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それでもぼくは、日産PAOに乗る。



ぷっぷー

日産PAOが大好きさ

ピーエーオーではない。パオである。我が輩の愛車は、パオである。
日産自動車が1989年1月13日に発表した、通称パイクカー(デザインがとんがった車)シリーズの第二弾で、二ヶ月だか三ヶ月の間限定で販売された車である。期間中に予約をもらった分は全台数作るよ〜という方針が採られていた。

ぼくの乗っているパオは1990年式なので、なんというか、妊娠したのが1989年1月で、生まれたのはその一年後、という感じである。

ぼくがパオに乗る大きな理由の一つは、発表されたのが1989年だから、というのがとても大きい。何を隠そうぼくはパオが発表された1989年(平成元年)生まれなのだ。ちなみに2月13日生まれで、パオの発表とは一ヶ月違い。一ヶ月、パオの方がぼくよりお兄ちゃん(お姉ちゃん?)なのだが、ぼくのパオは1990年生まれだから弟だ、ということにしている。勝手にそこに運命を感じている。

ぼくのパオにはメガネみたいなフォグランプがついているが、同時にヘッドライトにいわゆる
‘まつげ’がついていて眠そうでもある。メガネかけてて眠い、みたいな状態。


マジのポンコツ

パオちゃんがぼくのところにやって来たのは、今から7年前。26歳の時だ。
22歳の時に、パオの存在を地元の寂れた中古自動車屋さんで知って、(すごいボロボロだったけれど存在感があった)その時からパオの事を調べたりミニカーを買ったりして、想いを募らせていった。何年かしたらこの熱も冷めるのかしらなんて思っていたけれど、全然そんな事はなかったので、四年後に本当に買ってしまった。
およそ30年前に作られた車なのに、価格は100万円を超えていた。程度にもよるんだろうけど、ぼくのパオはそこそこの綺麗さで、ほどほどの距離を走っていた。

納車された一ヶ月後くらいに日光に出かけた。その日はたしか雨が降っていて、いろは坂を登っている途中で、右側のワイパーが折れてすっ飛んでいった。ハザードを焚いて拾いに行ったんだけれど、残念ながら見つからなかった。すごいシュールな感じですっ飛んでいった。

そして、もうすぐ頂上だ!と思った時、エンジンが止まった。

すぐにエンジンをかけ直したら始動したので、完全な走行不能状態にはならなかったのだけれども、それから信号待ちのたびにエンジンが止まってしまうようになった。
さらに、きつい登り坂でアクセルを踏み込むと、「いや本当に勘弁してくださいもう無理です」という感じになってしまうようになった。パオがそう言っているわけではないのだが、いや、言ってたと思う。なんか、走り具合から、そう感じるのである。後ろのオラついた車に煽られっぱなしですっごく嫌だったなあ。

ちなみにその日から日光には行っていない。コワイ、ニッコウ。

どうやらガソリンのフィルターにゴミがめちゃくちゃ詰まっていたようで、原因はそれらしかった。ぼくのパオは長いこと放置されていたらしく、ガソリンタンク内がサビサビになっていたようなのだ!
そのサビがガソリンと混ざり合い、フィルターを詰まらせていたのだという。フィルターを交換して事なきを得たのだが、このガソリンタンク内のサビとの戦いはそれからもずっと続いていく事となる。

運転席のドアが開かなくなる

外側からではない。内側からである。パオに乗ったら最後、内側から外に出ることができないのだ。軟禁状態である。
幸い、パオの窓はレバーをぐるぐる回すと開閉できるので、いったん窓を開けて、右腕を外側のドアノブにまわしてオラァと開けていた。その節は本当に不便でございました。
全然関係無いけど、「いったん」ってひらがなで書くと可愛いことに今気づいた。いったん。ねえ、いったん。いったんってば!


リアハッチが落ちてきて頭に当たる

荷物をトランクに入れる際、パオはリアハッチと呼ばれるドアを上にあげる。リアハッチを支えるダンパー(なんか棒みたいなやつ)にはガスが入っていたはずで、圧力がかかってリアハッチを支えていたのだろうけど、ぼくのパオはそのガスが抜けてスッカスカになっているので、リアハッチを全く支えられないのだ。だから荷物を入れる際、リアハッチは頭上に落ちてくる。
想像してみてほしい。皆さんも車をお持ちの方なら、いや持っていなくても、トランクルームのドアを開けた事くらいはあるだろう。そのドアが保持されず、落ちてくるのだ。誰かに支えてもらっていないと、荷物を入れることができない。


気付いたら「パオ 買取 価格」とかでググってる

ぼくのパオのポンコツ具合を少しだけ書き連ねてみたけど、本当はまだもう少し書ける。でももうこれくらいにしておく。ぼくのパオ、良いところもあるんだぜ。
例えば買取価格である。
今から30年前に製造された普通車を下取りに出そうとした場合・・・いったいいくらの値がつくだろうか。おそらく0円か、よくても10万円程度の評価金額しかつかないのではないだろうか。(海外で人気が出ているようなスポーツカーなどは除く)
パオをはじめとするパイクカーシリーズ(Be-1、フィガロ)は、程度にもよるんだろうけど、30万〜60万円くらいはつくんじゃないだろうか。プレミアがついている、というのもあるんだろうけど、やっぱり人気があるんだと思う。デザインがとにかく良いからね。フィガロなんかは、海外に輸出され放題だし。
だからね、ちょっと今月ピンチだな、お金使い過ぎちゃったな、なんて思った時は、いつもグーグル先生にパオの買取金額を聞いている。
へえ、こんな金額で買い取ってもらえるんだ、と。我が財布の救世主となりたまへ!ガハハハ!と。

ま、売らないんだけど。

あんたなんか嫌い!もう別れる!とか言ってる癖に全然別れない、なんだかんだで仲良しなカップルみたいな絶妙な関係を保っているぼくと日産パオ。見る角度によっては、背の低いジムニーに見えなくもない。ワイルドなのか、可愛いのか、カッコいいのか、間の抜けたような顔をしている癒し系な車、日産パオ。
だんだん部品の供給もなくなってきているし、燃費も悪くなってきている気がするし、クーラーが効かないので真夏の車内は地獄だし。ていうか小さいのに軽自動車じゃないから税金も高いし。書いているだけだと「何その車、クソじゃん」と言われてしまいそうだけれども。
いったん、いったんそういうネガティブなところは置いておいて、真正面からパオと向き合ってみると、やっぱり可愛いんだよな。うちのパオ。

ぼくがパオに乗り続ける理由なんて、多分それだけなんだと思う。

色んな方に「パオってどうですか?壊れますか?」などなど聞かれることもあるけれど、あんまり上手に返せたことはないような気がする。ハハハ、とか言って適当に笑って誤魔化していたような気が確かにしている。
あの、愛さえあれば、きっとどんな車にだって乗れるんだと思います。
壊れてもポンコツでも、「マジかよこの会社パオちゃん75万円で買い取るってよ、ヒャホウィ」とか言ってても、やっぱりそこに愛があるので、乗り続けてしまうものなんだと思います。
あんまりおすすめはしませんが、おすすめですよ、日産パオ。
通勤に使っても、どこかにドライブに行っても。景色に色がつく、そんな気がします。


ぷっぷー

まだもう少し書けることもある気がするので、気が向いたらまたパオについて書きたいと思います。


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