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変幻自在の獣戦術! 【演目:『天目一祠』】デッキ紹介 (本編)【無題紅白 / VTuberイメージデッキ大会】

 こんばんは!
「ツクスト」所属VTuber / バーチャルクリエイターの帯衣青蓮です。

帯衣青蓮(オビエ セイレン)

 2022年3月下旬に活動を開始し、文芸やDCG(デジタルカードゲーム)に関する創造性を刺激するようなコンテンツを提供すべく日々邁進しております。
 今後とも、どうかお見知り置きいただけますと幸いです。

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 YouTube → https://www.youtube.com/channel/UCNemDeWRcTAfUyli6IRrZmw

 今回は今度こそ2022年9月17日(土)に参加した『紅白デュエル合戦 The Final』G枠で使用した、《魔妖仙獣 独眼群主》のデッキ【演目:『天目一祠』】の紹介です。

 1枚1枚のカードには、物語が宿っている。
 神話、伝承、あるいは歴史。
 それらに考察を加え独自に編纂する。
 それこそがデッキビルドであり、すなわちこれ文学である。
 仮初めの 世に仮初めの 名と身とで 起こしに来たは 創造の波。
 バーチャルクリエイター、帯衣青蓮。演目は『天目一祠』。
 その創造の一端を、今宵ご覧に入れましょう。

帯衣青蓮
演目『アメノマヒトツノホコラ』

 以下、【演目:鉈御先】から続投しているものから順に、ギミック単位で紹介してゆきます。
 が、参照するレシピは最新のものなので、内容は当時のままではなく、そのギミックが改修された状態でご覧いただくこととなります。

1.コンセプト

 今は昔、とあるお山の奥深くに、古びた祠があったと。
 祠の辺りには犬や猫やが棲みついて、およそ空っぽの祠は、取れかかった扉が、時折ギィコ、ギィコと、風に吹かれて音を立てるばかりなのだと。
 そんな山奥に、あるものはこんなものをみるそうな。
 白い袈裟頭巾を巻いて、眼を光らせてさまよう、毛深い獣の悪僧を。
 大きな鋼の鉈をかついで、その極まった霊験は、吠えるだけで人を床に臥さすのだと。
 けれど、こんな言い伝えもあるそうな。
 あの獣の悪僧は、祠に眠るほんとうの御霊の、御先に過ぎないのだ、と。

『鉈御先』、あるいは『天目一祠』

 ——という伝承を、「演目」にしたという体のデッキです。
 森の獣たちが飛び交い、山の妖仙に力を与えるだけでなく、「EM」や「メタルフォーゼ」によってそれが演目として(錬金術のように)昇華されているというメタ構造を取り、また演出を加えている、というわけです。

2.【演目:鉈御先】からの続投ギミック

2.1.妖仙獣

《魔妖仙獣 独眼群主》1枚、《妖仙獣 閻魔巳裂》2枚、《妖仙獣 大幽谷響》1枚。
 元々1-3-2で採用していましたが、初手に来る上級「妖仙獣」は完全な事故要因になること、《閻魔巳裂》に同名1がないとはいえ3面並べるほど場に余裕はないことなどから、思い切って減量しました。《大幽谷響》は同名をサーチできるので、2枚あったら嬉しくはありますが……。

《独眼群主》は実はバフ対象が自分の「妖仙獣」全体なので、《閻魔巳裂》が脇に立った時はこちらも高打点を狙えます。『無題紅白』では、まさにこの特性が勝負を決めましたね。《閻魔巳裂》はエンドフェイズには手札に戻ってしまうので、そのターン限りのバフということになります。
《独眼群主》は他のギミックとのシナジーによって進化を発揮するので、各種説明はのちほど。ちなみにEXモンスターをバウンスすると、手札に戻っていないためバフがトリガーしません。注意しましょう。

