プライマルに戻る

 皆さんは、ずっと見ていて良かったなあ、というグループやバンドはあるでしょうか?

 僕はバンドマンだと志摩遼平のファンで毛皮のマリーズ、ドレスコーズと彼の音楽や音楽周りのカルチャーが好きで、今でも聴き続けています。更に、その志摩遼平が影響を受けたザ・イエローモンキーも少しだけ聞きます。
 ザ・イエローモンキーは、一度解散をしています。
 解散前に出された最後のシングルは、「プライマル」という曲で、僕はイエモンの曲の中で一番好きな曲です。

※未聴の方はイエモンの公式チャンネルで。

 

 凄く明るくて解放感があるメロディが大好きで、未だに僕は自分が推しメンの卒業動画を作るとしたら、これを使いたいぐらい好きです。笑いながら次のステージに進む「君」を少し寂しそうに歌詞の世界の「僕」が見つめている世界観が本当に良くてですね。

 本当にどうでも良い話ですが、僕が高校を卒業した日の帰り道にこの曲を聴いていたのも好きな理由の一つです。

 さて、イエモンは解散した数年後、再結成します。
 その復活ライブの1曲目が「プライマル」でした。
 「プライマル」には「最初の」とか「原点」という意味があります。
 バンドの活動の中で曲に物語が生まれていく。
 そんな例がこの「プライマル」だと僕は思っています。

※ちなみに復活後の東京ドーム公演でのアンコールラストも「プライマル」でしたね。 

 さて、物語を帯びるのは曲だけではありません。
 場所もそうです。
 SKE48にとっての物語性を持った場所。
 それはナゴヤドーム(今はバンテリンドリーム ナゴヤっていうんですね)ではないか、と僕は思います。
 かつてSKE48のメンバーたちが目指し、2014年に辿り着いた場所。
 そして、2018年に総選挙が終わった場所。
 そこから、静かにナゴヤドームを目指す物語は、浮き上がったり沈んだりを繰り返しました。ただし、その浮き沈みは以前と比べると社会情勢もあって小さいものだったと思います。

 先日、みなるんこと、大場美奈さんが卒業コンサートで「名古屋ドーム」を目指す物語にまた命を吹き込みました。

 

 果たして、この物語が進むのか、それとも違う物語を選ぶのか、これからのSKE48を見守っていきたいと思っています。
 さて、ナゴヤドームという場所の物語とつながるメンバーがいます。
 それはナゴヤドームからSKE48が始まったメンバー。
 そう、ドラフト1期生です。
 ドラフト1期生の一人、松本慈子。
 彼女は現在、チームSのリーダーを務めています。
 今年は、チームSに新公演が披露されます。
 これはナゴヤドームへとつながる物語の大事な線の一つだと僕は思っています。
 果たして、チームSは大丈夫なのか?
 松本慈子はチームSを導けるのか?
 まずは彼女のチーム観から見ていきましょう。
 

 チームSというチームは、SKE48の中でも一番「過去」や「思い出」と闘ってきたグループではないか、と僕は思います。曲によっては過去のメンバーたちと比べられることもあったかも知れません。実際に、中西優香推しだった僕も「仲間の歌」の煽りが大箱コンサートで起こる度に、「思い出」が蘇ってきてしまうことが多かったです。目の前の現実に広がる現役のメンバーたちよりも「思い出」の幻影が勝ってしまう。そんな体験がありました。
 今年の5月に発表される新公演は、誰の手垢もついていない彼女たちの為の曲たちです。
 そこには「思い出」というレイヤーは、観客に重なりません。
 ブログの中にあった純粋であり、どちらでも行くことができる彼女たち。
 彼女たちを先導していくのは、慈子だけではありません。
 ブログにも名前が登場しましたが、上村亜柚香もいます。
 このチームSのリーダー、副リーダーコンビが、新公演に向けてどんなチームを作っていくのか。今回は、この二人の関係性に注目していきたいと思います。

 まずは、加入から約3年が過ぎた頃の2018年1月28日に行われた上村亜柚香生誕祭の手紙を読んでみましょう。

 「亜柚香へ

 亜柚香と初めて出会った時、『なんだこの子供は』とその時、15歳で子供だったちかも思いました。

 先輩にたくさん甘えていて、ちかが先輩といた時、横から『ちかさん、ちかさん』と来て、ちかが話してた先輩はみんな『亜柚香可愛いねー』って言われ、いつも嫉妬していました。

 そんな亜柚香も今はたくさんの後輩がいます。

 でも、最近の亜柚香を見ていると、どこを目指しているのか正直分からないことがあります。

 亜柚香は今、自信を持って、これだけは誰にも負けへんってことがあるかな?もしあったとしてもちかから見て、伝わらないなーって感じる時もあります。あなたはもっと殻を破れます。楽屋のあの亜柚香をステージでもっと出してほしいです。

 他のチームにいるメンバーに『チームSに私がいたらもっと前に立てる』って言われること、めちゃくちゃ悔しくない?

