【月はいつも見ている 〜兎〜 】 第1章 ep.03
嫌味をいくつか言われた駅員さんは、私たち駅の階段を降りるまで付き合ってくれた。
「すいません、ありがとうございました」
今会ったばかりなのに、私は彼女の友人になりきっていた。さっきまで顔面蒼白だった彼女の顔色は、かなりよくなってきたようだ。
「大丈夫です。歩けます。」
腰に回していた、わたしの手をゆっくりと丁寧にわたしの方に返した。まだおぼつかないけど足はしっかりとしてきた。駅からマンションまでは、目の前にあるので5分もかからない。
「かなり飲んじゃいました。ダメで