《閻魔巳裂》《大幽谷響》は《メルフィー・キャシィ》でサーチできる獣族として採用されています。
 前者は広スケールのPデッキにおける優秀な盤面荒らしで、バック除去、対象耐性や高ステータスへの回答を担うとともに、リソース差の拡大にも一役買っています。毎ターン除去を飛ばせるという事実は、毎ターンリソースを伸ばすデッキと合わさると、戦況の差を決定的なものにしてゆきます。「相手に行動させてから対処する」、魅せるデュエルで心掛けたいことのひとつを、見事にこなしてくれます。
 後者は受けのイメージが強いですが、耐性を持った高打点への回答にもなります。実はこのカードが相手の元々のステータスをコピーする効果は攻撃を受ける時だけでなくあらゆる戦闘で発揮されるので、相手が元々の攻撃力のままである限り、《アライバル》などへの相討ちを狙えるカードにもなるのです。むしろ能動的に使うぶんには手札コストも掛からないので、被戦闘破壊時のサーチ込みでお得な運用法。このデッキ使うまで特殊召喚モンスターだと思ってた。
 ついでに《メルフィー・フェニィ》の話も。被攻撃対象時に手札の獣族と入れ替わる効果のある《フェニィ》ですが、このカードもこの2体と非常に相性のいいカードです。《閻魔巳裂》が相手のバトルフェイズに出現すると実質的に風属性以外の攻撃を全て封じ、《大幽谷響》でも完全な壁になったり、相討ちを狙ったり、手札コストなしで1面止めつつサーチを担ったりできます。

2.2.メタルユーゴーレムシステム(EM・メタルフォーゼ)

 鈴原ガルフさん( @suzuhara_Galph )の【激旋闘攻ガルファイト!】に搭載されてきたギミック、「メタルユーゴーレムシステム」を拝借しています。
 場の《エレクトラム》とEXデッキの《ドクロバット》で《ミスリエル》を融合召喚し、《ユーゴーレム》のP効果で墓地の《ドクロバット》を回収、《ミスリエル》の効果で墓地の《エレクトラム》をEXデッキに復帰、という形で《エレクトラム》等を使いまわせるとともに、《ビスマギア》《ユーゴーレム》で8-1スケールを確保できます(少なくともこのデッキではこれが主目的です)。
 2,3回目からは墓地の《ミスリエル》も戻さなければいけない関係で、《混錬装融合》を使うと融合魔法まで循環し切れないため、自ら復帰できる《錬装融合》を使える状況をつくるよう意識する必要があります。
 さらに、《ミスリエル》の効果が「手札に戻す」ものである点も、もちろんこのデッキでは重要です。システムの循環のついでに、《独眼群主》500ポイント分のバフに寄与します。その中でも自分のカードを戻せるのはトリガーとして確実でいいですね。

《ドクロバット》《ペンデュラム・マジシャン》で優先して持ってくるカードは《ユーゴーレム》になりますが、その後もサーチは毎ターンやってくるので、そのぶんのサーチ先として受け札《バリアバルーンバク》や後述する《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》のための《オッドアイズ・ディゾルヴァー》等が採用されています。
《セカンドンキー》も両スケールがある場合サーチカードになります。召喚・特殊召喚に対応しているため、一方にしか反応しない《ドクロバット》《ペンマジ》を、該当しない召喚法で持ってくることが多いです。Pモンスターではないため多くは積みたくないものの、これまた《キャシィ》から触れることや対応召喚法の観点からギリギリ1枚は外せない感触です。