 ちかが今一番伝えたいことは、もし組閣があって、した時に、今与えられているポジションには絶対に立てへんし、立つにはめちゃくちゃ時間がかかるし、相当な努力が必要です。だから、今を当たり前と思って欲しくないし、チャンスを無駄にしないでほしいです。

 でも、これは亜柚香だけじゃなくて、チームS一人一人そしてちかこも自覚を持たないとダメです。

 亜柚香は今自分が思っている以上にもっと頑張らないとダメだよ。でもね、焦り過ぎないでほしいです。焦ってしまうと周りが見えなくなっちゃったり、ファンの人も不安になってしまうからです。亜柚香は亜柚香のペースで進めばいいんだよ。

 そして、亜柚香は可愛いんだから、もっとツインテールをしなさい。
 

 ファンの皆さんはツインテールに弱いんだよ。
 

 『年齢が』とかよく言ってるけど、もっと周りを見てみな。亜柚香より年上の人なんて、やってるんだよ。


 誰とは言いません。

 ツインテールに年齢なんて関係ないよ。ちかはもっと可愛い亜柚香が見たいです。

 

 まだまだ大人っぽくなんてならなくていいし、今しか出せない上村亜柚香をこれからも出していってほしいです。困った時はいつでも頼ってね。

 ちかは卒業された『らりるれりーん』の先輩にこの言葉を言われたことがあります。あの時、ちかがたくさん支えてもらったように、今度はちかが亜柚香のことを支えられるように頑張ります。

 もちろん、亜柚香に負けないようにちかももっともっと頑張ります。

 改めて亜柚香、14歳のお誕生日おめでとう。

 亜柚香のことが大好きな松本慈子より」

 この頃は、チームSもまだ試行錯誤の段階だったのかな、と先ほどのブログの内容を踏まえると感じます。そして、厳しい言葉の端々から慈子の亜柚香への期待の大きさを感じます。「私の知っているあなたは、こんなもんじゃないはず」と僕は読み取りました。
 以前、この生誕の手紙を引用した記事と重なるところがあるので省略しますが、一つだけ言えるのは同じ最年少で先輩から期待されてきた境遇にある彼女だからこそ、分かるものがあったのかも知れません。
 
 続いて、2021年11月19日に行われた松本慈子生誕祭で読まれた手紙を見てみましょう。


「ちかさんへ

 22歳のお誕生日おめでとうございます。

 今のタイミングでのお手紙が本当に私でいいのかなと思いましたが、私が14歳の生誕祭の時にちかさんにいただいたお手紙のお返しをいつかしたいなと思っていたので、普段はなかなか言えないことをこの機会にお手紙で伝えたいと思います。

 私から見たちかさんは一言で言うと尊敬する先輩です。

 なかなか直接言ったことはないと思いますが、だいぶ前から尊敬しています。

 これもまた直接ちかさんに言ったことはないと思いますが、私が副リーダーやリーダーになりたいと思うきっかけになったのはちかさんとちかさんの相方でした。

 その時、SKE48でどうなりたいと何がしたいとか明確な夢や目標がなくて、何がしたくてSKEになりたかったのか、どうしてSKEになりたかったのかわからなくなっていた私に夢と目標をくれたのがお二人でした。

 ちかさんはいつも助けてくれて、頼らせてくれて、私にとってとても大事で大きな存在です。本当にいつもありがとうございます。

 チームSメンバー二人の卒業を控えていて、その後の新公演。嬉しい、楽しみの気持ちの反面、不安もたくさんあると思います。

 新公演の初日、劇場公演の幕が開くまできっと色んなことがあると思います。でも絶対に一人で抱え込まないでください。

 私もちかさんを、チームSを支えて皆の力になりたいです。

 ちかさんには私たちチームSがいます。今までよりももっと一丸となって新しいチームSを見てもらえるように皆で一緒に頑張りましょう。

 私にとって今SKEにいたい理由、今SKEが頑張りたい理由の一つがチームSです。そう思わせてくれたのも全てちかさんです。だからこれからも私はちかさんについていきます。チームSの皆は私たちについてきてください。

