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元SKE48 10期生 五十嵐早香の日常は何故、面白いのか?

 「Bバージン」や「絶望に効くクスリ」の作者である漫画家の山田玲二司さんの「ヤングサンデー」が好きでよく見ています。
 2017年にあった放送で未だに心に残っている回があります。
 それは、山田玲司の漫画教室の初回でした。

 彼はまず、漫画家は自分に自信を持ってないと描く作品にもぶれが出てしまう、「自分が凄い」っていうことをどこまで信じられるかを語ります。
 周りにいる漫画家を目指す仲間や編集者や友人は、今の自分の作品を見て「君は無理だ」とか「才能ないよ」とか言うかもしれない、一番難しいけれど、それをスルーして欲しいとも語っています。なぜでしょう?
 「本当にあいつら、邪魔しかしねえ!」
 山田さんは少しだけ語気を荒げてこう言います。
 人の足を引っ張るとかそういう悪い方向に回っている人の近くにいない方が良い、居るんだったらちょっと距離を置いて、「お気の毒様」と思っておくのが良いと続けます。
 そうしないと、本当にダメな人間、諦めた人間というのは、諦めない人間を同じ方向に引きずりおろそうと必死になって、「はい、お前もダメなやつ」という風に安心したがるそうです。

 自分を信じて良い方向にやっていくと、次第に結果も出てきたと山田さんは自分の体験は語ります。
 そうすると、他人を許せるようになる。
 今度は、お気の毒様と思っていたやつを助ける方にも回れる、本来はそういうやつこそ助けなきゃいけない、それを自分の漫画の力でしようよ、と山田さんは語ります。
 自分の芸術性だけに走らない。
 「君が分かりやすい言葉で喋るよ」
 そう言える肯定感が良い作品を生んでいくと。
 ただし、「いつか認めさせてやる!」というタイプの方もやっぱり凄いとも付け加えています。

 まだブログを始める前にこの放送を見たんですが、この言葉はずっと胸に残っていて、周りを見回すと自分を助けてくれる人ととただ単に足を引っ張るタイプの人が確かにいるなあ、と感じました。
 さらに、これがSNSやネットの掲示板、まとめサイトのコメント欄なんかを見ると、諦めない人たちの足を引っ張ってなんとかダメ側に寄せようとする人を見ることが多いです。
 なので、僕はなるべくこういったサイトは見ないようにしてますし、SNSもブログやnoteの宣伝にしか使わないようにしています。
 なるべく負のベクトルの人とは関わらないようにして、尊敬できる人たちとは積極的にコミュニケーションを取る。そうすることで、この1年くらいでちょっとずつ良い流れを自分なりに作ることができるようになってきました。

 ふと、SKE48を2月28日に卒業した五十嵐早香さんのことを思い出しました。
 卒業する夜、彼女は最後のショールーム配信をしました。
 そこで、休養期間である「応仁の乱」について語ってくれました。
 彼女は「冬季性うつ」と呼ばれる秋から冬に症状が出て、春先になると自然回復していく季節性のうつ病を経験していたそうです。
 そういうことだったのか、と理解しながらも、なんともやるせない気持ちになりました。彼女自身は「30までSKEにいると思っていた」と語ってくれていました。しかし、こればっかりは、SKE48の時計の進み方とは違う時計の進み方をしていくしかないな、とも感じました。
 ただ、そんな彼女に対して、「クビになった」とか「影でアルバイトをしていたせいだ」と言う人たちもいました。
 まさに「諦めた人」が「あいつはダメ」と言いたい、安心したいんだろうな、と僕は思いました。
 
 五十嵐早香さんは、最後の配信で「SKE48にいたから、文章も書いたし、一人で配信をしようと思った。本当にここに居れて良かった」と語りました。
 これからの展望に対しては、「グラビアアイドルもやってみたい」、「人を楽しませる仕事をしたい」、そして、「ほんの少しの希望にかけたい、希望を捨てた人を楽しませる職業につけるかもしれない」と語り、これから普通の女の子に戻った彼女がこれから再び夢を掴んでいくまでも発信していくかもSNSで発信していくと語ってくれました。

 実際に彼女は卒業後、新しいアカウントで活動を始めます。

 彼女の卒業発表ぐらいから、「SKE48の枠の中にいたから注目されたんだ、外に出たら通用しないよ」という声もちらほら聞こえました。
 確かに、SKE48という枠の中には、ここまで独創的で奥行きのある文章を書けるメンバーはいませんでした( 小説家松井玲奈が誕生したのは卒業後なので… )。
 でも、次の枠に入ったらまた、違う彼女の魅力が枠からはみ出てくると思います。
 まずは、「ラーメン屋さんのアルバイト」という枠からかもしれません。一つ言えるのは、SKE48で培った個性は違う枠でもきっと通用すると僕は思っています。
 たとえば、「文筆家」という枠から見たとしましょう。今度は彼女のアイドル性がきっと武器になると思います。「グラビアアイドル」という枠からならば、文章が書けるということがきっと武器になるでしょう。
 彼女が夢を諦めないで良いように、「良い流れ」をきちんとまわしていければいいなと思っています。
 そうすることで、いつか「諦めた」人たちも助けられる気が僕にはします。
 助け方はきっと色々だと思います。
 僕自身も何回も「諦め」かけた経験のある人間ですが、やはり、「推し」の存在は凄く大きいです。
 賄い付きのバイトしたり、東京に持ち金300円だけで行ったり、まだまだ五十嵐早香さんの物語は退屈しません。
 何故か。
 やっぱり彼女が持っている「何か」のおかげだと思っています。
 その「何か」は「才能」というスマートな言葉じゃなくて、地道ですがしっかりと地に足をつけて毎日一歩ずつ進んでいく、彼女の不器用だけど誠実な「人間性」だと思っています。
 もがきながら進んでいく彼女の日常はやっぱり元気をもらえます。
 そんな彼女が、ちゃんと新しい夢を掴むまで見守れたら、力をもらった分をなんらかの形でまたお返しできたらいいな、と思います。
 noteやショールーム配信を始めてくれたら、チェックするつもりです。
 あと、自分の作る雑誌も活躍できる場として、少しずつ良質な場所にしたいと思っています。
 
 いつか、「五十嵐早香にグラビア界は狭すぎる」とか「五十嵐早香には文学界は狭すぎる」という記事が書けるぐらいの大暴れを期待しながら、この記事を終えます。

※なんとなくイメージした曲を貼っておきます。
   本当に大好きな曲です。


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