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これからのライブ配信サービス②

 前回から始めた連載、「これからのライブ配信サービス」をマガジンにして連載しています。興味を持たれた方は、このマガジンもフォローしてください。

 さて、今回は日本のライブ配信を語る上では欠かすことはできない、日本大手2社です。

2.Pococha

 このサービス、一言でいえば『化け物』です。
 それはDeNA社の決算報告にすべて現れています。

株式会社ディー・エヌ・エー 2022年3月期決算資料より
https://dena.com/jp/ir/library/presentation.html

 コロナ終了と同時に巣籠り需要は一気に減少し、家で楽しむエンターテイメントの事業というのはすべてボロボロになりました。NetFlixでさえ契約ユーザが創業以来初めて減少するなどアメリカの各社の決算もひどい状況でした。その流れは日本にも来ています。
 Pocochaも確かに1月以降課金ユーザ数の減少が起きました。でもユニークユーザ数は増加を続けていき、結果4Q末には課金ユーザ数もV字に近い回復を見せてます。
 売上高はまだ回復していないので、多分1ユーザあたりの活動時間はコロナ中に比べると減少しているのでしょうが、これは緊急事態宣言だのがなくなり旅行や外食など以前の活動が再開するなかでは戻しようがないでしょう。でも課金ユーザ数が上昇に転じているので次回の決算あたりでは売り上げも回復しだすでしょう。

 これ、本当にすごいですよ。
 他の配信サービスが軒並みコロナ前に戻る勢いでリスナー数の減少、過疎化が進んでいます。どこの配信サービス行ってもライバーみんな過疎だって言ってますからそこからリスナー数はキープして、課金リスナーもこんな短期間で回復に向かいだしてるなんて他には考えられないです。

Pocochaはなぜ再成長できているか?

 Pocochaのこの早期回復、コロナからの反動を最小に抑えられているすごさ、それはシステムです。
 メーターなどのシステム、これらってソシャゲやっている人ならわかる人も多いと思うんですけど、ソシャゲのシステムそのものなんですよね。
 無課金で始められて無料でクエストをこなしてアイテムをそろえたり時間をかければ続けられ、ギルド(ファミリー)を結成してギルドの栄達にメンバーが協力し合う、ギルド戦など毎日決められた時間に戦争があってそこでの勝敗でギルドの栄達と報酬(ライバーの報酬)が決まっていく。そこで活躍する他のプレイヤーをみて課金が促されていく。この流れそのものなんですよ、Pocochaの仕組みってその仕組みを完全に取り入れていて「ライブ配信サービスではなくライバー育成ゲーム」になっているんですよ。リスナー達はプレイヤー、ライバーはゲームの中の育成対象キャラであり、同時にギルドマスターです。

 無課金で人を集めて楽しませ、のめり込ませて課金ユーザに育てていく、この一連のプロセスがすべてシステム化されています。これがPocochaが国内最王手に成長し、そしてコロナ後のマイナスも抑えれている理由です。

 「無課金ユーザなんて集めてどうするんだ?」というライバー事務所の人やライバーがたまにいます。それは私は間違っていると思っています。誰だって最初は無課金ユーザなんですよ。私も17初めて最初の2か月は無課金でした。その前にはShowroomを無課金で見ていたから実際には無課金リスナー期間は半年近くあったんではないかと思います。Showroomは初めて1年たって初めて課金しました。
 あるライバーに課金して応援しているリスナー全員に共通点があるんです。それは「そのライバーの配信に来ている」ということです。来たこともないのにギフト投げるやつはいないわけで、その可能性あるリスナーを切るというのは間違いだし、だからこそ無課金でもそれなりに遊べる仕組みを整えているPocochaはリスナーが減らないんです。BigoLiveとか無課金には人権ないですし。。。。

 そして配信に行くとわかるんですが、会話内容も話している内容がPocochaに関することがとても多くなります。メーターがどうのこうのと多分配信時間の半分くらいはみんなPocochaのことを話しているんですよ。
 でもそれでいいんです。Pocochaというライバー育成ゲームを一緒に楽しんでいるゲーム仲間同士なんですから。