 特に《バリアバルーンバク》はこのデッキ、ならびにデュエル理念において非常に重要なカードになります。封殺的なワンサイドゲームが望まれないカジュアルデュエルにおいて、相手の行動を許してから凌ぐ受け札は欲しいところです。また様々なシチュエーションが想定されるカジュアルデュエルにおいて、10000を超えるような高打点が突如現れることも少なくないため、突発的なワンショットにも対処できるに越したことはありません。高打点の盛り上がりはもちろん、それを凌ぐこともまた見所を作り得ます。獣族であるため、「EM」側だけでなく、《メルフィー・キャシィ》からも急遽受けを構えることもできます。
 こちらも上級非ペンデュラムであり事故要因になりえますが、ゆえあって2枚採用しています。このカードは手札からは交戦のダメージをカットしますが、墓地効果として手札の「EM」を捨てることでダイレクトアタックに反応して蘇生することも可能です。よって、手札・墓地に1枚ずつ構えることで盤面が残っても残らなくても受けのある状況を作れるわけです。頻繁に手札が溢れるので、余らせて1枚捨てることが多いです。

「メタルフォーゼ」の取り方について、下スケールは完全に切りました。《エレクトラム》から《ビスマギア》を持ってきて維持すれば、P効果という目的は果たせます。
《スティエレン》は《緊急テレポート》で確保できるレベル2として、「メルフィー」側のギミックに関与しています。
 ここでレベル7を抜いてしまったことで、《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》が抜けるなどの影響もありました。

《アゾートレス》は……あまりここで話すカードではないですが。
《クロシープ》のリンク先にP召喚で融合モンスターを作ったり、《チェーンジラフ》をデッキに戻したり、行けたら行く補佐のカードとして一応入っているような感じです。抜けたり入ったりしましたが、痒いところに手が届くので結局入りました。

2.3.メルフィー

 ギミック自体は続投ですが、【演目:鉈御先】から大きくテコ入れの入ったパートです。
 というのも、元々はPギミックに重きを置いていたため、スケールや《エレクトラム》にただちに寄与しない「メルフィー」は重く取るものではないと考えていたのです。
 が、攻撃・効果無効で相手の初動を凌ぎ、《エレクトラム》に繋がる《レスキューキャット》に触れ、長い目で見たときのリソースとしても「メルフィー」が優秀なこと、また《エレクトラム》と違って1枚で初動が成立することなどから、むしろ「メルフィー」を厚く取るべきだと方針を転換しました。このために増やしたのが《素早いビーバー》ですね。《レスキューキャット》も重要性が増したので1枚増やしました。
 一般的には召喚から使用される《レスキューキャット》も、このデッキではP召喚から追加展開に使用できる、ということもここに記しておきます。

「メルフィー」の配分は3-2-1がちょうどいい感じでした。《森のメルフィーズ》を初動にした場合、《パピィ》→《チェーンジラフ》をしなくても1面止められるようになり、リクルートが浮くことで《キャシィ》に繋ぐ場面が多々見られるようになりました。つまり、《パピィ》は実質《キャシィ》として計上していいわけです。逆はそうはいかないうえ、妨害択もない《キャシィ》は《パピィ》ほど直接握る旨味が少なくなり、2枚にとどまった次第です。
《キャシィ》は《パピィ》から連鎖するなどして確保したのち、展開札《レスキューキャット》や捲りの《獣王アルファ》、受けの《バリアバルーンバク》、攻め手の《閻魔巳裂》、そして切り札《独眼群主》などを臨機応変にサーチします。相手に合わせて展開するデュエルスタイルの要ともいえるカードです。
《フェニィ》は先述のように「妖仙獣」で応戦するほか、手札にSS対象がある際に《パピィ》と同様の運用をする場合があります。が、まあ小回り枠なので1枚でいいです。
 面白い話としては、8-1スケールを主体とするこのデッキでは「メルフィー」をP召喚することも可能となっています。これにより、こちらのターンでの相手の展開を牽制、あるいは行動に出れば本来の倍のバリューでデッキを回すことができます。除去などには注意しつつ、場合によっては狙うくらいで。

 そしてこれまた忘れてはいけないのが、「メルフィー」は効果で手札に戻るという点。これにより、《独眼群主》を維持できればこのデッキでは最大1500単位でのバフがリソース運用のついでで期待できます。
 むしろこのシナジーから《独眼群主》をフィニッシャーではなく居座る存在として運用する構築が実現できたと言っても過言ではなく、実際『無題紅白』では理想的な演出を仕立てることができました。

