探り、カウンターとなる自由を真剣に探せ続けたと。

 僕はどちらかというと、SKE48と坂道シリーズを比べて、「SKE48って自由でいいなあ、と思っていたので、今回の質問は新しい視点をくださる質問で、答える僕も様々な切り口で問題設定をしてみましたが、この設定がご質問の答えになっているか分かりませんが、考え方のなにかヒントになれば良いなと思います。
 そして、良かったら、シェイクスピアのように不自由の中にいても自分が楽しめる新しい自由の要素も探ってみていただければ、嬉しいです。

 来年の今頃、SKE48の新公演の曲たちが、ファンやメンバーの力でどんな風に育っているか楽しみです。

※あと6日で今月も終わりますが、まだまだ質問募集中です。




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