Pocochaに向くライバー、向かないライバー

 Pocochaはシステムとして出来上がっているので、向くライバーは明確でこのシステムにライバーがはまれるかどうかです。
 決められた締め時間での毎日の配信など、システムに合わせたスケジュール取りや配信ができるかどうか、ギルドマスターとしてのファミリーの運用など、システムが与えている役割を演じていくことができるかどうかですべてが決まります。はまれないならPocochaでは埋もれるだけです。
 正直小さいお子さんがいたりして時間が自分でコントロールできない人には向かないといえます。
 そして毎日のメーター競争に耐えられるか?というとこも大きいです。基本どこの配信サービスも報酬は絶対評価(ギフト数が○○行ったら時給いくらなど)で決められますが、Pocochaだけは相対評価、つまりライバー同士の競争によって決められていきます。この競争を日々戦い抜いていく必要があります。これはライバーさんの神経をすごくすり減らすでしょう。

 私は全くライブ配信素人でこれから始めようという人がいたら、Pocochaがおすすめだと思っています。時間が自分で決められるかどうかというのはありますが、時間を決めた配信とかはどこの配信でも必要になってくることではあるし、ライバー同士の競争ってのもない配信サービスはないです。
 システムとしてそれらが完全に出来上がっている配信サービスとしてPocochaは配信を学ぶ上でおすすめなサービスです。競業規制とかもないので、最初の勉強に始めるには一番いいサービスだと思います。それでうまくいけば続ければいいし、だめなら他に移ればいいだけのことなので。

【蛇足】辞めていく人気ライバー

 これは完全に私の主観の予想です。なんの根拠もない話だと分かったうえで読んでください。
 Pocochaをやめたライバーさんの多くがメータ競争を理由に挙げています。かなり人気なライバーでもそうです。そしてもうちょっとライバーに優しくなれないのか、みたいなことも。
 ただ、私、Pocochaの運営ってこのメーター競争につかれて辞めていくってのも計算に入れているんでないかな?と思うんですよね。
 ソシャゲの考え方で考えるとそうなるんですよ。ソシャゲの世界には不動の王者なんていてはいけないんですよね。
 絶えず順位変動が起きて新しい人(キャラクター)が上位に顔出してくるっていう新陳代謝がないとソシャゲって成立しないんです。でPocochaのこの仕組みだとS帯とかで活躍されているライバーさんたちがちょっと体調崩して休んだりすると下におちて、戻るのがしんどくなって、なんていう新陳代謝が起こせるんですよね。
 だから実はライバーが辞めていくのも織り込み済みなんじゃないかな~と思ったりもします。まあ、わかんないですけどね。

3.SHOWROOM

 このサービスも実は元DeNA社なんですよね。今は独立した会社ですけど、日本国内ライブ配信トップ5社のうち2社がDeNAからって、やはり恐ろしい会社だ。

アイドル指向

 元々のコンセプトが『仮想ライブ空間』というキャッチコピーでアイドルやタレントとライブ配信を通じてコミュニケーションができる場所として始まり、今もそのコンセプトを忠実に貫きとおしています。やはりそういう芯がしっかりしたライブ配信は長く、多くのユーザに愛され続けていますね。
 コンセプトによるコアなファン層の獲得とそのコンセプトを貫き続けることでファンに愛され続けるサービスと言えます。この辺は新進の配信サービス会社とかは見習う点も多いと思います。
 その層のファン達は確実にとらえられますし、そういうファン層にアプローチしたいライバーには使い勝手もよい、爆発的に今後リスナーが増えるとかはないけど安定して続いていく、そういうサービスになっていくのだと思います。

向いてるライバー

 これも明確で、もともとAKB-Gや坂道Gなどのアイドルにより集客しているサービスなのでリスナー層もアイドル好き、タレント好きがそろっています。
 いまは誰でも配信できるようになっていますが、やはりそういう指向があるライバーに向いているサービスと言えます。

 イベントなどもコスメモデルやTVCM、ミスコンなどなど、そういう方向を目指す人向けでそろえられています。コンセプトが明確なので、向くライバー・向かないライバーもはっきりしてますね。

 最近は普段はBigoLiveなどで配信していて、いいイベントがあるときはShowroomで配信されている、なんてライバーさんもよく見かけますね。

 
 以上、今回は日本発の大手ライブ配信サービス2社を紹介しました。。長文にお付き合いいただきありがとうございます。
 
 この「これからのライブ配信サービス」は連載マガジンとして、しばらく様々なライブ配信サービスについて解説していきたいと思います。次回以降にはBigo Liveや17Live、EVERY.LIVE、ミクチャ、UpLive、Youtubeなども順次紹介していきたいと思います。よろしければマガジンもフォローしてください。


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