《かくれんぼ》は消費した展開札や受け札、リクルート対象をデッキに戻す役割を担うほか、神のように君臨しながら耐性のない《独眼群主》に破壊耐性を付与し守る役割も果たします。
《チェーンジラフ》などを戻すために《混錬装融合》でEXデッキから落としておく、といったプレイもここで関係してきます。

 続いて「EM」部分。こちらは《レスキューキャット》から《エレクトラム》になるリクルート対象であり、《パピィ》のリクルート対象でもあります。こういった運用なので、1.2.で紹介した「EM」ギミックより獣側の繋がりの強いパーツになっています。

 《チェーンジラフ》《デモンズ・チェーン》のように、自身が場にある限り対象モンスターの攻撃と効果を封じます。これで初動を止めて1ターンもらってゆっくりデュエルを始める、といったねらいで採用しています。
 が、時の任意効果という致命的な欠陥を抱えており、いわゆるcip型の初動に無力になってしまっています(チェーン2《パピィ》から出てくるため)。また、《デモンズ・チェーン》である以上リリース起動の効果もすり抜けるため、《ローンファイア・ブロッサム》なども止められません。2面以上展開されると普通に戦闘破壊で解決されます。結局《森のメルフィーズ》でよくなりがち。

《リターンタンタン》は控えめな万能枠といったところ。積極的に効果を使うことは少なく素引きはそんなに嬉しくないですが、☆2獣Pとして《森のメルフィーズ》《エレクトラム》の素材になっています。スケールも3と低く、レベル2はともかく4のP召喚には繋がるラインです。「メタルフォーゼ」で一旦割るカードとして置くことも。一旦リターンタンタン
 モンスター効果は被戦闘破壊時に万能バウンス。セットエンドで危険なモンスターでも返しながらターンを凌いだり、《パピィ》から突如壁にして戦闘を躊躇わせたり。甘く見られればしっかりバウンスで返り討ちにできます。さらに自ら攻撃することで危険なモンスターを処理してから展開に移ることもあります。高打点に突撃するときも安心、《バリアバルーンバク》ならね。
 そしてP効果。スケールに貼って戻すことができます。効果で。すなわち《リターンタンタン》は、手にあるだけで《独眼群主》500ポイント券になるわけです。忘れがちだけど
 このようにリクルートから運用で消耗が激しいながら本体運用も視野に入るカードであり、かつ妥協場面で使いやすいため、こちらは3枚投入しています。

 ランク2は《森のメルフィーズ》に加えて4種。
《古狸三太夫》は言わずと知れた高打点対策。《アライバル》のような素打点前提の耐性持ちは《大幽谷響》で突破できますが、元々を参照する以上バフの乗ったタイプは倒せません。そこで別プランとしてとりあえず入れた形です。《かくれんぼ》で拾えます。
《マネキンキャット》も割ととりあえず枠。特に対地属性は強力で、《レスキューキャット》や《ペンマジ》を突然引きずり出すことができます。脈絡なく出てきていいモンスターじゃないと常々思う。《かくれんぼ》で拾えます。
《セイントレア》破壊・対象耐性への回答であり、一応バウンストリガーでもあります。ダメージカットはついていないので、また《バリアバルーンバク》を合わせましょう。《かくれんぼ》で拾えない。
《クランブル・ロゴス》は本番直前に急遽枠が空いたので入れたカードです。「メルフィー」が余ったままターンが回ってきたときなどに、設置物や制圧モンスターを一旦抑えてから展開に入れたらいいなと思って採用しました。《カースド・ジャベリン》と迷ったものの、打点や無効範囲からこちらを選択。まだ出ていないので使用感は不明です。きみケンタウルスらしいし獣族にならない?

