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おすすめの漫才師 金属バット

 とんでもない世の中になって来た。
 今年、なんとか映画館で観ることができた「新感染半島ファイナルステージ」の冒頭で、「我々は神に見捨てられた」という内容の文字が道路にかかれていたが、ウイルスは年中無休で人々を苦しめ、人々を疑心暗鬼にした。
 「なんで私ばかりがこんな目に」昨年観た映画のうち印象に残った何作かで偶然にも一致した台詞だった。
 絶望に効く薬は何だろうか?
 いや、お金でしょ、という人もいる。
 一日一日のご飯にも困っている僕からしたら、お金があればちゃんとした物が食べられるし、味のある水が飲めるお金とか最高である。
 でも、それだけで良いのか?
 生きている中で、僕が絶望に飲み込まれずに、楽しめるようにしてくれたのは、「お笑い」だった。
 どんな辛いことも「おいしいな」と「エピソードトーク」に変えさせてくれる。「オードリーのオールナイトニッポン」には多大な影響を受けた。
 そんな僕が最近、ハマっているのが漫才師の「金属バット」だ。

 好きになったきっかけは、SKE48の福士奈央が出ていた「芸人もういっちょ」というyoutubeの「もういっちょTV」というチャンネルからだった。確か、福士奈央が「Rー1」に挑んでいた頃だったと思うが「金属バットもういっちょ」という謎の番組が誕生していた。
 ただ、その頃は全く観ていなかった。

 2020年末に仕事を辞めて、虚無的な時間を過ごすようになり、すっかり年の瀬。M1グランプリの敗者復活戦をテレビで観た。
 1番手に出てきたのが、金属バットだった。

 面白かった。
 小林さんの少しとぼけた口調と、友保さんの聴き心地の良い大阪弁が物凄く良かった。年の終わりにして、その日から僕の流行語は「きゃーわいーんだ!」になった。
 数日後、ふと思い出して、「金属バットもういっちょ」を観た。
 そこには、彼らの敗退インタビュー、優勝インタビュー、棄権インタビューというあまりにもバカげた動画がアップされていた。世の中で正論が叫ばれ、色々なことを自粛することを求められる世の中でこんなに思う存分ふざけた連中がいるのか(スタッフ含めて)、と驚くと共に大いに笑った。
 是非、敗者インタビューから順番に観てみて欲しい。

 それから、順番に「金属バットもういっちょ」を観ていった。
 丁度、無職なので、時間は無限にあった。
 個人的にはシーズン5の小林さんが、番組の始めに「もういっちょ暗殺拳!」とか「もういっちょう流!」とか様々な小ボケをしていくのが好きで、自分でもたまに誰も居ない夜道で呟いている時がある。

 友保さんは影響を受けた芸人で「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」のメンバーを全員挙げる信頼出来すぎる人だが、非常に映画好きだというのも好感が持てる。「バーフバリ」を知っていたり、すぐに「バックトゥザフューチャー」の台詞を覚えられるぐらい観まくっているところも素晴らしい。最近、「大自然」のyoutubeチャンネルに出ていた時に、かなり映画について語っていてこれも面白かった。
 ただ、彼のストイックな姿勢が感じられるのが、この回だ。

 スベった分、辛い思いをしたいというのは、オードリーの若林さんが、スベった収録では何駅か歩いて帰ることがあると言っていたのを思い出した。ちなみに、この回の次の「紅茶のすべて」の回も最高だ(僕はサムネを観ただけで大爆笑した)。

 ただ、彼らの歴史を調べていくと、順風満帆なわけではなく、インディーズライブに出た為に劇場に立てない日々もあったり(ただし、そもそも場数をあまり踏めてない頃だった)、賞レースの後でファミリーマートのアルバイトに行ったり(エル・カブキさんの番組に出た時の小林さんの証言より)、苦労を重ねて今があるのだ、と知った。

 ただ、金属バットを決定的に好きになったのが、彼らのyoutubeのラジオ番組「声流電刹」だ。

 小林さんが書いたあまりにも独特な絵も凄いが、トークの内容が面白い。オープニングで流れるフィリピン国家が病みつきになる。
 まず、二人が30代後半という僕と同世代で、ゲームの話題や喩えに非常に共感を持てるところ、そして、視聴者から来るメールの数々が本当に電波を感じるものが多く、毎回、大笑いしている。特にタクマ・サカザキのアンチからのハガキは最高だった。あと、「全部答えてください」と必ずハガキで書いてくる人も面白かった。
 二人のところどころ感じられる教養も良いし、昔のNHKの番組大好きっ子であることも最高だ。ダラダラと近況を語る二人のトークを眠りにつきながら聞くのが楽しい。 

 ちなみに、コラボ動画だとこの動画が最高だった。


 はっきり書くと、もう生きて行くのが辛いところだ。
 こっから先の希望があまり見えない。
 痛くないならここで命を絶つことを選びたい。
 でも、一度、二人のネタを生で聞いてみたいな、と思う。
 そう、やっぱり笑いは、絶望に効くのだと思う。
 今日、こんな曲を見つけた。
 聴きながら泣いた。
 本当にカッコ良かった。

 明日どうなっているか、判らないが、いつか祇園の劇場で「もういっちょパーカー」や「もういっちょTシャツ」を着て彼らの漫才で笑っていられるように、悪あがきをしたいと思う。
 もし、僕を見つけたら、気軽に声をかけて欲しい。
 もういっちょ暗殺拳をかますから。

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