 これからもビシバシお願いします。

 いつでも駆けつけるので、いつでも呼び出してください。

 ちかさんの近くで色んなことを経験できて、色んなことを学べて凄く幸せですし、SKE人生で今が一番楽しいです。

 本当に『ちかさんのおかげで』なことがたくさんあります。ありがとうございます。大好きです。

 気負わず、ちかさんらしくSKE人生そして22歳を楽しんでください。

 本当にお誕生日おめでとうございます。

 今回お手紙を書く機会をくださった生誕委員の皆様、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


 上村亜柚香より」

 活動の中で、「夢や目標が分からなくなった」そんな彼女に希望を見せてくれた慈子と「相方」さん。今、副リーダーになった彼女は「夢や目標が分からなくなった」後輩メンバーのロールモデルになっているかも知れません。
 そして、「今SKEにいたい理由の一つ」である松本慈子の存在は、とても大きいと思います。
 慈子はこの日の生誕祭をアメブロで下記のように振り返っています。


「あゆか丸の存在に沢山すくわれてるねん」。お互いを助け合いながらチームSを作っていることが分かります。また、「歴代のリーダーや、周りのリーダーと比べて」というところなんて、まさに先ほど僕が挙げた「思い出」について、メンバーである彼女も闘ってきたんだな、と感じます。
 この生誕祭のスピーチで慈子は、チームSでは「この子がセンター」ということを決めなくて良いのでは、ということを語りました。
 確かに今のチームSは、センター候補だらけです。 
 おそらく、SKE48のシングルのリリースが年4回ならば、センターになっているのでは、という子もいます。
 でも、慈子にもあゆか丸さんにも後ろに引かずに、まだまだ前に出て欲しいな、と思います。センターも選抜も。
 二人とも入ってきた年齢が若いので、ついつい昔のイメージのまま見ているファンの方もいらっしゃる方もいるかも知れませんが、キャリアだけでいえば、もうベテランの域に入り始めてるんですよね。

※詳しくは6年目の時のアメブロをお読みください。

 そのギャップについて、他のメンバーはどう思っているんでしょう?
 2022年2月21日に行われた上村亜柚香生誕祭で読まれた手紙をみてみましょう。

「亜柚香ちゃんへ

 ヤッホー! 元気にしてる?

 最近会えなくて寂しいな~。

 時々連絡くれたりして、ありがとうね。

 でも、私がいつもストーリーにメッセージを送ってやり取りするって感じじゃない?」いつもそのだる絡みに『一応先輩だし、対応しとこっか』みたいな感じで返信してくれる。

 でも、昨日は亜柚香ちゃんから『いつ帰ってきますか?』ってメッセージが来て嬉しかったなー。

 あっ、18歳のお誕生日おめでとう。

 ここ1年でまた距離がぎゅっと縮まった気がしてるんだけど、どう? 私だけ?

 現場で亜柚香ちゃんを見つけると元気になるし、仕事が一緒だと『嬉しいな、遊んでくれるかな』ってワクワクするし、どこへ行くにもついてきてくれるし、どこへ行くにもついてきてくれるし、美味しそうにご飯食べてくれるし、私のボケにもつっこんでくえっるし、ガチアレも頑張ってたし、『重ねた足跡』公演教えてくれるし、『SKEフェスティバル』公演助けてくれるし、『会いたかった』公演も助けてくれたし、あなたって本当に良い子よね。

 ただ、いつもどこか周りの同期や同世代のメンバーとは違う落ち着きや冷静さがあって、かと思えば底抜けに明るくて無邪気な一面もあって、『何この子、なかなかつかめないなー』と思ったりもしたんだけど、でもそれは周りを見る力に長けていて、気を使いすぎるゆえの行動だったということ、最近になって気づいたよ。

 違うチームではあるけど加入当初か、いやドラフト合宿の頃から亜柚香ちゃんの今までを見てきて『本当に立派に成長したな』と心から感じています。

 もちろん私の見てきたものが全てではないだろうし、きっと知らない部分で挫折や苦労なんかも少なからずあったかもしれない。

 でも亜柚香ちゃんはそれを一切表に出すことなく、いつも明るく笑顔で、時に冷静沈着に、自分以外の誰かに迷惑をかけないようにって子供なりに沢山考えて我慢して頑張って頑張って過ごしていたんじゃないかなと思います。