 リンクモンスターに《小法師ヒダルマー》2枚。
 残ってしまった「メルフィー」からマーカーを作れる点でもPデッキ的に重宝していますが、まずはバック除去から。《錬装融合》や《ビスマギア》を破壊してお得に使ったり、イマイチなスケールをリセットしたりできます。バック除去なんてなんぼあってもいい。
 さらに相手モンスターを戦闘破壊した時、墓地か除外からビースト種族を回収することができます。一旦素材にせざるを得なかった「メルフィー」の回収をはじめ、獣戦士族の《セイントレア》をはじめとするEXモンスターの復帰、除外対策などを(この打点で勝てるなら)こなします。《かくれんぼ》非対応なものの同名の回収ができるため、循環を視野に入れて2投しています。循環したことないと思う

 最後に、《獣王アルファ》の話をしましょう。
 このカードは改修時に新たに採用された新理念のカードですが、くっつきとしては「メルフィー」なのでここで触れることとしました。
『無題紅白』初参戦かつニコニコ一般会員では過去情報の収集が困難ということで、ほとんど対面のパワーラインの予測がつかない状態でした。主催様の関わる『題名のないデュエル動画』は気張らないパワーラインに思えましたが、他方で『無題紅白』はレベルが高いという情報も。また、《神の宣告》《激流葬》のような、ペンデュラム展開への大打撃となる罠カードも飛んでくる可能性が否定できませんでした。
 そこで、対応力の向上リスクの分散という観点で白羽の矢が立ったのが《獣王アルファ》です。通常召喚、P召喚、「メルフィー」タイミングなど行動が分散されたこのデッキに新たに露払いのプランが追加され、より確実に何らかのアクションを通すことができるようになりました。
 そもそもバウンスである時点で《独眼群主》への貢献になります。【妖仙獣】開発配信でどなたかが《獣王アルファ》に言及していたような記憶も、採用に乗り出した一因だったと思います。
 引きすぎても困るけれど後1素引きが欲しいカードでもあるので、2枚としてみました。

2.4.オッドアイズ

 こちらは小規模なセクションで、主に《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》の特殊召喚のために採用されています。

《ボルテックス》特殊召喚成功時相手の攻撃表示モンスターをバウンスする効果、EXデッキの表側Pモンスターをデッキに戻して打ち消しを行う効果を持ちます。
 いわゆる制圧モンスターにあたるため、序盤から積極的に出すものではありません。だいたい主要な「EM」サーチが終わったあと、相手のバックや制圧モンスターに対する突破札として出して、戦局を握り返すために使います。決めきれない時やバックが厚い時は、守備力のほうが高いことを口実に、デュエルを続けるために守備表示で出すことが多いです。
 以前は《アブソリュート》からの導線がありましたが、☆7の減量や正規召喚でないことなどから切り離しをしました。ちなみに《ユーゴーレム》のモンスター効果からも出せる場面があります。

 このデッキ特有のギミックとして2つ、まず《ボルテックス》のcipはバウンスなので、《独眼群主》のバフに繋がります。《アークペンデュラム》を採用しているため、「メタルフォーゼ」や《ライゴウ》で《ユニコーン》や《ボルテックス》自身を破壊することでP効果により蘇生し、必要なタイミングでバウンス&バフを狙うことができます。反復横跳びの場合「メタルフォーゼ」の破壊を実質メリットとして使えるのも強みです。
 また、打ち消しの効果に含まれるEXデッキからデッキへの返還も、このデッキとシナジーしています。《アゾートレス》で先述した通りですね、《パピィ》のリクルート先を回復するのに一役買っています。

《ディゾルヴァー》融合札で、「EM」名称であるためだいたいのサーチから適宜引っ張ることができます。基本的にはP効果で融合しますが、モンスター効果は素材範囲に優れるため、出せたら出したほうがいいです。
 スケールが非常に使いにくく、またP召喚もできないレベル帯なので、雑な使い方はできないカードです。スケール除去などと合わせたい。

