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忘却図書館 10年代ベスト

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2022年12月の記事一覧

【忘却度10%】清水潔「殺人犯はそこにいる」

2014年1月26日。  これは衝撃でしたね。  後に「文庫X」という仕掛けで文庫版も話題になりました。  冤罪事件として有名な足利事件の真相。普通に真犯人がどういう人物かを書いてるのがすごいです。そしてなぜ警察が動けないかの理不尽な理由もすごい。 <ネットで調べてみる>  後に私は殺人事件などを追ったノンフィクションを片っ端から読むようになります。  そして私、5年後に事件記者を主人公にした、殺人事件が絡む小説を出したりしてます。

【忘却度20%】ジュリアン・バーンズ「終わりの感覚」

2013年12月28日。  すばらしい小説でした。  ヒロインが本書のいちばん秘密をもったいぶらずに先に言えば、もっと早く終わる話なんですが(言い方)、最後まで面白いです。  主人公がまあまあ嫌な奴で、若いときに恋人を親友に取られて、若気の至りで捨て台詞がてらに呪いの手紙を送っちゃうようなタイプ。  それが数十年の時を経て、という話です。  本屋さんで適当に手に取ったんですけど、当たりでよかった。  この数年後、ジム・ブロードベントとシャーロット・ランプリングで「ベロニカ

【忘却度80%】吉行淳之介「夕暮まで」

2011年12月8日。  初の吉行淳之介先生。  日記によると「なんかいまこの気分かなと」買ったようです。どんな気分だ。  中年男と若い女の本番以外の不倫関係。  このときエッセイなどでも書いたんですが、檀一雄先生「火宅の人」とか本書とか、きっと若いときには難しく感じる話だと思うんですけど、年をとるとあまりにもあっさりと腑に落ちました。  でももろもろ忘れてるなあ。 <ネットで調べてみる>  「若い男女のパーティに、幾人かの中年男が招かれる。その一人、佐々は会場で2

【忘却度60%】ロバート・ウェストール「禁じられた約束」

2012年3月3日。  震災から1年、個人的にも人生でいちばん心が落ち着かないことが起きて1年、やはりなかなか読書という気分にならなかった時期です。  そんな時期、過去の日記を読み返して書き抜いてたりしたのですが、この5年前の2007年3月、大事な人がこの本を薦めてくれてたことに気づき(でもそのときは読まなかった)、さっそく購入しました。  病弱な女の子がヒロインなんですが、その後の展開は、悲しく、しかし恐ろしいものになっていきます。  でもこれ、中学生とか向けなんですよ

【忘却度20%】楓牙「先生を見てください」

2012年8月12日。 2021年4月17日再読。  これもエロ漫画です。  本作で楓牙先生を知って大ファンになり、その後もおっかけるようになりました。  世徒ゆうき先生は絵柄がすごくて追っかけてましたが、楓牙先生はストーリー。せつないし、ぐっとくるしで大好きです。全作、話がすばらしい、描写がすばらしい、キャラクターも台詞もすべてがすばらしい。 <ネットで調べてみる>  楓牙先生は(他の方もそうかもしれませんが)、「作品自体のタイトル」と「単行本時のタイトル」が違い

【忘却度40%】壇蜜写真集「濃密」

2012年10月23日。  すでにグラビア界で大ブレイクしていた壇蜜さんの、映画初主演時の写真集です。サイン入りで送っていただきました。 <ネットで調べてみる>  この写真集、というかそれに伴うもろもろについては山ほど書けることがあるんですけど、それはまたいつかの機会に。

【忘却度70%】手塚治虫「ばるぼら」

2013年1月19日。  小説家がミューズに出会う話。  若いときは芸術家における「ミューズ」というのを、どこかで小馬鹿にしてました。おっさんが若い女と、という関係性からして若い男には「敵」ですし、女にその存在以上の価値を無理に見出してるようにも思えてたからです。  「ばるぼら」も10代で読んだらきっとそんな風に主人公を笑ったことでしょう。  若さは馬鹿さ。  大人になってから読んでよかった。  そんな風に生意気にも思っていた私も、ちゃんとミューズに出会い、その存在のおか

【忘却度80%】六田登「海が鳴く時」

2013年5月17日。  これは若いころからのモヤモヤが解消された1冊でした。  六田登先生といえば、私には中学生のときに見てたバスケアニメの「ダッシュ勝平」。田中真弓さん(勝平)の、ぷかぷか空中に浮かんでのシュート「あ、よいしょっ」の声マネもよくしてました。  あるとき、そんな六田登先生のものすごくシリアスな漫画をたまたま読んで、しかも激しいセックスシーンとかもあって、「ダッシュ勝平」しか知らなかったもので(不勉強ですいません)かなり驚きました。  それから時は

【忘却度20%】「風立ちぬ ビジュアルガイド」

2013年9月6日。  五反田ブックファーストで購入。  この前月に見た宮崎駿監督「風立ちぬ」。   2010年代、文句なしのぶっちぎり1位の映画でした。  私の友人はあっさり「つまらない」と言ってたのですが、この映画はそんな風にものすごく響く人と、まったく響かない人に見事に分かれるのもよくわかります。  たまたまどちらも久石譲さんですが、オープニングを見ただけで、この映画のすべてが詰まってると感じ、最初から涙が思わずふきだしたのは、北野武監督「キッズ・リターン」と「風