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腎臓を守るためにできること

前回に続き、牧田医師の見解をまとめます。
血圧をコントロールする、血糖値をコントロールする、メタボを解消する、というのはよく知られていることだと思いますので、それ以外で注意すべき点を以下に書いていきます。

慢性腎臓病に関して、一般的な健康診断は役に立ちません。
腎機能の診断指標に「血清クレアチニン値」を用いていると、「異常なし」と油断してしまってむしろ逆効果の恐れがあります。
血清クレアチニン値が正常だからといって腎臓に異常がないとは限りません。

どのような検査を受ければいいのか。それは「尿アルブミン」の検査です。
慢性腎臓病を早期発見し、透析になってしまうことを防ぐ素晴らしい検査です。
多くの医師は知識不足のため、患者さんの尿アルブミン値を調べるということをしていません。自ら動くことが大切になります。
尿アルブミン検査を受けたいと相談すれば、どこのクリニックでも大手の検査会社で行っており、対応してもらえます。
特に、高血圧、糖尿病、コレステロール高値などで通院中の患者さんは慢性腎臓病になりやすいので、必ず年に1回は調べる必要があります。
この検査は保険がききます。3割負担の方は、検査費用だけなら300円程度です。

さらに世界で共有されているeFGR(推算糸球体濾過量)という指標を知ることも大切です。
ざっくりと自分の腎機能を推し量ることができます。
健康診断で調べた血清クレアチニン値がわかれば、日本腎臓病薬物療法学会のホームページなどで自動で算出できます。

eGFRの正常値は
60ml/分/1.73㎡以上です。
健康な人では
100ml/分/1.73㎡前後になります。

60ml/分/1.73㎡未満の状態が一定期間続くと、慢性腎臓病の疑いが出てきます。
eGFRのステージと尿アルブミン値の両面から見ていくことで、より正確に状態を把握できます。

多くの医師は非常に多忙で、自分の専門領域以外について詳しく勉強している余裕はありません。
尿アルブミン検査を受けたいと相談したときに、そんなものを調べる必要はないと言われたら、知識が不足していると考えて主治医を変えることを検討しなくてはなりません。

腎臓を守るためにできること、続いてはプロテインを摂取しないということです。
一般に良いつもりで積極的に摂取しているものの中で腎臓を悪くするものの代表格がプロテインです。
たんぱく質は体に必要な栄養素ですが、パウダーやゼリー状など人工的に作られたプロテインやアミノ酸は話が変わってきます。
胃からすぐに小腸へ進み、一気に吸収されて血液中に入り込みます。過剰になったアミノ酸を尿素に変えて尿から排泄しなければならなくなり、腎臓は過酷な労働を強いられます。その結果、過剰濾過になり腎機能を低下させます。
必要量を食事から摂ることは大切です。もし不足するなら肉や魚や大豆を食べるのが良いです。

運動するときにたんぱく質の補給が必要だという主張について、反証する研究があります。
1994年にイギリスのダンディー大学の研究者が17ページにもわたる膨大な研究報告を行なっており、そこで明らかに否定されています。
男女26人のボディービルダーに対し、体重1kgあたり1.93g(60kgの人なら11.5g)という高タンパク食を毎日摂ってもらいました。
その結果、筋肉にはなんの良い効果も出ませんでした。
また、イェール大学で行われた実験で、5ヶ月間にわたりアスリートに1日のたんぱく質を55gに制限させたところ、筋力は逆に35%も増加しました。
運動するときにたんぱく質の補給が必要だというのは、全くのウソだということになります。
プロテインを摂取するのが良いというのは、生化学から見れば明らかに間違いであり、良いどころか腎臓にとっては非常に悪いものです。

台湾で、慢性腎臓病と睡眠の関係について大規模で興味深い研究が行われました。
20歳以上の慢性腎臓病ではない19万4039人を調べたところ、慢性腎臓病の発症率は6〜8時間の睡眠をとっている人たちが最も低いことがわかりました。
腎臓は沈黙の臓器です。こちらが先取りして休憩を与えてあげる必要があります。その一番の要素が睡眠です。
働き盛りの世代はどうしても無理をしがちです。しかし睡眠時間を削って仕事に対応することは、腎臓にとって最悪の選択です。
睡眠による疲労回復ができないと、体は慢性的な炎症にさらされます。慢性の炎症は腎臓病をはじめ、あらゆる病気の原因となります。
睡眠時間を削って働くことは、様々な病気のリスクを上げ、パフォーマンスも低下します。

腎臓を守るためには体を冷やさないことも大切です。
薄着を避けて、体の保温に努めましょう。
飲み物も、冷えた飲み物を避けて常温のものを飲むようにしましょう。

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