《アークペンデュラム》は融合素材であり、《ボルテックス》のcip補助であり、《ドクロバット》で触れる上スケールでもあります。
「メタルフォーゼ」のくっつきが悪い場合は「EM」側で何とかしなければならない場面があるため、この手のカードが1,2枚は欲しいところ。
 過去には2枚採用されていましたが、最上級で素引きが使いにくいこと、☆7軸が薄くなったことなどから1枚に減りました。

《ユニコーン》は当日の最終調整で入りました。というか、元々出入りがあったカードの1枚ですね。「EM」名称かつ獣族の上スケールであり、リクルートできる回復札であり、獣族ギミックから触れる「オッドアイズ」モンスターでもあります。
 最終的に重要視したのは、最後の項目です。《ボルテックス》を突破された後、《アークペンデュラム》のP効果で復帰するための破壊対象が不十分だと感じていました。元々この枠には後述する《EMオッドアイズ・シンクロン》が入っていたのですが、くっつきの悪さ《閻魔巳裂》と相性の悪い6スケール(デッキによってはこれでも優秀な数値ですが……)などがネックで、結局この枠の「オッドアイズ」は獣族で容易に盤面に出力できる良スケールでなければならない、ということになったのです。
 抜ける際の理由は、効果をあまりにも使わないということでした。だったら固有の能力が優秀なカードを入れるべきではないか、という議論があったんですね。

2.5《閉ザサレシ世界ノ冥神》

 当時からの最終回答札です。何が起こるかわからないフリーにおいては、いわゆる「ヘイカンフルアーマード」のようなカードへの対策も必要だと考え、このカードを採用していました。
 バウンス主体のデッキでは「壊獣」も優秀ですが、自分の動きに寄与できず、引きに左右もされるため、EXデッキに入れたいという事情がありました。獣族の「壊獣」がいれば少し事情が違いますが……。
 P召喚や「メルフィー」の残留などで、素材を揃えるのはさほど難しくありません。強耐性モンスターのほか、無効持ちモンスターを効果を介さず処理するためにも使用します。とはいえ重いので、よほど相手が強い時にしか使いませんね。

3.【演目:『天目一祠』】の新ギミック

3.0.前置き

 まず、デッキの見直しは「《独眼群主》を主体とするとはどういうことか」というところから始まりました。
 とはいえ、その時点で《独眼群主》へのアクセス自体は豊富。裏エースからメインとして意識を切り替え、アクセスの優先順位を変えることで、ある程度は何とかなるだろうと思っていました。

 しかし、実際にはそうもいかないもので。というのも、《独眼群主》への繋がりにくさにはその召喚難度が大きく関わっていました。
《独眼群主》の召喚は、通常召喚かP召喚によってしか行えません。このカードのレベルは10とマトモなP召喚は行えず、狙おうとすると縛りがついて自由なデッキづくりができないため、実質的に召喚手段は通常召喚のみということになります。つまり、《独眼群主》を構えるには、リリース要因となる2体を場に用意しつつ、召喚権を割かなければいけないのです。
 が、このデッキでは多くの場合、召喚権は《ドクロバット》などに割くことで《エレクトラム》に繋げるために消費されていました。このことは、単に《独眼群主》を持っていても出せないという話に留まらず、次の動きを考える時点で「召喚権を割けない」という計算になっているため、持ってくる段階で優先度が著しく下がるという事情を生んでいました。

 他方で、前編にて触れた【mystic sight】では、召喚権の問題を既に解決していました。このデッキには召喚権が2つあり、1ターンで《ドクロバット》のP展開と《サリエル》からの呪眼展開を両立してデッキを成立させていたのです。

 その要こそが《音響戦士マイクス》でした。
 考えてみれば当然のソリューションですが、このデッキの原点がNR(ギータスが存在しない)だったこともあり、このデッキにおいてその選択肢はすっぽり抜け落ちていました。
 上級Pであることやスケールが実質4であること、《ギータス》からのアクセスが手札コストを要求することなど課題は多くありましたが、ここでついに採用に踏み切ることにしました。ここが、改築の始まりです。