 そういう頑張りっていうのは目に見えて感じる部分があって、特に先輩メンバーたちは亜柚香ちゃんのその姿勢に気づいているからこそ、そんな亜柚香ちゃんのその姿勢に気づいているからこそ、そんな亜柚香ちゃんが愛しくて仕方がなくて、皆が赤ちゃんのように亜柚香を可愛がるんだね。

 私の前ではどれだけ甘えてくれていいし、わがままだってたくさん言ってほしい。本音や野望だって聞きたいと思ってる。

 副リーダーとして、7D2として、プリマステラとして大変なこともあるかもしれないけど、きっと亜柚香ちゃんは『全部楽しいです』って嘘偽りなく、あの屈託のない笑顔で言ってくれるんだろうなー。

 でも、亜柚香ちゃんの力になりたいと思っている人が周りにたくさnいることを忘れないでね。

 リーダーは周りを頼れてこそ一人前だし、同期と並んでステージに立っている時間は永遠ではないし、それこそティーンズでいられるのにも限りがある。

 プリマに期限があるってことはないよ。4位、おめでとう。これからも頑張ってね。

 でも、その瞬間瞬間を大事に一生懸命取り組んでる亜柚香ちゃんは偉いし、好きなことに熱中できる人ってとっても輝いてるよ。だからこれからもしっかり自信を持ってね。

 あと、これちょっと恥ずかしいんだけれど、取材で『私みたいになりたい』って言ってくれたの、あれ嘘じゃないよね?

 正直私の活動って、メンバーが憧れるようなものではないだろうなーって思ってたから衝撃だったけど、『ファンの人や大人以外にもちゃんと近くで見てくれて認めてくれる人はいるんだ!』って嬉しかった。

 亜柚香ちゃんはもう既に必要とされている人だし、皆をまとめる力も、引っ張っていく力も持っていると思う。

 私ももう長くやってるけど、未だにうまくいかないなーってことは沢山あるし、いつまでたっても漢字読めないし、大事なところで噛んじゃうし、振り付けもなかなか覚えられないし、ほんとどうしょうもないキャプテンだけど、これからも亜柚香ちゃんの憧れでい続けたいからもっと頑張るね。

 だから、亜柚香ちゃんも『選抜に入るより』なんて考えはやめて、ちゃんと選ばれる人を目指してね。

 いくつになっても上を目指すこと、歩みを止めないこと。私もそう示せるよう、導けるよう頑張るから。

 そして、最後にひとつだけ。無理に大人になる必要はないけれど、かといって子供にももう戻れない。でも、どっちものいいとこ取りをできる最高の時代を生きていると思うから、自分の思うままに素直に生きてこ。自分こそが人生の主役じゃん。

 私が18歳の時なんて『うちが世界の中心。アゲ~!』って思ってたから、亜柚香ちゃんもそんな感じで楽しんでこ。

 何かあったらいつでも言って。力になるし、答えが出るまで一緒に悩んであげるよ。任せて。

 じゃあ、もうすぐ名古屋帰るから一緒に遊ぼうね。

 斉藤真木子」

 上村さんの18歳になることに対して、「どっちものいいとこ取りをできる最高の時代」と真木子は言いますが、これはSKE48のキャリアと年齢との関係にもあてはまる気が僕にはします。
 そして、手紙を読みながら気づいたんですが、そうか、ドラフト2期生の時は合宿の様子をメンバーたちが見に行ってましたね。スタートから知っている真木子だからこその言葉だと思います。
 中でも「『選抜に入るより』なんて考えはやめて、ちゃんと選ばれる人を目指してね」という言葉は、まだまだキャプテンも選抜も経験した彼女ならではの言葉だと思います。そして、まだまだ後ろに引くには早いよ、という願いだと思います。
 実際に慈子のアメブロを読むと、自分よりも「みんな」の方を考えてしまって悩んだことが書かれていますね。

 物語は曲だけに宿らない、場所にも宿るということを最初に書きました。
 きっと、チームや公演にも宿るのではないか、と僕は思っています。
 チームS新公演。
 松本慈子と上村亜柚香のリーダーコンビに降りてきた新しい物語です。
 きっとこの二人なら、最高のハッピーエンドにしてくれるのではと信じています。
 そして、いつか、単独名古屋ドームで動き出したアイドル松本慈子が、まだ未体験の上村亜柚香という最高のパートナーを連れて、最高の「里帰り」をして欲しいなと思っています。

※最高の仲間に出会えたことを歌うイエモンの歌を貼ってお別れです。




※以前、書いたあゆか丸の記事はこちら!


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