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誰でもライターになれるけど、誰もがライターとして食えるわけじゃない。スズキコウタさん × 柿次郎さんが語る「ライターに必要なこと」#小原イベントレポ

※アイキャッチ画像はイベントのFacebookページより拝借いたしました。また登壇者の発言は一字一句正確なものではありません。

ここ数年「ライター」「編集者」を“名乗る人”、“なりたい人”が激増しています。僕も数年前に「ライターになるにはどうしたらいいですか?」とさえりさんにインタビューした一人。最近では、知人が「フリーライターになります!」と独立宣言していました。かなり人気の職種になりつつあるのでしょう。

とはいえ、ライターの定義は曖昧なのが実情。少し前に「ライターが“読モ”化している件について」という記事がバズっていたように、ひとくちにライターといっても様々な解釈があるようです。

今回のイベントは、「いわゆる“ライター”に必要なこと」を現役の編集者・ライターである柿次郎さんとコウタさんが語っています。

柿次郎さん、コウタさんを簡単にご紹介

この業界においては、改めて紹介させていただく必要のないほど著名なお二人ですが、一応プロフィールを引用させていただきます。

コウタさんは「greenz.jp」の副編集長。フリーのライターとしてもご活躍されています。またミュージシャンの顔を持つマルチな才能の持ち主。

greenz.jpの記事企画・マネージメントの責任者をつとめる一方、ライターインターンを数多く育成。現在は、自らのビジョンを表現し波及させていける人びとを育成するため、「作文の学校」の講師をつとめる。「2kai Productions」のメンバーとして、ミュージシャン・選曲家としても活動中。

柿次郎さんは、メディア関係者の方でなくともご存知の方が多いかも。人気メディア「ジモコロ」の編集長としてバズを連発されています。新メディア「BUMP」の編集長を務められる“W編集長”さんです。

株式会社Huuuu代表取締役。どこでも地元メディア「ジモコロ」編集長として全国47都道府県をまわってます。株式会社Huuuu代表取締役。ジモコロ/BAMP編集長。全国47都道府県のローカル領域を編集しています。NHK Eテレ「みんなの2020 バンバンジャパーン!!」に何故か出演中。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学

「これからのライターに必要なこと」は?

今回のイベントのタイトルは、「〜柿次郎さんコウタさん、これからのライターに必要なことってなんですか?〜」“そもそもいいライターってなんだろう?”という議題を皮切りにイベントがスタートしました。

コウタさん:情報を受け取った先をデザインできるかどうかがこれからのライター。要は、記事を読ませ、人を動かし、問題解決につなげていく…その先をデザインできることが大事。
柿次郎さん:編集長としていいライターだと思うのは「企画をだせるかどうか」「明るい」「レスポンスが早い」。加えて利他的であるかどうか。人のためにどれだけ動けるか。日々の取り組みが記事にも反映される。
コウタさん:最低限の技術として「読者の欲しい情報を整理して伝えられる」こと。そこから自分でどれだけ企画提案できるかが求められる。
柿次郎さん:企画さえよければ使われた過去のライターは淘汰されていく。AIにも淘汰される。ネタを作るためには関係性が必要で、関係性がなければ深いネタは拾えない。ネットに上がっているような浅い情報ではなく、深い情報が取れるといい。だからこそ、利他的に動ける人間が残っていける。

日本語の正しさや、わかりやすく伝えるための構成力を持っていることは大前提。その上で、エッジの効いた企画提案ができるとライターとしての需要が格段に上がるとのこと。

読者が何を求めていて、記事によって読者をどう動かすのか…。ただ書くだけならロボットで替えがききます。いわゆる“編集者視点”を持ち合わせていることがレベルアップの条件になるそうです。

コウタさん:「この人だからここまで聞きだせた」までいけたらライターとしての腕が上がってくる。聞き出す量が深いライターは強い。それをどれだけ伸ばしていけるか。
柿次郎さん:誰でもライターになれるけど、それじゃ稼げない。そこからどうやって這い上がるか考えないと。媒体に応じて企画を投げられなければ食えない。日常的な情報のインプット量が多い人は強い。僕は散歩しながら街の「違和感」を見つけてネタを作っていきました。
コウタさん:専門性という意味で個性があってもいいけど、読者にストンと落ちる、伝わる個性じゃなきゃだめ。

ライターを志すフェーズにありがちな自己表現と仕事のギャップについては「LITALICO(りたりこ)発達ナビ」の鈴木編集長が大変わかりやすく解説してくださっています。

編集者視点で考える、「成長するライター」の共通点

ライターであり、編集者でもあるお二人から見た「成長するライター」の共通点は以下の通り。

コウタさん:ひたすら書くのも大事だが、書いた後に振り返りをしていた子が育っていた。必要なスキルを知って、戦略を立てるのが大切。
柿次郎さん:とにかく恥を書く回数をどれだけ増やすかが大事。原稿を見せるのは恥ずかしい。けど、その恥をかく、プロに見せる回数を増やすコロが最短ルート。良いライターは良い編集者でもあるから、両方やるつもりで。

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イベントを通じて印象的だったのは「誰でもライターになれる」こと。しかし、参入障壁が低い分、必然的に競争は激化します。勝ち残るためには、まず「企画力」が必要とのことでした。

イベント中、柿次郎さんが「僕は散歩しながら街の「違和感」を見つけてネタを作っていきました」とおっしゃっていました。終了後にご質問させていただいたところ「今でもネタ探しのために街を歩いたりする」そうです。

「SUUMOタウン」で執筆された記事は最たる例で、記事を作るために地域の人と交流したとおっしゃっていました。良い記事は地道な積み重ねによって生まれているな…と痛感。

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まとめると、ライターの仕事は単に書くだけでは終わらないということになります。日常にアンテナを張り、足を動かし、情報を自分の手で稼ぐ。その上でわかりやすく伝える。「良いライターになりたい」と思ったら、まずは「良いライター」さんが何をしているのか知ると良いかもしれません。


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