3.1.音響

《ギータス》2枚《マイクス》1枚。召喚権追加ギミックです。
《マイクス》を《ギータス》からリクルートしたり、《エレクトラム》で直接EXデッキに送り込むことで、毎ターン2回の通常召喚を可能にします。これにより《ドクロバット》を2回使ったり《独眼群主》をアドバンス召喚する余裕をつくったりしています。他にP召喚で効果を使いたいモンスターも少ないので、とりあえずP召喚して召喚権を作ったり、《ペンマジ》とセットで出してそのまま破壊対象にしたりしています。
 このカードの採用によって、《独眼群主》の召喚を計算に入れることが非常に容易になり、持ってきてよいと判断できる場面も増えました。

《ギータス》から《マイクス》をリクルートすれば召喚権を作りつつ《エレクトラム》の初動になるため、こちらも2枚採用しています。手札コストが状況によって重いですが、入れない手はないでしょう。スケールも7と高く、「メタルフォーゼ」に触る前段階でスケールとして使い、《閻魔巳裂》までは出すことができます。
 ただ、《マイクス》に一度アクセスするとP効果が完全に腐ること、2枚引きはしたくないことなどから、考えなしにフル投入することはできないと考えました。いらなくなったら《エレクトラム》の余った効果でEXデッキに片付けておきます。

《ギータス》が入ったことで初動が増えた一方、《マイクス》が入ったことで絶対に素引きしたくないカードも増えました。ここで、初動に寄与しないカードの数やデッキの合計枚数などの見直しをすることになりました。
7軸を削り、上級「妖仙獣」の枚数を減らし、「メルフィー」を重要視し、《レスキューキャット》を増やして《素早いビーバー》を積みました。最終的に、デッキ枚数は50枚に落ち着きました。

3.2.リンク

 旧構築段階から、自分の盤面を処理する方法の欠如に悩まされていました。素材条件のある低リンクしか入っておらず、《マイクス》が残るなど展開力を持て余す場面が多々ありました。(贅沢な悩みと思われるかもしれませんが、《究極伝導恐獣》や《カオスMAX》のような対面を考えると、脆弱なモンスターが場に残るのは深刻な問題です)
 また、旧構築では《アブソリュート》を自ら墓地へ送る方法も不足しており、当時から(獣族でもある)《クロシープ》は採用候補に上がっていました。が、《クロシープ》が残ること自体が盤面の欠陥になり、「そこからどうするか」がない限り本末転倒になっていました。

 その後、改修中に思い至ったのが、ちょうど別デッキのために作成していたカード《破械雙王神ライゴウ》でした。
《クロシープ》の展開力から直接繋がるリンクモンスターであり、《閻魔巳裂》や「メタルフォーゼ」で破壊シナジーもある、必然性のある切り札といえました。エンド破壊がオーバーパワーであることも何となく知ってはいましたが、このデッキにおいてはやや辺境に位置するカードであるため、出しにくさと釣り合うだろうと判断し採用しました。
 自分の《ユニコーン》を破壊して《アークペンデュラム》をトリガーしたり、《ビスマギア》を破壊してサーチしたりと、器用なシナジーも練習の中で見つかっていった良いカードです。下マーカー3つも有難いですね。

《クロシープ》は出したら残せないのでだいたいこの《ライゴウ》になります。リンク先に融合体を置くことで、墓地に行ってしまった「メルフィー」や《混錬装融合》でEXデッキから落としたPモンスターなどを釣り上げます。いつも全然違うところに融合体出して挙動がバグる。
 素材が緩く、かつ《かくれんぼ》で回収が利くので、けっこう気軽に使えるモンスターです。

《ライゴウ》、そして《獣王アルファ》の採用によって、デッキの格も定まりました。アメノマヒトツノカミネメアの獅子のα星極楽への「来迎」に代わって訪れし破壊の化身
 その全てが暴れた『無題紅白』G枠は、このデッキにとって最高の演目だったと言っても過言ではありません。

4.採用を見送ったギミック

4.1.シンクロギミック

 最終日の調整まで、《ユニコーン》ではなく《EMオッドアイズ・シンクロン》が採用されていました。
 このカードは「EM」名称の「オッドアイズ」であるとともに、墓地の《リターンタンタン》辺りを釣ってランク2や《エレクトラム》に繋げること、またチューナーを作ることで効果使用済みの《ミスリエル》を有効なシンクロモンスターに変換することが期待されていました。不採用となった理由は先述の通りです。

 採用シンクロもこれで結論というわけではなく、上記は有力だったモンスターに過ぎません。
《クアンタム》対象を取らないバウンスで相手盤面を処理する役割が期待され、ついでに《独眼群主》のトリガーも見込まれていました。《シンクロン》のP効果、または《シンクロン》と《マイクス》辺りでののシンクロ召喚対象です。
 もう1枚は《シンクロン》+《ミスリエル》の状況で使える8シンクロの枠で、とりあえず《独眼群主》に寄与しつつ相手ターンに役割を持てる《SC》が採用されていました。

4.2.ランク6

 時々《ビヨンド・ザ・ホープ》が入っていました。《トレミス》は高いので作ってもいない
《ミスリエル》《閻魔巳裂》が並んだものの対象耐性持ちを処理しきれなかった場合などに、対象を取らずに打点を下げて突破するのが《ビヨンド》の狙いです。
《トレミス》《独眼群主》のトリガーでありつつ、他のカードで拾えない消耗カードの回復も見込んでいました。

 出せる場面が少なく素材とするモンスターの損失も大きいものの、ここぞという場面が訪れる可能性があるラインであるため、最後まで採用を悩みました。
 が、ランク2のほうが立ちやすく、残った「メルフィー」から活路を開けるカードがあったほうがよいと考えた結果、本番ではこの枠は《クランブル・ロゴス》となりました。

5.おわりに

『無題紅白』の舞台を用意し、私の参加を迎え入れてくださったya3さんはじめ運営の皆様、お相手を務めてくださったadaさん、そして前身となる【演目:『鉈御先』】でお世話になりました『VTuberイメージデッキ大会』の運営ならびに参加者の皆様に、このような機会をいただけたことを心より感謝申し上げます。

 このデッキはあまりの難解さゆえターンが長くなったりミスを誘引したりしやすく、正直「より「舞台向け」のデッキを握りたかったな」という気持ちも事前にはかなりありました。が、『無題紅白』の舞台を通して、《魔妖仙獣 独眼群主》、そして変幻自在なこのデッキが自分の手によく馴染むということを再確認できました。
 私にとって一度限りの『無題紅白』。帯衣青蓮を最大限に表現できるデッキを握ることができて、本当に良かったと思います。

 しかし、これで最初にして最大のアピールは済ませました。此度で【演目:『天目一祠』】は終わりということは無いにせよ、これからはまた別のデッキでも舞台に立ってゆく所存です。

 つきましては、OCGに限らず『遊戯王マスターデュエル』によるこのような舞台が、今後増えてゆくことを期待しています。何か機会がありましたら、また最高の演目を披露しにゆく心意気。ぜひお声かけください。

 むしろ、私から開くという気概も、気概だけはあります。スケジュールはともかく……。
 共に『マスターデュエル』の舞台を築こう、というご連絡もお待ちしております。やりましょう、皆さん。

 というわけで、今回の記事は以上となります。今回のデュエル・紹介記事を通して興味を持っていただけた方は、是非noteおよびTwitterのフォローYouTubeのチャンネル登録をよろしくお願いいたします!
 それではまたどこかでお会いしましょう、じゃあね!

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